「患者のカルテに見た自分」中沢正夫

| このエントリーをはてなブックマークに追加

患者のカルテに見た自分 (エビデンス選書)

【私の評価】★★★★☆(89点)

[Amazon.co.jpで購入する]

[楽天ブックスで購入する]


■精神科医が診察を通じて
 感じていることをまとめた
 エッセーです。


 精神科には
 精神を病んだ人がやってきますが、
 実は誰でも可能性がある。


 家庭内暴力も職場内のいじめも
 強い人が弱いふりをしていると
 攻撃したくなる。


 だれもがイライラする。
 狂気を持っているということです。


・身を避けようと徳を積もうと、
 T君の暴力がやむはずはない。
 この両親の一貫性のなさこそ、
 この暴力の主因であり、権威の失墜こそ、
 暴力のエネルギー
なのである(p82)


■驚いたのは、
 素敵な恋人がいると妄想していた人が、
 治療が成功して正気に戻って
 自殺してしまった事例。


 夢の中で幸せだった人が、
 治療の結果、現実に直面し、
 悲観してしまう。


 正気に戻ったからこそ
 自殺してしまったのです。


・"狂気と才気は紙一重"と思う。
 病気の重いときすばらしい感覚の絵を
 描いていた人が、治ると実に
 平凡な絵しか描けなくなることが多い。
 そんなとき、ふと、
 "治さねばよかったのかな?"
 と思ってしまう(p237)


■人の心とは本当に不思議なものだと
 思いました。


 奇抜で芸術的な絵を描いていた人が、
 正気に戻ると
 普通の絵しか描けなくなってしまう。


 そんな矛盾や挫折を抱えながら、
 精神科医は目の前の患者さんと
 向き合っているのですね。


 中沢さん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・社会参加に伴う張り合い、生きがい、
 よろこびは、忍耐と抑制と苦しみと
 背中合わせである・・(p214)


・彼は、「時」を止めている。
 1970年、20歳で止めているのである・・
 彼にいだいていた憐みは次第にうすれていき、
 うらやましさに変わっていった。
 あんな風に生きられたらいい、
 一生のうちで一番躍動していた時期を
 体験しつづける人生ができたら・・(p37)


・圧倒的に多いのは、いわゆる身の上相談である。
 親とケンカしたとか、友人とうまくいかないとか、
 配転になったとか、失恋をしたとか、
 ありとあらゆる身の上相談が
 電話という形でやってくる。
 そして、それに応じることは、
 サーヴィスではなくて、
 大切な治療なのである(p200)


・精神科の名医とは、「スクリーンになる
 ことであると言われている。
 患者さんが、話す、訴える、怒る、
 泣く、黙る、言い澱む、笑う・・
 それらを素直に受け止める
 スクリーンになることである(p218)


・恋愛結婚ぐらい奇妙なものはない・・
 相手がどんな「人間」なのか、実は、
 さっぱりわかっていないことが多い・・
 人は、いっしょに住んでみて、
 そこに見知らぬ相手を見出して
 愕然とするのである(p104)


・よほどよい老人病院でないと、
 老人の自立度に合わせた介護はしてくれない。
 例えばオシッコにしても、
 介護すれば自立しそうな人がいても、
 そんな手のかかることはできないと
 全員にオムツをさせてしまう。
 その結果、失禁が定着してしまう・・(p124)


この記事が参考になったと思った方は、
クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓ 
blogranking.png
人気ブログランキングへ


患者のカルテに見た自分 (エビデンス選書)
中沢正夫
情報センター出版局
売り上げランキング: 259,942

【私の評価】★★★★☆(89点)

[Amazon.co.jpで購入する]

[楽天ブックスで購入する]



■目次

第1章 不可解だから、心
第2章 現代、という波乗り
第3章 病の、人模様
第4章 私自身のための精神療法


にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ第3位
にほんブログ村



この続きは無料メールマガジン 「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』:1ヶ月30冊を超える情報をe-Mailで」でお読みいただけます。

無料メルマガ購読 スポンサードリンク
関連記事

>月別(2002年7月~)