「侍」遠藤 周作

| コメント(0) | このエントリーをはてなブックマークに追加

侍 (新潮文庫)

【私の評価】★★★★☆(80点)


■時は徳川幕府が成立したころ、
 仙台藩伊達政宗はエスパニヤ(スペイン)が支配する
 ノベスパニヤ(メキシコ)に
 侍:長谷倉六右衛門(支倉常長)を派遣しました。


 徳川幕府はキリスト教の弾圧に
 傾きかけていた時期ですが、
 この使節団派遣の目的は
 ノベスパニヤ(メキシコ)と
 貿易をすること。


 また、ガレオン船の造船技術、操船技術を
 盗むために派遣が行われたかのような
 示唆もされています。


・日本人たちはガレオン船と同じ彼らの船を
 造ろうと考えているのかもしれぬ・・
 蟻のような人種だ。彼らは何でもやろうとする・・
 身を犠牲にして橋となり仲間を渡す蟻を思いだした。
 日本人はそんな智慧を持った黒蟻の群れだ(p27)


■通訳兼案内人として使節に同行する
 ベラスコ神父(ルイス・ソテロ神父)は、
 司教となり日本をキリスト教化したい。


 一方、侍、長谷倉六右衛門(支倉常長)は、
 殿(伊達政宗)の意向である
 ノベスパニヤ(メキシコ)との通商の
 了解をもらいたい。


 侍は目的のためにキリスト教に改宗し、
 侍は、スペイン国王、
 ローマ教皇に謁見しています。


 しかし、幕府がキリスト教を
 弾圧していることもあり、
 日本との通商の目途は立ちませんでした。


・数十年間、ペテロ会は長崎にほとんど
 植民地にひとしい土地を得て、
 その収益から布教費を作りだしていた・・
 収税の権利も裁判権もその土地で行使していた。
 九州を占領した太閤がこの事実を知った時、
 布教に名を借りた侵略だと激怒して、
 禁教令を布いたことは誰でも知っている(p29)


■出発時期や侍の生死など
 史実と若干異なるところがあり、
 支倉常長をモデルとした小説でした。


 小説を通じて
 キリスト教徒である著者の中にある
 日本人の思考とキリスト教の教義の違和感への
 問いかけがあるように感じました。


 こうした本を読んだ後で、
 歴史や宗教を学ぶと
 より深く楽しめるはずです。


 遠藤さん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・(日本を)基督教化したいならば、
 もう言葉ではなく武力で征服したほうが簡単だ、
 と主張しはじめた・・
 「お二人はあの国をどうも甘く見すぎておられます。
 あの国はノベスパニヤやフィリピンではない。
 戦に馴れ、戦に強いのです。むかし、ペテロ会が、
 その考えを抱いて失敗したのを御存知か」(p82)


・布教のためには眼をつぶらねばならぬこともある。
 このノベスパニヤも征服者コルテスが
 1519年に上陸し、わずかの兵士で
 無数のインディオを捕え殺した(p139)


・「インディオも同じだが」・・
 「劣った人種ほど自殺したがるものだ」
 「日本人は恥を忍ぶより、死を選ぶことを
  徳としています」(p328)


この記事が参考になったと思った方は、
クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓ 
blogranking.png
人気ブログランキングへ


侍 (新潮文庫)
侍 (新潮文庫)
posted with amazlet at 17.05.04
遠藤 周作
新潮社
売り上げランキング: 13,452

【私の評価】★★★★☆(80点)



楽天ポイントを集めている方はこちら



読んでいただきありがとうございました!


にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ第3位
にほんブログ村



この続きは無料メールマガジン 「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』:1ヶ月30冊を超える情報をe-Mailで」でお読みいただけます。

無料メルマガ購読 スポンサードリンク

コメントする

カテゴリー評価別

>月別(2002年7月~)

最近のコメント

  • TOK: 私は咽頭がんでした がんとは老化ですか こころが軽くなりました  続きを読む
  • おお: 最近、映画「ビリギャル」を再び見ました。 誇張の部分があるかもしれませんが、 私は素直に坪田先生とさやかちゃんに共感しました。 ど 続きを読む
  • HA: 会社組織で仕事を上手く進めていく指南書。 わかりやすく、自分のためになる本であった。 また、他の人にも勧めたい。 続きを読む
  • ryo: 名言セラピーは、全部読みました。 とても好きな本です。 いつも私の知らない本の書評で、 読書の指標になってますが、 こうして読んだ 続きを読む
  • 本のソムリエ: 中国製を辞めて、PRC(People's Republic of China)とは、頭いいですね。 国際関係で誠意を期待してはいけ 続きを読む
  • haru: こんにちは。 中国関連本といえば、こちらもお薦めします。 『メイド・イン・PRCの恐怖』郡司和夫著。桜の花出版。 PRCって、なん 続きを読む
  • KH: Kindle読み放題が始まってから、先日ソムリエ様がまとめてご紹介下さった本を順番に読んでおります。 どれもいい本でしかも読み放題 続きを読む