「戦争にチャンスを与えよ」エドワード・ルトワック

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戦争にチャンスを与えよ (文春新書)

【私の評価】★★★★★(93点)


■アメリカの戦略シンクタンク顧問であり、
 安倍首相とも会談している著者が教える
 外交戦略の真実です。


 ルトワックさんは、外交における
 戦略は「逆説的」になると説明します。


 つまり、外交においては

 ・平和が戦争につながる、
 ・勝ち続けると負ける、
 ・難民支援が紛争を継続させる、

 といった常識と反対のことが起こるのです。


 たとえば、紛争からの難民を支援すると、
 難民にまぎれた戦闘員を支援することになり、
 紛争が終わらなくなる、
 といった事象があります。


・「フツ族がかわいそうだ」というだけで、
 ルワンダから越境してきたフツ族をかくまう
 難民キャンプを設置し、彼らに食事を提供した。
 ところが、昼間に配給された食事で腹を満たした
 フツ族は、夜中には国境を越えて、ツチ族を
 殺しに行ったのである(p25)


■ルトワックさんは2016年に
 安倍首相と会談しています。


 会談の内容は説明されていませんが、
 著作の内容から、中国包囲網の形成と
 尖閣諸島への武装人員の常駐を
 提案しているものとみられます。


 中国はこれまで、勝てると思えば
 チベット、ブータンを侵略し、
 ロシア、ベトナムと領土紛争を起こし、
 南シナ海を埋め立ててきました。


 つまり、中国に日本の立場を
 はっきりと行動で伝えなくては、
 中国が尖閣諸島侵略を決断する
 可能性があるということです。


中国と対峙する際に、「あいまいさ」は
 最も危険で有害なものだ
。日本政府は、
 これまで、中国漁船が尖閣周辺の接続水域で
 操業するのを許してきた。同時に、日本の漁船も、
 同じ場所で操業してきたわけだが、これこそが
 私が危惧する「あいまいさ」である(p64)


■ルトワックさんは
 喧嘩が強い人だと思いました。


 そして、弱肉強食の世界に、
 理想や誠意、公正や親切といった
 ファンタジーを持ち込むと、
 かえって紛争を招くと
 考えているわけです。


 逆にこうした紛争や対立が、
 地域の緊張感を増すことで、
 国家の革新、挑戦、躍動を
 促進するとも言っています。


 危機はチャンス。
 安定は危機なのですね。


 ルトワックさん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


平和が戦争につながる・・・
 平時には、脅威が眼前にあっても、
 われわれは、「まあ大丈夫だろう」と
 考えてしまう(p109)


・外部の介入によって戦争を凍結すれば、
 かえって戦争が長引いてしまう。
 これが私の論文の主張であり、
 これは難民問題でも同様だ(p27)


・戦争が平和につながる・・
 戦えば戦うほど人々は疲弊し、
 人材や資金が底をつき、
 勝利の希望は失われ、
 人々が野望を失うことで、
 戦争は平和につながるのだ(p108)


・「大きな規模で考えることができる」
 ということが、ロシアの第三の特徴だ・・
 「クマの牙はヨーロッパに向いているが、
 その柔らかい尻は日本に向いている」
 といった具合だ(p177)


・ビザンティン帝国の七つの教訓・・
 (1)戦争は可能な限り避けよ。
  ただし、いかなる時にも戦争が
  始められるように行動せよ
(p190)


・中国のパワーが上昇する・・
 ところが、そこから発生するのは、
 それまで中立、もしくは中国側についていた
 ロシアが、日・米・インド側の同盟に
 参加せざるを得なくなる(p125)


・私だったら、まずプーチンと交渉する。
 そして中国問題に集中するように
 プーチンに持ちかけるのだ(p202)


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戦争にチャンスを与えよ (文春新書)
エドワード ルトワック
文藝春秋
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【私の評価】★★★★★(93点)



■目次

1 自己解題「戦争にチャンスを与えよ」
2 論文「戦争にチャンスを与えよ」
3 尖閣に武装人員を常駐させろ―中国論
4 対中包囲網のつくり方―東アジア論
5 平和が戦争につながる―北朝鮮論
6 パラドキシカル・ロジックとは何か―戦略論
7 「同盟」がすべてを制す―戦国武将論
8 戦争から見たヨーロッパ―「戦士の文化」の喪失と人口減少
9 もし私が米国大統領顧問だったら―ビザンティン帝国の戦略論
10 日本が国連常任理事国になる方法


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