「驕れる白人と闘うための日本近代史」松原 久子

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驕れる白人と闘うための日本近代史 (文春文庫)

【私の評価】★★★★★(90点)


■「日本は歴史を直視せよ」
 という人がいます。


 そういう人は、
 適切に回答できないと
 ますます増長してきます。


 この本は、ドイツにおいて
 外国人の主張におもねるのではなく、
 反論すべきは反論してきた
 著者の一冊なのです。


 ホロコーストと南京事件を
 同一視する人には、
 それは違いますよ、
 と説明しなてくはなりません。


・ホロコーストは民族絶滅を目的とした
 ドイツの政策であって、戦争とは全く
 無関係の殺戮であること、そういう
 発想そのものが日本人の思惟(しゆい)
 方法の中には存在しないと反論(p4)


■驚くべきは、この本が1989年に
 ドイツ語で出版された
 ということでしょう。


 ドイツで著者は、
 西洋人から日本の歴史について
 批判を受けてきました。


 そしてそれに反論してきた内容を
 著書として取りまとめたのです。


 原書の副題は「真実と挑発」であり、
 日本人の自分としては真実としても
 相手から見れば"挑発"と
 取られることもあったのでしょう。


・西洋人が、・・我々の助けがなかったら、
 日本の近代化は決して成らなかった」と
 言うのをしばしば耳にする・・
 事実はこうである。日本政府は開国の後、
 「自国の費用で」何百人という日本の学生を
 ヨーロッパの工業国に留学させた。
 そして日本政府は、同様に「自国の費用で」
 学者や技術者を日本に招聘した(p40)


■世の中には
 「言い得」「ごね得」というものが
 実際に存在します。


 攻撃的な相手には、
 それに応じた対応が必要なのだと
 思いました。


 ただ、そうした対応は
 日本人は得意ではありませんが、
 「言い得」を許さないためにも
 正しい知識が必要なのでしょう。


 松原さん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・アヘン戦争を仕掛けて中国を屈服させた
 欧米列強が、今度は、虎視眈々と日本を
 取り囲むようになってはじめて、
 日本は開国に踏み切った。
 ここで特筆されるべきは、日本が
 欧米の植民地にされなかった、
 という一点である(p24)


・大航海時代を生み出した原動力は、
 自然に呪われたヨーロッパ大陸の貧しさを
 克服したいという願望だった。
 「あなた方は行って、子孫を増やし、
  大地を征服しなさい」
 この神の言葉を彼らは見事に
 実践したのである(p151)


・欧米が日本に与えてくれた教訓の中で、
 最も悲しい教訓は、強くなければならない、
 欧米に支配されている世界で
 生き延びていくためには、
 軍事的に強くなければならない
 という教訓だった(p237)


・スペインの説教師ジュニペロ・セラ・・
 セラの指導の下にカルフォルニアに
 設立されたキリスト教布教根拠地では、
 1770年以降、何十万人ものアメリカ先住民が
 奴隷のように扱われてきた。彼らは、
 反抗的な態度を取ると、鎖で縛られ、
 鞭で打たれ、拷問にかけられて殺された(p154)


・全ての人間に無条件の精神の屈服を要求し、
 教会の教えに逆らう言動に対しては
 残忍と冷酷を極めて罰するという宗教は、
 日本にはなかった(p139)


・1620年に180トンのメイフラワー号に乗って
 イギリスから男女合わせてほぼ百人の清教徒が
 アメリカにやってきた・・その半世代の後には、
 この地方にはもう一人の先住民も住んでいなかった。
 麻疹、疱瘡、百日咳、コレラの免疫がなく
 次々に感染して死亡し、あるいは撲殺され、
 射殺され、また追い払われたのだった(p155)


・東インド会社はインドでアヘンを栽培させ、
 張りめぐらされた仲介人の網の目を通じて
 広東へ運ばせていたのである・・
 アヘンの常習者は増える一方で、
 中国の各都市にはアヘン窟が次々にできた(p177)


驕れる白人と闘うための日本近代史 (文春文庫)
松原 久子
文藝春秋
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【私の評価】★★★★★(90点)


■目次

「西洋の技術と東洋の魅力」
世界の端で―「取るに足らない国」だった日本
劣等民族か超人か―「五百年の遅れと奇跡の近代化」という思い込み
草の根民主主義―江戸時代の農民は「農奴」ではなかった
税のかからない商売―商人は独自の発展を遂げていた
金と権力の分離―サムライは官僚だった
一人の紳士―初代イギリス駐日公使・オールコックが見た日本
誰のものでもない農地―欧米式の「農地改革」が日本に大地主を生んだ
大砲とコークス―日本はなぜ「自発的に」近代化しなかったのか
高潔な動機―「白人奴隷」を商品にしたヨーロッパの海外進出
通商条約の恐ろしさ―日本はなぜ欧米との「通商関係」に恐れたか
茶の値段―アヘンは「中国古来の風習」だと信じている欧米人
ゴールドラッシュの外交官―不平等条約で日本は罠に陥った
狙った値上げ―関税自主権がなかったために
頬ひげとブール―欧米と対等になろうとした明治政府
猿の踊り―日本が欧米から学んだ「武力の政治」
たて糸とよこ糸―今なお生きる鎖国時代の心


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