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「ブンヤ暮らし三十六年: 回想の朝日新聞」永栄 潔

2017/02/26公開 更新
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ブンヤ暮らし三十六年: 回想の朝日新聞


【私の評価】★★★☆☆(73点)


要約と感想レビュー

 朝日新聞といえば、慰安婦報道や教科書検定誤報事件、そしてサンゴKY事件などが思い出されます。しかし、この本を読むと、こうした捏造は日常的に行われていることがわかります。いつもやっているので、麻痺してしまっているのです。


 著者は若い時、「少女が犬に噛まれて軽症」という記事を書いて本社に送ったら、「犬が少女を襲い、重症」という記事に変わっていたというのです。こうした体験を通して、朝日新聞の若手記者は、角度をつけることを学んでいくのです。


・少女はパンの耳を拾い、犬にやろうとした。その瞬間、噛まれた・・「七針縫ったが、軽傷」だった・・夕刻、本社に送られた原稿を見て仰天した。広場で遊んでいた女の子を、黒い大きな犬が突然、背後から襲い、逃げまとうB子ちゃんを噛んで重症を負わせたと修正されていた・・「これ、全然、違うんですけど・・」不肖が言うと、守本(孝)さんは「ええんや、ええんや。こうせんと、本紙(社会面などのこと)に載らへん・・(p64)


 また、朝日新聞には「なんで朝日の経済部長が、二流商社の部長に会わんといかんねん!会いっこないやろ」と常務以上の面談を強要する傲慢な部長がいたり、天皇責任の特集を提案する人がいたりする話がおどろおどろしい。


 そうした傲慢な人たちのパワーバランスによって、朝日新聞は日々編集されているのです。いやー、朝日新聞がここまでひどいとは、びっくりしました。永栄さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・慰安婦問題・・朝日の田中論説主幹が「本人の懺悔だよ。ぼくは事実だと思うな」と言われたのに対し、読売の島論説委員長は「現地で調べてきた秦(郁彦)さんは無根だと言っている。ぼくは吉田の話を疑っている」と言っておられた(p41)


・富山で日本教職員組合(日教組)の全国教研集会が開かれており、新聞を教材に使った学習事例の報告が続いた。教材となった新聞が一般紙は読売新聞の記事が一つだけあっただけで、残りはすべて『赤旗』だった・・「学習教材はほとんど『赤旗』」の仮見出しで三十行ほどの原稿を出稿した。ボツだった(p94)


・本田(雅和)君は、天皇が病床につくや、『週刊朝日』の班会(自分の書きたいテーマを挙げる。五人いるデスクごとに班を作り、水曜日に開いていた)でも、「(天皇が)生きている間に、戦争責任の特集を組みましょう。死んでからでは意味がない」と言い続けていた(p49)


・娘が小学校三年のとき、「お父さん、世界でいちばん悪い人、だれだか、知っている?」と聞いてきた。「だれだろうなあ、ヒトラーかな」と答えると、娘は目を輝かせて「違うよ、天皇だよ。先生が教えてくれたもん」と言ったので驚いたことがある(p322)


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【私の評価】★★★☆☆(73点)



目次

朝日が抹殺した"微生物蛋白"
カドミウム汚染米データの差し替え
北陸電力から「C」査定!?
郵政省貯金局長の嘘を信じて大誤報
不肖も一枚噛んだ「従軍慰安婦」報道
朝日・読売論説トップの「慰安婦問題」対話
入社式で飛び出した天皇の戦争責任
「死去」か「崩御」か、二度目の天皇論議
生物学者・昭和天皇の真面目
視点に合う人物を探す取材の模倣と違和〔ほか〕


著者経歴

 永栄潔(ながえ きよし)・・・1947年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1971年に朝日新聞社入社。富山、大津の両支局を経て、大阪・東京各経済部に所属。そのほか、「週刊朝日」「月刊Asahi」「論座」の副編集長、「AERA」スタッフライター、「大学ランキング」「週刊20世紀」の編集長などを歴任。


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