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「ウィキリークスでここまで分かった世界の裏情勢」宮崎 正弘

2017/01/24公開 更新
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ウィキリークスでここまで分かった世界の裏情勢


【私の評価】★★☆☆☆(66点)


要約と感想レビュー

 タイトルに引かれて購入した一冊です。ウィキリークスとは2006年に設立され、常勤スタッフは数名、ボランティア作業に加わるシンパが400名前後で国家の秘密情報を公開している組織です。ウィキリークスが大量の米国の外交公電をリークして話題になったのは2010年頃です。


 この本は2011年にウィキリークスについて解説した一冊です。当時の日本は民主党政権でした。民主党政権の外交は、米国にはビジョンがなく、愚かに見えていたいようです。米国より中国寄りの外交をしていた影響もあるのでしょう。これは秘密というより、現状報告です。このようにウィキリークスは一時盛り上がりましたが、それほどの機密は表に出ていないようです。


日本に対しては「肥満した敗者で、指導者にビジョンが欠落し、質が悪い」などと書かれていた(p18)


 ウィキリークスで公開された大量の機密文書のなかで重要な情報はごく一部です。そしてリークされた内容は、想定の範囲内のものが多いとのことです。しかし、想定内であってもそれを正式な公電の形でリークされると、アメリカとしても面子丸つぶれです。本当のことを言われたときにこそ、人は頭に来るのです。


 リークされた大量の文書の中から重要な情報を抽出し、全体像を把握する作業が必要になります。そうした分析と情報の裏取りをメディアと連携して行っているのが、ウィキリークスなのです。ウィキリークスの内容を体系的に説明してもらいたかったのですが、この本のなかではどこまでがウィキリークスの情報で、どこまでが著者の見方なのかよくわからないところがありました。次に期待しましょう。


・ウィキリークスの暴露公電のなかで同タイム誌の数字を用いると、トップシークレット(最高機密)2%、シークレット(機密)77%、コンフィデンシャル(内密)21%(p222)


 日時も含めて引用先を明確にして、事実と分析を明確にすると参考になるのではないでしょうか。宮崎さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・鳩山政権ができて、外交のガの字も知らない岡田外相(当時)は密約を調査して公表するなどと言い出した。「密約」問題に関する有識者委員会の調査結果の公表は外交常識を踏みにじる行為・・(p28)


・サウジアラビア国王が執拗にイランへの攻撃を要請した・・リビアのカダフィ大佐がブロンドのウクライナ美女を四人、いつもそばに置いているとか、「同盟」のはずのアフガニスタンのカイザル大統領への低い評価など(p18)


・ウィキリークスが暴露した最新情報は、中国がネパールの国境警備員を買収し、同国経由でインドに亡命するチベット人を拘束させているという・・(p55)


・イェーメン南部のアルカイダ秘密基地を爆撃したのはイェーメン空軍ではなく米軍だった(p225)


・政治局常務委員の周永康(規律担当)はカナダに二千万ドルの秘密口座を開設・・・ニューヨークの銀行口座には王岐山(副首相)、周小川(人民銀行総裁)の家族名義の口座が多数確認(p44)


・ロシアのマフィア武器団を率いるバウド・・・タイの飛行場に強制着陸させられ、武器は押収された。ロシアはこのときタイの高官に賄賂を贈り、バウドが米国へ引き渡されるのを未然に阻止した(p133)


・ボーイングの売り込み作戦・・・トルコとタンザニアへの売り込みには当該国家に児玉誉士夫的なフィクサーが存在し、明らかに賄賂とわかる金額がスイス銀行の匿名口座に送金されていた(p129)


・「スペース・シャトルの乗組員にトルコの宇宙飛行士を加えろ」というのは「トルコ航空が20機をボーイングに選定する条件だった」(p128)


ウィキリークスでここまで分かった世界の裏情勢
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【私の評価】★★☆☆☆(66点)


目次

〈プロローグ〉ウィキリークスの秘密暴露は情報テロか?
第1章 日本をめぐる噂と機密のあいだ
第2章 ウィキリークスが暴露した超弩級の中国機密
第3章 世界は密約と陰謀で動く、日本は友愛と善意で臨む
第4章 日米同盟に亀裂、米中同盟は深化
第5章 ウィキリークスでここまでわかった世界の裏舞台
第6章 なぜ日本は弘報(情報戦略)にこれほど脆弱なのか
〈エピローグ〉情報戦争、これからどうなる?



著者経歴

 石平(せき へい)・・・評論家。1962年、中国四川省成都市生まれ。1980年、北京大学哲学部に入学後、中国民主化運動に傾倒。1984年、同大学を卒業後、四川大学講師を経て、1988年に来日。1995年、神戸大学大学院文化学研究科博士課程を修了し、民間研究機関に勤務。2002年より執筆活動に入り、2007年に日本国籍を取得。


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