「官僚たちの夏」城山 三郎

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官僚たちの夏 (新潮文庫)

【私の評価】★★★☆☆(73点)


■私はホンダのオデッセイに乗っていますが、
 実はホンダの車に乗れなくなる
 可能性があったのです。


 それは1960年代に通産省が検討していた
 「特定産業振興臨時措置法(特振法)」
 です。


 もし、この法律が成立していれば、
 自動車会社によって作る車が決められ、
 新規参入もできないことになった。


 もちろん、バイクを作っていたホンダは
 自動車に参入はできません。


・自動車産業では、欧州車など外車の輸入増大が
 続き、まだ基盤の固まらぬ自動車メーカーに
 脅威を与えている。・・通産省としては・・
 早急に自動車産業の競争力を強化する必要が
 あった。(p48)


■この本では当時の通産省の内幕を
 異色の官僚"風越"を通して
 描いています。


 通産省のキャリアーは、
 民間企業を行政指導して、
 産業を育成しようと考えます。


 その答えが、産業の統制、
 役割分担の明確化だったのです。


 現在の石油業界の設備廃棄を推進する
 エネルギー供給構造高度化法(高度化法)や
 産業競争力強化法に似ていますね。


・日本の産業界は、いまや総力をあげて
 外資を迎え撃たねばいかんところへ来ている。
 みんなが自分のことばかり考えていたのでは、
 日本は滅びる。戦争中と形こそちがうが、
 挙国一致のときなのだ(p248)


■官僚が保護した産業は弱くなる、
 という本を読んだことがあります。


 そのことを証明しているような
 本だと思いました。


 いくらもっともらしい方針であっても
 経験と責任がない人に、
 正しい判断は難しいのでしょう。


 城山さん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・うらみにも、いろいろとある。
 ひとつは、役所に突き放された、
 たとえば、行政指導がきびしすぎるというやつ。
 だが、それは、天下国家のためを思って、
 突き放しもし、きびしくするものであって、
 それがいつかは回り回って、
 その業界の役にも立つのに、
 彼等には、それが見えん(p38)


・外務省が本質的に対外協調で、開放的。
 わるくいえば、対外追随であるのに対し、
 通産省は自立論。民族主義的とさえいえる(p93)


・国内産業の保護育成を優先するか、
 それとも、通商貿易中心に考えるかで、
 考え方に微妙な差が出てくる。
 風越の重工業局など原局筋が、前者、
 つまり「産業派」「民族派」であるのに対し、
 通産局・貿易振興局系統は、
 「通商派」「国際派」と目される(p107)


・<役人は誇りを持て>」というのが、
 風越の信条であった。<財界の大物に対しても、
 頭を下げるな。むしろ、お高くとまれ>といい、
 風越自身、そうした姿勢を貫いてきた(p204)


・おれたちは、国家に雇われている。
 大臣に雇われているわけじゃないんだ(p8)


・今度の人事は、明らかに政治的雑音によるもの。
 たとえ形式的に大事に任命権があるとしても、
 次官や省内の意向を無視しての発令は、
 筋ちがいも甚だしい(p277)


・通産省は外務省とはちがう。
 先輩たちの例を見ても、次官の本命を
 行く連中は、海外勤務を経験していない(p25)


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