人生を変えるほど感動する本を紹介するサイトです
本ナビ > 書評一覧 >

「はじめての福島学」開沼博

2016/07/07公開 更新
本のソムリエ
本のソムリエ メルマガ登録[PR]

はじめての福島学


【私の評価】★★★☆☆(75点)


要約と感想レビュー

 東京電力福島第一原子力発電所の炉心溶融事故から4年。(出版当時)復興中の福島の現状を知ろう!という一冊です。放射能という見えない敵に対して私たちはどう対応すればいいのでしょうか。放射能については、ほぼ影響がなくなっています。また、放射線量の基準も厳しい方向に見直され厳格に管理されています。放射能については、ほぼ風評被害が課題といえる状態だと思います。


 例えば、福島県では放射線について、年間1000万袋ほどの県内産米の全量全袋検査を行っています。そのうち放射線量の法定基準(1kgあたり100ベクレル)を超える袋は2012年度生産分で71袋、2013年度生産分で28袋。2014年度生産分については、2014年度末時点で0袋だというのです。


 この日本の100ベクレル/kgという規準は、米・野菜ならば500ベクレル/kgでだったものが、3・11から1年後に一般食品では5倍規準を厳格化したのです。セシウムの基準値は、日本で米を含む野菜の場合、EUが1250ベクレル/kg、米国は1200ベクレル/kgなので、日本の基準は欧米の10倍厳しいのです。


 福島県では、農業や漁業の従事者が仕事を再開できずにいますが、そもそも、原発事故以前から、高齢化が進んでいたことや、儲けが少ないことなどの背景があるのです。農業、漁業の復興は道半ばですが、これは原発事故の影響もありますが、元々の高齢化や後継者不在という問題はあったのです。


 こうした事故も想定して東北に原子力発電所を作ったのでしょうから、東京電力には東北地域の住民と企業にさらに迷惑をかけない方法で現状回復をお願いしたいと思います。開沼さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・復興は早急になされた・・・19兆円の大方が早々に消化されてしまい、6兆円が追加されました。つまり、25兆円の予算になりました(p27)


・2014年時初時点での日本の人口減少のワーストスリーは秋田、青森、山形です・・福島よりもヤバい状況になっています(p50)


・福島のJAが扱う2011年産米の売買契約が7割達成された・・震災によって宮城や岩手の農地が被害を受けたため、米不足が起こっていた・・低価格米は外食企業などでニーズがあり、福島米の割安感が高まる中で引き合いが増えた(p133)


・福島では一次産業が占める割合が・・7.6%・・「電気・ガス・熱供給・水道業」・・0.8%・・製造業・・これはたしかに20.1%でとても大きいです・・卸売業・小売業の15.2%、医療・福祉の10.2%、宿泊業・飲食サービス業の5.5%(p277)


▼引用は下記の書籍からです。
はじめての福島学
はじめての福島学
posted with Amazonアソシエイト at 16.07.06
イースト・プレス (2016-03-18)
売り上げランキング: 12,831


【私の評価】★★★☆☆(75点)


目次

復興
人口
農業
漁業・林業
二次・三次産業
雇用・労働
家族・子ども



著者経歴

 開沼博(かいぬま ひろし)・・・1984年福島県いわき市生まれ。東京大学文学部卒。同大学院学際情報学府博士課程在籍。専攻は社会学。現在、福島大学うつくしまふくしま未来支援センター特任研究員。


関連書籍

「小説1ミリシーベルト」松崎忠男
「世界一わかりやすい放射能の本当の話 完全対策編」宝島社
「復興の日本人論 誰も書かなかった福島」川口 マーン惠美
「放射線医が語る福島で起こっている本当のこと」中川 恵一
「はじめての福島学」開沼博
「ヤクザと原発 福島第一潜入記」鈴木 智彦


楽天ポイントを集めている方はこちら



読んでいただきありがとうございました!


この記事が参考になったと思った方は、
クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓ 
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ第3位
にほんブログ村

blogranking.png
人気ブログランキングへ

<< 前の記事 | 次の記事 >>

この記事が気に入ったらいいね!

この記事が気に入ったらシェアをお願いします

この著者の本


コメントする


同じカテゴリーの書籍: