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「外務省犯罪黒書」佐藤 優

2016/06/08公開 更新
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外務省犯罪黒書


【私の評価】★★★★☆(83点)


要約と感想レビュー

 2006年頃に「月刊現代」に掲載された佐藤さん「外務省『犯罪白書』」を一冊の書籍にしたもの。2002年に佐藤さんは逮捕され、2009年に有罪が確定しているので、裁判中に外務省職員の立場で書いたものです。外務省からの圧力に対して、佐藤さんは「私は死に場所を求めている」と言っています。


・筆者への警告・・外務省も組織だ。しかも国家機関だ。甘く見ているとどうなるか、よく考えておけ。特に野村一成前ロシア大使(現東宮大夫)に触る記述をした場合、どうなるかよく考えておいたほうが身のためだ。「菊のタブー」がどういうものか、佐藤も思い知ることになろう。ちなみに山手線や地下鉄に乗るときは、あまり線路寄りに立たないことだ。健康に注意されたい(p112)


 佐藤さんの暴露内容は、裏金の作り方。記者の弱みを握る方法。外交特権のある外交官の海外での犯罪の揉み消し方。都合の悪い外務大臣を失脚させる方法。外務省で出世する方法。


 さもありなん、といった内容です。


・鈴木氏から筆者は以下の話を伝えられた。「佐藤さん、さっき飯村が訪ねてきて、早く国会で田中大臣と対決しろというんだ。このままでは外務省がもちません。田中の婆さんは、自分のおとうちゃん(田中角栄元首相)は偉かったという 思いだけで動いています(p123)


 あまり仕事をしないほうが出世する、というのは、どのような組織でもあると思います。そのほうが、失敗しないから、頭のいい選択肢なのですね。


 佐藤さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・在ドミニカ共和国特命全権大使をつとめている岡本治男氏が、モロッコで酩酊した上、自動車を運転し、人を殺したにもかかわらず、刑事責任を免れ、外務省の処分もわずか定職1ヵ月に過ぎないという事実が判明した(p24)


・筆者自身、モスクワに在勤したときに、同僚が酒盛りの後、酩酊状態で起こした人身事故を警察署まで赴いて揉み消したことがある。もちろん上司の指示に基づいて行った「仕事」だ(p27)


・在瀋陽総領事館での北朝鮮人亡命事件、在上海総領事館員(電信官)自殺事件、沖縄密約問題に関する虚偽答弁、北朝鮮による拉致問題解決に向けた交渉の停滞、北方領土交渉の行き詰まりまどは、川口-竹内コンビの時代に起きている(p89)


・外務省は「霞クラブ」の記者を外務官僚にとって都合の良い記事を書く「与党」とそうでない「野党」に区別する・・政官界に影響を与えるテレビ朝日の「サンデープロジェクト」などは放送内容を活字に起こして回覧する(p108)


・首相や外相に同行した記者たちをいかがわしい店に誘い、楽しませ、その実態について報告書を握っておくというのも外務官僚のお家芸だ(p109)


・VOAは、単にアメリカの宣伝放送を流していただけではなくて、対岸の中国の情報を傍受していたんです。そういうこともあるから、沖縄は都合のいい場所であったんです。(p163)


・外務省ではあまり責任感を持たない方が出世するんです。特に事務次官になるためには・・仕事をあまりやり過ぎないほうがいいのかもしれません(吉野文六)(p198)


外務省犯罪黒書
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佐藤 優
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【私の評価】★★★★☆(83点)


目次

1 隠蔽される不祥事
2 公金にタカる官僚たち
3 対マスコミ謀略工作
4 私が手を染めた「白紙領収書」作り
5 「沖縄密約」最後の封印を解く
6 沖縄密約―日本を奇妙な国家にした原点
7 日本外交「再生」への提言



著者経歴

 佐藤 優(さとう まさる)・・・1960年生まれ。日本の作家。学位は神学修士(同志社大学・1985年)。同志社大学神学部客員教授、静岡文化芸術大学招聘客員教授。在ロシア日本国大使館三等書記官、外務省国際情報局分析第一課主任分析官、外務省大臣官房総務課課長補佐を歴任。2002年に鈴木宗男事件に絡む背任容疑で逮捕される。2005年に執行猶予付き有罪判決(懲役2年6か月、執行猶予4年)を受け東京高等裁判所、最高裁判所は上告を棄却し、判決が確定した。


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