「米中開戦1~4」トム・クランシー、マーク・グリーニー
2016/03/22公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(92点)
要約と感想レビュー
8年前に、中国の南シナ海進出と、米国へのサイバー攻撃を予想した一冊です。この小説の中では、中国のサイバー攻撃により、米国のスパイ網が崩壊し、無人飛行機が乗っ取られます。原子力発電所で事故が発生し、衛星通信、GPSが稼働を停止し、金融取引、電話が不通となるのです。
・中国のハッカーはアメリカの都市の送電システムを破壊し、アメリカの旅客機を山腹に突っ込ませることができます(2-p211)
そして、人民解放軍は、戦闘機による台湾への挑発を開始します。弾道ミサイルにより、南シナ海から米軍空母を追い出します。8年後の今にしてみれば、中国の南シナ海への進出の脅威は当然のように感じますが、当時でもわかる人にはわかっていたのでしょう。
・中央軍事委員会主席の頭の中にはすでに、南シナ海のあらゆる島嶼、砂州、岩礁を奪取するための詳細な作戦計画があるにちがいない・・さらに、台湾への海上アクセスを完全に拒否する(1-p227)
それに対し米国は、中国国内のサイバー攻撃の拠点を直接攻撃します。さらに、マラッカ海峡に入る中国のタンカーを阻止します。現実の中国の攻撃に対し、米国はどう出るのでしょうか。クランシーさん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・第三部は、わが国の積年の目標である台湾の併合・・・海上交通路を制限する。そうやって、ゆっくり時間をかけて台湾の連中にわからせるのだ(1-p223)
・これは終わりではない。この中国の工兵大隊によるスカボロー礁占領は最初の小さな一歩にすぎない。(2-p222)
・中国は、台湾海峡から他国の軍艦をすべて排除し、南海 南シナ海からも、自国の領海内を航行するもの、および中国領海を通過する許可を得たものをのぞくすべての軍艦を排除いたします(3-p130)
・中国の国家安全法は、国民にいかなる国家安全当局者にも協力し、その命令・指示にしたがうことを義務づけ、ホテル業をはじめとする全産業に無制限の作戦協力を命じている・・中国の高級ホテルの大半は、・・映像と音声をモニターして価値ある情報を盗み出せる(4-p52)
・中国軍はアメリカ軍の接近・領域侵入を阻止する構えです・・台湾攻撃専門の短距離弾道ミサイル旅団が五個もあります・・その五個旅団は1000発以上のミサイルを有しております・・東風21号D型は、"空母殺し"の弾道ミサイルです。みずからレーダーを搭載し、追尾に必要な情報を衛星のデータから得ることができます(4-p200)
▼引用は下記の書籍からです。
新潮社 (2013-12-24)
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【私の評価】★★★★★(92点)
著者経歴
トム・クランシー(Tom Clancy)・・・1947年メリーランド州ボルチモア生まれ。1984年『レッド・オクトーバーを追え! 』が大ベストセラーとなり、流行作家の仲間入りを果たす。同作の主人公ジャック・ライアンが活躍するシリーズのほか、『オプ・センター』シリーズや『ネットフォース』シリーズ(いずれも共著)など、数々のヒット作を生み、ゲーム制作にも乗り出した。2013年死去。
マーク・グリーニー(Mark Greaney)・・・1967年生まれ。アメリカ合衆国の小説家。ミステリーおよびスリラー小説を手掛け、トム・クランシーの共著者としても知られている
読んでいただきありがとうございました!
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