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「あの日」小保方 晴子

2016/03/01公開 更新
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あの日


【私の評価】★★★★☆(82点)


要約と感想レビュー

悪意を持ったマスコミ報道

STAP細胞を捏造したと断罪された小保方さんの一冊です。大学時代から、STAP細胞事件による博士号の学位取り消しまでが書かれてあります。落ちるところまで落ちた今、小保方さんは何も恐れるものはないということなのでしょう。


STAP細胞事件では、なぜか研究の指導者であった若山照彦教授がマスコミに情報をリークし、それがそのまま報道されるという状態になりました。そして、マスコミ関係者の悪意を持ったかのような取材姿勢と、一部だけを切り取って印象操作のような報道に小保方さんは不満を持たれているようです。


そもそもSTAP細胞を作製し、保存していたのは若山照彦教授なのにもかかわらず、理研の小保方さんだけが調査対象とされ、サンプルに触れることも許されないのに、若山照彦教授は自由に行動できていたのです。


取材依頼は連日のように来た・・・返事をすると都合のいいところだけを抜粋して記事に使用され、返事をしないと「返答がなかった」と報じられた(p183)

キメラマウスは若山先生が作製

小保方さんの主張は、STAP細胞には第一段階「多能性の発現」→第二段階「キメラマウスの作製成功」があって、小保方さんは第一段階まで確認した、ということです。そして第二段階は、若山照彦教授が確認したのです。


したがって、第一段階までは検証できるが、第二段階は若山照彦教授でないと検証できない、と小保方さんは言います。ところが、なぜか、検証実験に若山照彦教授は参加しませんでした。そのような状況で、小保方さんは第二段階を再現することはできなかったため、STAP細胞は存在しないということになったのです。


検証実験のSTAP細胞の作製成功の基準と定められてしまった「多能性の確認」の実験はすべて若山先生の担当部分だった。若山先生の実験によって証明されたキメラマウスの作製が、検証実験では成功しなかったために、検証実験はすべては失敗に終わり、STAP細胞の存在は確認されなかったと結論付けられてしまった(p239)

取材という強迫

後半では、報道各社の取材方法を記者の実名入りで紹介しています。そして、その強引な取材と過剰演出で、事実と反する内容を報道する姿勢を批判しています。特に毎日新聞の須田桃子記者からの取材は脅迫のようなメールと表現しています。返事をしなければこのまま報じますよ」と取材する相手を脅すようなやり口だというのです。


その結果、笹井芳樹教授は自殺したけれども、私は死を選ぶのではなく、この本を書くのだ。小保方さんは、そう言いたかったのではないかと感じました。小保方さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・若山先生が独立してSTAP細胞を作製し、STAP幹細胞樹立まで成功した実験が行われた時、私はその場にいなかった(p210)


・サンプルボックスをそのまま理研に引き継いだが、その前に若山先生は私の名前が書かれたサンプルボックスを開け、中身の一部を私には相談なく抜き取り山梨大に持ち出していたようだ(p156)


・撤回理由書がウェブ上で公開となった日、いつものように検証実験のために待機していると、「巧妙に書き換えられている」と、最終的にネイチャーから発表された撤回理由書を丹羽先生が持ってきた・・若山先生が著者たちが全員同意のサインをした後に、他の著者に知らせずに単独で撤回理由書の修正を依頼していたことが明らかとなった(p197)


・「NHKスペシャル」が放送された・・私の実験ノートのコピーなどがすべて流出し、無断で放送に使用されたうえ、私が凶悪な捏造犯であるかのような印象を持たせるように、一方的な情報提供によって過剰演出をされた(p189)


▼引用は下記の書籍からです。
あの日
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小保方 晴子
講談社
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【私の評価】★★★★☆(82点)


目次

研究者への夢
ボストンのポプラ並木
スフェア細胞
アニマル カルス
思いとかけ離れていく研究
論文著者間の衝突
想像をはるかに超える反響
ハシゴは外された
私の心は正しくなかったのか
メディアスクラム
論文撤回
仕組まれたES細胞混入ストーリー
業火
戦えなかった。戦う術もなかった
閉ざされた研究者の道



著者経歴

小保方 晴子(おぼかた やすこ)・・・早稲田大学、東京女子医科大学、ハーバード大学医学大学院、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)で研究に従事。


STAP細胞関連書籍

「STAP細胞 事件の真相」佐藤貴彦
「STAP細胞 残された謎」佐藤貴彦
「あの日」小保方 晴子
「捏造の科学者 STAP細胞事件」須田 桃子
「STAP細胞はなぜ潰されたのか ~小保方晴子『あの日』の真実~」渋谷 一郎


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