「石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか? エネルギー情報学入門」岩瀬 昇

| コメント(0) | このエントリーをはてなブックマークに追加

石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか? エネルギー情報学入門 (文春新書)

【私の評価】★★★★★(90点)


■三井物産でエネルギー関連事業に
 取り組んできた岩瀬さんが、
 ご経験をまとめた一冊です。


 大手商社だけあって、
 原油、天然ガス、石炭など
 エネルギーの見方はしっかりしている。


 エネルギー自給率4%の日本は、
 エネルギーの安定確保こそが
 重要ということです。


・我々がエネルギー問題を考える場合、
 もっとも大事なのは一次エネルギーと呼ばれる
 石油、天然ガス、石炭、原子力、そして
 水力を含む再生エネルギーをどこから、
 どの程度の割合で長期的に確保するか、
 ということではなかろうか(p15)


■興味深かったのは、

 なぜ、日本のLNGは原油リンクなのか?

 石油はコモデティなのか、戦略物資なのか?

 エネルギー政策をどう考えるのか?

 という本質的な疑問を
 テーマとしているということです。


 日本はどういう国になりたいのか。
 そのために、長期的地球規模の視点に立って
 どういう選択肢があるのか、
 考える必要があるのでしょう。


・シェルのシナリオ・プランニング・・・
 1973年の第一次オイルショックの到来を
 見通したと言われる伝説の手法だ・・
 ほぼ5年ごとに全世界の動向とエネルギー事情を
 対象として新しいシナリオ・プランニングを
 作成し、社内外に発表している(p227)


■最後に一つ。


 何度読んでも、
 原油の先渡取引による
 節税の仕組みは理解できませんでした。


 先渡取引は保険として使えますが、
 それを引き受けてくれる人が
 いるのか、いないのか、
 そこがポイントですね。


 岩瀬さん、
 良い本をありがとうございました。


────────────────────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・ガス価格を原油価格と比較するためには、
 ガス価格に「6」をかければ、熱量等価で
 ほぼ正しい比較ができる。すなわち
 4~5ドル/100万Btuのガスは24~30ドル/バレル
 の原油に相当する(p33)


・再生可能エネルギーを電源として考える場合、
 間違っても停電をおこさないためには同容量の
 別熱源発電所を調整電源として用意しておく
 必要が生じる。当然コストは高くなる。
 電気料金に跳ね返る。(p46)


サハリン1の日本向けパイプライン構想
 電力業界の反対により実現しなかった・・
 エクソンモービルは、これを機に日本に
 新たなパイプライン網を作れば、
 物流に便利度、自由度が増し、日本に
 とっても願ったり叶ったりではないか・・
 だが、できなかった(p55)


・一般的には90%以上の回収可能性がある場合を
 「確認埋蔵量」といい、
 50%以上の場合を「推定埋蔵量」、
 10%以上の場合を「予想埋蔵量」と呼ぶ(p89)


埋蔵量に統一の定義はない・・・
 アメリカでは、既述のSEC基準と、
 世界石油工学技術者協会の定義が代表的だ。
 日本には日本工業規格というものがあり、・・・
 BP統計集に記載されている埋蔵量も、
 厳密に考えると疑問がない訳ではない(p96)


・石油・天然ガスの開発は、どんな案件でも
 手がけてから生産に至るまで、数年から10年
 ほどかかる。さあ供給不足になる、と思っても、
 すぐに生産開始に持ち込むことはできないのだ(p143)


【私の評価】★★★★★(90点)



楽天ポイントを集めている方はこちら



読んでいただきありがとうございました!

この記事が参考になったと思った方は、
クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓ 
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ第3位
にほんブログ村

blogranking.png
人気ブログランキングへ


■目次

第1章 日本の輸入ガスはなぜ高いか?
第2章 進化するシェール革命
第3章 「埋蔵量」のナゾ
第4章 戦略物資から商品へ
第5章 もう一度エネルギー問題を考える
第6章 日本のエネルギー政策



この続きは無料メールマガジン 「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』:1ヶ月30冊を超える情報をe-Mailで」でお読みいただけます。

無料メルマガ購読 スポンサードリンク

コメントする

QR_Code.gif
左記QRコードまたはこちらから、空メールを送信してください。
※空メールに返信がない場合、ドメインbookmag2.comを指定受信リストに設定してください。


全テーマ(カテゴリー)

>月別(2002年7月~)

最近のコメント

  • HA: 会社組織で仕事を上手く進めていく指南書。 わかりやすく、自分のためになる本であった。 また、他の人にも勧めたい。 続きを読む
  • ryo: 名言セラピーは、全部読みました。 とても好きな本です。 いつも私の知らない本の書評で、 読書の指標になってますが、 こうして読んだ 続きを読む
  • 本のソムリエ: 中国製を辞めて、PRC(People's Republic of China)とは、頭いいですね。 国際関係で誠意を期待してはいけ 続きを読む
  • haru: こんにちは。 中国関連本といえば、こちらもお薦めします。 『メイド・イン・PRCの恐怖』郡司和夫著。桜の花出版。 PRCって、なん 続きを読む
  • KH: Kindle読み放題が始まってから、先日ソムリエ様がまとめてご紹介下さった本を順番に読んでおります。 どれもいい本でしかも読み放題 続きを読む
  • sano: サラとソロモンを読んで、今まで以上に幸せな状態自分の心地良い状態とは一体どういったことなのだろう、何だろう?とさらに考えるようにな 続きを読む
  • (´・ω・`): 自分が買ったアイリスオーヤマの商品が2回連続で不良品の理由がこの概要でなんとなく理解できました、自分の場合は安物買の銭失いでした。 続きを読む