人生を変えるほど感動する本を紹介するサイトです
本ナビ > 書評一覧 >

「反省 私たちはなぜ失敗したのか?」鈴木 宗男/佐藤 優

2015/10/01公開 更新
本のソムリエ
本のソムリエ メルマガ登録[PR]

反省 私たちはなぜ失敗したのか?


【私の評価】★★★★☆(88点)


要約と感想レビュー

鈴木宗男と田中眞紀子の対立

外務省から排除された政治家 鈴木宗男さんと、元外務省職員 佐藤 優さんの対談です。外務省は、鈴木宗男さんと田中眞紀子さんの排除に成功しています。その方法は、官僚組織らしく二人の対立を演出するとともに、特捜部や共産党に情報をリークすることでした。


鈴木宗男さんと佐藤さんが排除された理由は、二人に影響力がありすぎること。また、「四島一括返還」に固執する外務省と「四島一括返還」という条件を妥協してロシアと交渉しようとした二人が対立し、外務省の主流派から排除されたというところでしょう。二人の実力は、排除される前に、傲慢な田中真紀子外務大臣を排除してほしいと依頼されていたことからも推察されます。


飯村豊さんという官房長はいまフランス大使ですが、「鈴木先生、とにかく田中眞紀子を排除してください。田中の首を取ってください」と、毎日のように私に言った(鈴木)(p160)

外務省の暗部

守るべきものがない二人の対談は、当時の外務省の暗部に入っていきます。白紙領収書や、在外手当ての税金問題等、組織内部者だからわかる弱点を反省と言いながら、話していきます。お二人の外務省の個人名を出しての指摘は、週刊誌的な感覚で読んでしまいました。


外務省は仕事柄、使い道の自由なお金を持っていますので、マスコミ記者を接待したり、資金を提供するなどして協力者を増やしていたようです。佐藤さんはマスコミへのリークについて、公権力は自分たちに都合のいい情報を政策広報として行っていると批判しています。リークも仕事のうちなのでしょう。


外務省の幹部は、ある国で、女性の局部からタマゴを出してそれを割るようなショーをやっている店に記者たちを連れていって接待・・さらに外務省は、記者たちに白紙領収証を渡して、彼らを懐柔していた(佐藤)(p69)

二人に怖いものはない

ここまで落ちれば、二人に怖いものはないのでしょう。佐藤さんは、中国のスパイに脅された上海総領事館員の自殺事件や、北朝鮮との秘密交渉の記録が作成されていない疑惑など、外務省の弱点を指摘しています。落ちきれていない人は、秘密を墓まで持って行くのでしょう。


また、ソ連共産党に食い込んでいただけあって、社会党左派の社会主義協会系の人々はソ連から金をもらっていたという。また、ソ連共産党も信じていないマルクス・レーニン主義を本気で信じている日本共産党もバカにされていたという。鈴木さん、佐藤さん、良い本をありがとうございました。


無料メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」(独自配信)
3万人が読んでいる定番書評メルマガ(独自配信)です。「空メール購読」ボタンから空メールを送信してください。「空メール」がうまくいかない人は、「こちら」から登録してください。

この本で私が共感した名言

・外務省報償費は使い勝手がわるいんです。外務省の内規で領収書の添付が義務づけられているんです・・外務省の報償費で3回も食事すれば、これは立派な情報提供者です(佐藤)(p67)


・自民党で将来名をなす政治家のコースは、内閣官房副長官を経験するか、党の総務局長を経験するかというのがポイントなんです(鈴木)・・両方やってのは、小沢一郎さんと鈴木宗男さんのふたりだけ。(佐藤)(p80)


反省 私たちはなぜ失敗したのか?
反省 私たちはなぜ失敗したのか?
posted with Amazonアソシエイト at 15.09.30
鈴木 宗男/佐藤 優
アスコム
売り上げランキング: 256,202


【私の評価】★★★★☆(88点)


目次

第1章 国策捜査のカラクリ
第2章 権力の罠
第3章 外務省の嘘
第4章 「死んだ麦」から芽生えるもの
第5章 見えてきたこと



著者経歴

佐藤 優(さとう まさる)・・・1960年生まれ。日本の作家。学位は神学修士(同志社大学・1985年)。同志社大学神学部客員教授、静岡文化芸術大学招聘客員教授。在ロシア日本国大使館三等書記官、外務省国際情報局分析第一課主任分析官、外務省大臣官房総務課課長補佐を歴任。
2002年に鈴木宗男事件に絡む背任容疑で逮捕される。2005年に執行猶予付き有罪判決(懲役2年6か月、執行猶予4年)を受け東京高等裁判所、最高裁判所は上告を棄却し、判決が確定した。


鈴木 宗男(すずき むねお)・・・1948年、北海道生まれ。衆議院議員・中川一郎の秘書としてスタートし、83年に衆議院議員選挙に初当選。防衛政務次官、外務政務次官、衆議院議院運営委員長、国務大臣北海道・沖縄開発庁長官、内閣官房副長官、自由民主党副幹事長、同総務局長などを歴任する。2002年、外務省をめぐる疑惑事件に巻き込まれて自由民主党を離党。同年、斡旋収賄の容疑で逮捕される。2003年に保釈。2005年9月の衆議院議員選挙に際し、新党「大地」を旗揚げし、復活を果たす。


楽天ポイントを集めている方はこちら



読んでいただきありがとうございました!

この記事が参考になったと思った方は、
クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓ 

人気ブログランキングへ

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ20.png
にほんブログ村

<< 前の記事 | 次の記事 >>

この記事が気に入ったらいいね!

この記事が気に入ったらシェアをお願いします

この著者の本 ,


コメントする


同じカテゴリーの書籍: