「不揃いの木を組む」小川 三夫、塩野 米松

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不揃いの木を組む (文春文庫)

【私の評価】★★★★★(91点)


■法隆寺、薬師寺の再建で副棟梁をつとめ、
 寺社建築会社「鵤(いかるが)工舎」棟梁の
 小川さんの一冊です。


 鵤工舎では徒弟制度で人を育て、
 共同生活10年間の修行
 匠となります。


 10年間という時間をかけて
 じっくりと人を育てるのです。


・十年の年月は隠し事やいいふりをすることが
 無駄なことを教えてくれます。・・
 苦しく辛い時間だから一刻一秒が体にしみこみ、
 百年千年という時間の意味がわかって
 くるのではないかと思っています(p5)


■印象的だったのは、
 すぐに教えてはいけないということ。


 現場でやらせてみて、
 悩まし、困らせる。


 その上で、ヒントを与え、
 自分で考えさせるのです。


 そうして得た知識こそが、
 本当に身に付いた知恵となり
 現場で生きるのです。


・困ったときに本を読むか、
 人に聞くかということでいいんだ。
 だからはじめのうちは、
 困っているからって聞かれても、
 簡単に教えたらあかんのや・・・
 だから、まずは大変だけれども、
 現場に思いきって放りこむ(p163)


■「鵤工舎」には、
 昔の日本があるように感じました。


 100年後を考えた仕事し、
 仕事を通じて、人を育て、
 継承していくのです。


 小川さん、
 良い本をありがとうございました。


────────────────────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・私たちの仕事は形として残ります。
 いいも悪いも正直に形としてあらわれるのです。
 これは恐ろしいことでもあります(p4)


・刃物が研げて、あるところまで仕事が
 できるようになったら、知識も必要なんだ。
 順序を間違えたらいかんが、
 その段階まで来たら、こんどは知識も大事や(p25)


・人間、一人で考えたってろくなものじゃないぞ。
 答えがわからなくたって、ほかの人を見ていれば
 わかってくることもある。わからないやつが
 一人で考えたり悩んだって、
 答えなんか見つからないよ・・
 答えは外にあるんだ
 ほかの人が見せてくれているんだ(p40)


・俺たちがつくっている建物は少なくとも 
 百年後の話をしているわけだから、
 いまくっつけて出来上がらせておいて、
 はい、おめでとうございます
 というわけにはいかないんだ。
 一つ一つの部材の精密さより、
 それを組み合わせた全体が
 正確であることが大切なんや(p44)


はじめ、掃除ばかりさせる
 掃除をしていれば、人が削っているところを見たら、
 自分でも削りたい、削りたいと思ってくる。
 その削れると思ったときに、鉋をパッと渡してやったら、
 もう嬉しくてしようがないだろ。
 それでいざやろうとすると、なかなかできないよ(p47)


・何でも先を読むことが大切だ。
 それが段取りだな。・・
 こういうふうにしていこう、
 こういう納めにしていこうって、
 一つひとつを読み取れるようになることだ。
 そのためにはやはり、どっぷり仕事に浸ることだよ。
 浸らなかったら先が読めない。(p50)


・きれいな鉋屑が出るまでに十年かかるって
 俺はいっているけど、実際はそんなのはもっと早く
 できるんだよ。できるんだけれども、まだまだ
 きれいに削れるだろうと思って一所懸命やる
 姿勢が大切なんだ。これでいいと思ったら
 終わりやからな。そういうことなんだよ(p60)


・西岡棟梁でも、絶対に弟子に対して 
 ストレートに物事をいわなかったな。
 いったらいけないんだ。この世界は。
 何となく、こうではないかぐらいで
 止めなくちゃあかんな。(p96)


・怒るときは、なぜ怒るかとか、
 怒るとどうなるかとか、
 そういう冷静さを持ったらあかんのや。
 腹が立ったら、その場で怒るのがいい。
 怒るのを我慢するっていうことは、
 もう相手にしないということ

 なっちゃうんだな。(p118)


・短気、それはやっぱり器用さなんだよ。
 人生、短気じゃどうしようもないな。
 生きていくうえでの結果は、
 いつ出るかわからないんだ。・・
 でも、学校は手抜きを教えているようなものだからな。
 早く簡単にやるようにって。(p142)


・給料、労働時間は決まっているから、
 それ以外の時間の使い方でそいつの
 人生が左右されるんや。
 それも心持ちの問題や。
 何になりたいのか、
 いま何をしなけれびけないのか、
 それはだれかが教えることではない(p171)


・人間は死ぬまでに完成するか
 どうかっていうぐらいだ。
 それぐらいゆっくりでいいわ。
 短く要領よくやっていくと、
 ずるの積み重ねだもの。
 何でもインスタントの時代だからな。
 それではやはりいけないな。(p177)


・一所懸命にやるというのは、
 二百年か三百年後に解体したとき、
 解体した大工さんが、ああ、こういう
 丁寧な仕事をしていたんだなと
 俺たち工人の顔を思い浮かべてくれる、
 そのときになったらわかってくれるだろう、
 とそういうことだ(p182)


・昔の人は、お天道様が見ているといったんだ。
 見えないところをちゃんとするというのは
 そういうことだな。
 お寺の建築をするときは
 「仏さんが見てるぞ」って、
 それぐらいしかいわないよ。(p183)


・手道具をうまく使える人が機械を使えば、
 機械を120%使いこなせるよ。
 機械だけしか使えないやつだったら、
 80%ぐらいしかその能力を
 引き出せないんんじゃないかな(p187)


不揃いの木を組む (文春文庫)
小川 三夫 塩野 米松
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【私の評価】★★★★★(91点)



小川三夫棟梁の講演会
平成27年9月27日(日)東京都 四谷区民ホール 19:00~21:00


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■目次

鵤工舎の四つのクラス
不揃いの弟子の複式学級
棟梁に必要な四つの力
よけいな知恵を捨てて、まっさらな心に
個室、個食がいかん
不揃いのものを組み上げる
三十歳前にどっぷりと仕事に浸れ
大工に適した体をつくる
職人にカリキュラムはない
ゆっくり時間をかけることの弊害


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