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「なぜ2人のトップは自死を選んだのか」吉野 次郎

2015/08/25公開 更新
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なぜ2人のトップは自死を選んだのか


【私の評価】★★★☆☆(75点)


要約と感想レビュー

■相談役、社長が
 相次いで自殺した
 JR北海道を取材した一冊。


 二人が自殺した原因は、
 何だったのでしょうか。


 まず、
 JR北海道は民営化の時点で、
 赤字を運命づけられていました。


 そのために、
 赤字を補てんする6800億円の
 経営安定基金が準備されたのです。


赤字の規模は毎年500億円・・・現在、(経営安定基金)運用益は当初の半分の250億円程度まで落ち込んでいる。だが、「廃線」の2文字は依然として経営のタブーとして残る(p91)


■金がないなら、
 知恵を出すしかありません。


 しかし、現場は組合が強く
 組合の了解がなければ、
 物事が決まらない状況です。


 そうした中で、
 人員削減、コスト削減
 続けてきました。


 結果して、
 脱線事故、設備トラブルが
 頻発することになるのです。


・「真っ先に戦線を離脱することをおわびいたします」普通、経営者が「戦線」と言えば、ライバル企業との戦いを指す。だが、中島にとっての戦場は、トラブルを繰り返す社内に存在した(p7)


■金はない。
 国の支援もなく、
 赤字路線の廃線はできない。


 現場も組合で動かない。
 政治家・この本のようなマスコミ・
 従業員は文句を言うだけ


 経営者として
 どうすればいいのかわからない。


 だれも助けれくれないし、
 理解もしてくれない。


 その時、残った選択肢が、
 自殺しかなかったのでしょう。


 吉野さん、
 良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・国鉄時代の1970年代、組合は現場協議制を利用して職場支配を強めていく。現場管理職は組合との現場協議を経ないと物事を進められない状態になった。協議がつるし上げの場と化し、多数の現場管理職が自殺に追い込まれるなど、職場は荒廃した(p66)


・函館線大沼駅構内で18両編成の貨物列車が脱線した。・・脱線現場のレール幅のズレを「39mm」から「25mm」に書き換えた・・レールの異常放置と検査データの改竄が繰り返されていた(p34)


・JR北海道は、JR貨物からわずかな「線路使用料」しか受け取っていない・・「アボイダブル・コスト・ルール」という計算方式を導入したからだ(p28)


・札幌保線管理室の社員は、「保線の現場では人員が明らかにたりない。利用客の少ない区間では、枕木などの資材も満足に割り当てられていない」と明かす(p10)


赤字路線を維持する以上、運用益の減少はコスト削減でカバーするしかない。JR北海道の経営陣が目をつけたのが、人件費と設備の補修費だった・・2010年度は1996年度比でレール維持費が11%、車両維持費が9%ほど少ない。(p94)


・3つある少数派組合を「仲間外れ」にする・・飲み会には呼ばないし、仕事も教えない、会話もしない。・・・「お前、キタロウ(北労)か」と侮蔑したり、取り囲んで所属組合の変更を迫ったりする実態も、裁判で明らかになっている(p143)


▼引用は下記の書籍からです。
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【私の評価】★★★☆☆(75点)



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目次

第1章:胚胎 JR北海道の三重苦
第2章:堕落 動労トップのコペルニクス的転回
第3章:呪縛 政治にもてあそばれた赤字路線
第4章:傾倒 「夢」の犠牲になった安全運行
第5章:対立 労働組合に分断された滑稽な職場
第6章:挫折 JRタワー、都市開発路線の功罪
第7章:審判 "再国鉄化"に未来はあるか?


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