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「人の上に立つ人の仕事の実例「危機管理」術」佐々 淳行

2015/02/26公開 更新
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人の上に立つ人の仕事の実例「危機管理」術


【私の評価】★★★★★(95点)


要約と感想レビュー

危機管理は事前準備

佐々さんの専門である危機管理について、15年前に発行された一冊です。この本で驚くのは、日本の危機管理のポイントが示されており、実際にそれらの危機が起きているということです。著者は、日本の危機について「ABCD危機」と呼んでおり、《A》は「アトミック」で原子力、《B》は「バイオテクノロジー」エイズ・炭疽菌、《C》は「コンピュータ」「ケミカル」「カルト」、《D》は「ディザスター」、すなわち災害であるというのです。


次に来るのは、「コンピュータ」「ケミカル」なのかもしれません。危機管理のポイントは、このように危機を予測して、事前に準備しておくということなのです。危機が起きてから考えるのではなく、事前に防止策を打つのです。そして、実際に危機発生したら、手順どおり素早く対応する。「常に備えよ」とは「言うは易し、行うは難し」の典型だと思いました。


鎮圧するのは次善の策で、一番よいのは、事前に手を打って「予防」することなのだ(p102)

総理の役割は官邸で指揮をとること

そして総理の役割は、官邸で陣頭指揮をとることです。指揮官は一人であることがわかりました。部下は「拙速報告(ラフ・アンド・レディ)」として、情報が少なくても、夜中であろうが、上司にまで報告してしまことが大事なのです。また、部下は選択肢を示して、指揮官の決断を促すことが大事なのです。


興味深かったのは、いったん出した命令は、たとえ間違っていてもすぐに取り消すなということです。組織の規模が大きくなると、出した命令が行き渡るまでに時間がかかるので、まったく正反対の情報を受けて動くということになりかねないというのです。


総理の「陣頭」は官邸なのである。「総司令官はここに在り」と旗を立ててくれたら、そこに情報や報告を一元化することができる(p191)

私が総理ならこうします

何か危機が発生したときには、ただちに被害を拡大させないための措置をとり、問題なければ、「問題なし」の発表をして信用回復するのが、行政のあるべき姿など、基本をしっかり押さえている本だと思いました。


また、後藤田長官の「『総理、官房長官、どうしましょう』などと言うな。『私が総理なら、官房長官なら、こうします』と対策を進言せよ。そのためにキミら30年選手を補佐官にしたのだ」という言葉を紹介するなど組織の要諦が学びになります。佐々さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・決断をすべき立場にないとしても、「オレの知ったことではない」ではなく、「自分ならどうする」と、自分なりの結論を出す訓練をし続けることだ(p14)


・どんなときでも、みんなにひとつずつ仕事を与え、遊んでいる部下を作らない(p238)


人の上に立つ人の仕事の実例「危機管理」術
人の上に立つ人の仕事の実例「危機管理」術
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佐々 淳行
三笠書房
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【私の評価】★★★★★(95点)


目次

1章 危機を事前に察知する方法
2章 初めにどう動くかで勝負は決まる
3章 絶対成功の法則「私がやらずに誰がやる」の実際
4章 危機下のリーダーシップ12カ条
5章 「非常時」に強い人材づくり
終章 ビジネスマン、頭にこの「備え」を持っておけ!



著者経歴

佐々淳行(さっさ あつゆき)・・・1930年東京生まれ。東京大学法学部卒業後、国家地方警察本部(現警察庁)に入庁。目黒警察署勤務をふりだしに、警視庁外事・警備・人事課長、警察庁調査・外事・警備課長を歴任、「東大安田講堂事件」「連合赤軍あさま山荘事件」等では警備幕僚長として危機管理に携わる。その後、三重県警察本部長、防衛庁官房長、防衛施設庁長官等を経て、86年より初代内閣安全保障室長をつとめ、昭和天皇大喪の礼警備を最後に退官。以後は文筆、講演、テレビ出演と幅広く活躍


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