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「君主論 ビジネスで役立つ人心掌握の智恵150」ニッコロ・マキアヴェッリ

2015/01/20公開 更新
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君主論 ビジネスで役立つ人心掌握の智恵150 (East Press Business)


【私の評価】★★★★☆(80点)


要約と感想レビュー

 マキアヴェッリの「君主論」から、仕事で役立ちそうなところを抜き出した一冊です。この本でいう君主は、現代社会でいえば社長または部長でしょうか。組織のリーダーは、期待された役割があるのです。それは決してすべての能力を持っていることではありません。能力が必要なら能力のある人を採用し、役職につけて自分に助言させればよいのです。


 君主が求められるのは、組織をまとめ、組織としての意思を決定し、組織全体で動けるようにすることです。そのためにも、この本に「武力を持たないとろくなことにはならない。いろいろある理由の中でも、もっとも大きいのは見下されることである」というように、人事権という権力を使って組織を掌握しなくてはならないのです。もちろん、その意思決定が合理的かつ有効であるように見せなくてはならないのです。


・君主は必ずしもありとあらゆる美質を備えている必要はない。ただし、あたかも備えているかのように見せることは大切だ。(p69)


 やはり、リーダーになる人は、舐められてはいけません。部下に見下されるようだと、組織として何もできないのです。そうならないためには、必要であれば強権行使することも必要なのでしょう。マキアヴェッリは、見下されるくらいなら、強権を発動して恐れられたほうがよいとしています。強権を発動するために、君主には自分の自由になる武力が必要なのです。


 リーダーはたとえ非情と言われても、その非情さによって変革を行い、組織として成果を残すのならば、非情と言われるのを嫌って必要な処置を行わないより、結果的に良いリーダーであるということになるのです。仮に組織の中で意見が割れる場合でも、「国民同士の争いを収めるときは、君主の判定が絶対であることを断固として示すべきである」と書いてあるように、リーダーが最終判断をすべきなのです。


・君主は気まぐれ、浅はか、軟弱、臆病、優柔不断などと見られたら最後、見下されてしまう(p81)


 君主は「自分で直接手を下さない。君主は人の不興をかうようなことは誰かに任せ、人気を取れることはしっかり自分でやるべきである」と書いてあるように、今の会社組織にも応用できる名言が多くありました。


 例えば、「君主は決して軍事訓練をおろそかに考えてははらず、戦時より、むしろ平時にこそ、積極的に行うべきである」というのは、災害対策訓練のような訓練の重要さを伝えているのでしょう。「残酷な行為は一気にやってしまうこと。逆に、恩恵は小出しに与えること」というのは、一罰百戒。通常は気配りをしつつ、良くないことには厳正に対処することで組織はまとまるということです。


 簡潔に読みやすい一冊だと思いました。こんどは原本にチャレンジしてみます。マキアヴェッリさん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・賢明な者を選び、彼らだけに君主に真実を語る自由を与える・・そして、決断は自分一人で下す。・・決断したことはすぐ実行し、断固として貫き通すことだ。(p151)


・人間はだいじに扱うか、叩きのめすか、どちらかにすべきである。小さな傷を受けた者は復讐するかもしれないが、重傷を負えば復讐できない(p191)


・残酷さの使い方・・・使わないとわが身が危ないというとき、一気に使う。あとはそのことをきっぱり忘れて、できる限り国民の利益になるような統治手法に変える(p241)


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【私の評価】★★★★☆(80点)


目次

1 覚悟を決める
2 賢くなる
3 信頼される
4 結果を出す
5 権力を守る
6 勝者になる


著者経歴

 二ッコロ・マキアヴェッリ(Niccolo Machiavelli)・・・(1469-1527)イタリア・ルネッサンス期のフィレンツェ共和国の政治思想家。少年時代より独学で古典教養を身につける。外交・内政・軍事の官僚政治家となりイタリアはもちろん、フランス、スイスなどで活躍、さまざまな君主と身近に接する機会を持つ。1512年、共和国がメディチ家に倒されると職を失う。メディチ家に提出すべく『君主論』を執筆、没後出版された。理想主義的な思想の強いルネサンス期に、政治を道徳や宗教から切り離した現実主義的な政治理論を創始した。


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