「禁欲と強欲 デフレ不況の考え方」吉本佳生、阪本俊生

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禁欲と強欲 デフレ不況の考え方

【私の評価】★★★★☆(84点)


■金融経済論、消費社会論のプロが、
 デフレ不況というものの
 本質を考える一冊です。


 デフレ不況とは何かといえば、
 生産が消費より多いということ。


 したがって、
 生産力をリストラしたり、
 消費を増やせばいいのです。


 もちろん消費には
 設備投資も含まれます。


・100兆円の所得のうち70兆円しか消費に回さず
 30兆円も貯蓄してしまうような状況が続くなら、
 巨額の投資(設備投資など)をして生産能力を
 大幅に拡大しても、将来それだけの消費の伸びが
 あるとは思えない。企業がそう考えて、
 合計10兆円の投資計画しか立てないので、
 計画上で貯蓄が投資を上回った20兆円分は、
 モノやサービスが売れなくなっているのです(p179)


■企業の投資が増えないとすれば、
 個人の消費を増やすことが必要です。


 そのためには、
 個人がお金を使いたいという
 欲求を持たなければなりません。


 その方法として3つ例をあげています。


 一つ目は、株価を上げて
 バブル時代のようにお金持ち感覚で、
 お金を使ってもらう方法。


 これはアベノミクスで実証中。


 二つ目は、今おカネがなくても
 物が買えるローン。


 しかし、政府は消費者ローンの金利上限を
 決めるなど、徹底的に規制しています。


 三つ目は、消費税を下げること。


 これもまた逆に増税しようとしている。


 これでは個人消費は伸びないのです。


・毎月の携帯電話利用料金のなかで少しずつ
 携帯電話機のおカネも支払っていくというやり方は、
 完全に一般化しましたが、これも一種の
 ローン(借金)と考えられます(p237)


■最後には、我々はなぜ働くのか、
 という問題にも触れています。


 それは自分が生きていくことに必要な
 必要最低限の消費以上に消費するから。


 その消費を満たすために
 生産が必要
となります。


 その生産のために私たちは
 働かされているのです。


 自分の欲求が増えれば増えるほど、
 自分の仕事が増えてしまう。


 なんだか不思議ですね。


 吉本さん、阪本さん
 良い本をありがとうございました。


─────────────────────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・本来「解放者」となるべき機械が
 「自由人を奴隷に落とす凶器」と
 化している、トラファルグはいいました(p129)


・私たち自身の余剰消費が、私たちに労働を強いてゆく
 のが近代の生産システムだということです。・・
 ですから、近代の消費とは生産のために
 つくり出される消費なのです(p138)


・バブルが発生すると、たいていは消費が伸びるのは、
 保有している資産の値上がりで豊かになったと思った人が、
 モノやサービスの消費を増やすことで豊かさをより
 現実的に感じたいと考えるからです(p203)


・日本やアメリカなら六~八割は賃金として
 支払われるのに、中国では三~四割しか労働者の
 賃金にならない
のです。マクロ経済の所得の大部分は、
 企業に出資している人たちが分けてしまうわけです。
 だからこそ、急に大金持ちが多数出現したのです(p211)


・有益なモノやサービスを生産する仕事をしている
 からといって、高い賃金(所得)が
 得られるわけではない。(p123)


・テレビに出る芸人のうち、自分ではギャグもいわず
 芸もしない司会者のほうが、ずっと高額の報酬を稼ぐ・・
 だから、おカネを稼ぎたくて芸人になる人であれば、
 当然、最終目標は番組司会者となります(p98)


・世界全体では、誰かが株式を買ってリスクを
 引き受けることになります・・
 デリバティブなどの金融技術を駆使しても・・
 世界全体ではリスクの総量は減らせないのです(p28)


禁欲と強欲 デフレ不況の考え方
吉本 佳生 阪本 俊生
講談社
売り上げランキング: 451,470

【私の評価】★★★★☆(84点)


■目次

第一章 賢者の消費、愚者の金融
第二章 有益は低価値、無益だからこそ高価値
第三章 禁欲が生み、金融が増幅させる、消費への欲望
第四章 消費と金融は、現代人をどこに向かわせるか?


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