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「乱脈経理 創価学会VS.国税庁の暗闘ドキュメント」矢野 絢也

2014/06/22公開 更新
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乱脈経理 創価学会VS.国税庁の暗闘ドキュメント


【私の評価】★★★★★(92点)


要約と感想レビュー

 1989年、創価学会の廃棄金庫から大蔵省印刷局の帯封付の1億7000万円が発見されたことから、すべてははじまりました。1990年、国税庁が創価学会の査察に動きだしたのです。


 ただ、公明党は国会の議席を背景に、国会運営を左右する影響力を持つことから、官僚からは「公明党を敵に回すとどんな報復を受けるかわからない」と怖れられているのです。すべては国税庁と公明党との交渉によって創価学会の査察方針が決まっていったのだという。


・この日の国税庁側の出席者は角谷氏(国税庁長官)の他、山口厚生直税部長、吉川勲四郎調査課長ら五人・・・「本来、社長、重役の自宅、職場も伝票などの精査をやるのは当然だが、学会の場合は今回は抑えている。こんなこと外に漏れたら大変」(p86)


 当時、創価学会では、税務調査が入らないのをいいことに、税務上不適切な処理が行われていました。まず、墓石販売が課税対象であるのを承知で、すべて非課税にしていた。


 池田名誉会長と夫人の支出はすべて学会持ちのため、池田個人の所得と認定される可能性があったのです。財産目録にない絵画が多数あり、信者の寄付も表に出せない状況であったという。


・墓苑事業の中には、墓石販売など課税対象になるものが含まれていた。ところが、当時、学会は墓苑事業すべてを非課税の公益事業扱いにして、墓石販売などについてもいっさい税金を支払ってこなかった(p72)


 創価学会は公明党の著者を窓口に国税庁に圧力を加えて時間を稼ぎながら、資料の改竄を進めていきます。そして、ある程度の落としどころが決まった1991年。ルノアール事件が発覚するのです。三菱商事を経由して創価学会系の美術館が購入したルノアールの絵画取引にからんで15億円が行方不明となったのです。


 また、池田香峯子夫人もこの当時、私的な買い物を含め、学会の運転手付きの車で送り迎えしてもらっており、あまりに公私混同が明白なので学会側は急いで夫人に関する日程表や車輛日誌記録を破棄したという。


・ルノワール絵画の取引現場に立ち会った「立花」の女性役員が国税庁の事情聴取を受けた後、家族や知人に「自分は仲介役をしただけで金はもらっていない。しゃべれば殺される」と話し、その後姿をくらましている(p183)


 最後は、竹下元首相の尽力により、池田名誉会長への追徴課税はゼロとなりました。その後、公明党は竹下元首相の皇民党事件を追求し、竹下潰しに動きます。著者は"それが学会の本質だ"としています。


 創価学会の乱脈経理の尻拭いのために、国会での政策を妥協し、国税庁に圧力をかけた公明党。公明党内にも、理想とする政策が実行できず、非合法の活動に加担せざるをえない心の苦しみがあることがわかりました。矢野さん、良い本をありがとうございました。



この本で私が共感した名言

・池田名誉会長が秋谷、八尋両氏を「国税庁対策で結果を出すまで俺の前に現れるな」と叱りつけたらしく、それで秋谷氏はあわてたのだ。「結果を出すまで来るな」は、人を動かす際の池田氏の常套句である(p230)


・学会本部の幹部職員から、相変わらず本部内で帳簿の改竄が続いているとの報告があった。「人の名前を変更したり物品名を変えたりしている。美術品や池田氏への贈答品などを運搬している日本図書輸送の輸送日報の改竄が、まだできていない(p268)


・八尋氏はこれらの扱いは要注意だと前置きして、「激励費は29億円、財務は昨年1400億円。会食費などが6億円でこの明細は出せない。海外もいろいろあり出せない。墓苑はある程度やむを得ない」と話した(p123)


・名誉会長はこう話していた。"子弟の道とは師匠の仇を弟子が討つことだ。塚本(三郎民社党元委員長)の暴言を石田(公明党委員長)は見逃した""仇を討て!私を守れ!感謝の気持ちを持て!学会を守れ!"・・・"選挙の勝利はすべて学会のお蔭。俺のお蔭だ。史上空前の選挙をやった"(p318)


・フランスでは、この条件に照らしSGIフランスを含む172団体がカルトと認定された。・・フランスでは正式にカルト認定する前から、池田氏をカルトの領袖とみなし、入国を忌避していた(p297)


乱脈経理 創価学会VS.国税庁の暗闘ドキュメント
乱脈経理 創価学会VS.国税庁の暗闘ドキュメント
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矢野 絢也
講談社
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【私の評価】★★★★★(92点)


目次

第1章 押し付けられた交渉役
第2章 ブラックボックスだらけの学会会計
第3章 国税幹部たちとの攻防
第4章 ルノワール事件と宗門戦争
第5章 竹下登か小沢一郎か
第6章 そして闇は残った



著者経歴

 矢野絢也(やの じゅんや)・・・1932(昭和7)年、大阪府生まれ。京都大学卒業後、大林組勤務を経て、大阪府議会議員に。67年に公明党から衆院選に出馬して当選。その直後から86年まで約20年にわたって党書記長を務めた。その後、党委員長、常任顧問を歴任し、93年に政界引退。政治評論家として活動している


創価学会関連書籍

「創価学会とは何か」山田 直樹
乱脈経理 創価学会VS.国税庁の暗闘ドキュメント」矢野 絢也
「カルトとしての創価学会=池田大作」古川 利明
「お笑い創価学会信じる者は救われない」佐高 信、テリー伊藤
「池田大作「権力者」の構造」溝口 敦
「創価学会財務部の内幕」「学会マネー」研究会
「創価学会の研究」玉野 和志
「芸能人と新宗教」島田裕巳


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