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「これから誰に売れば儲かるのか 成長戦略の正しい考え方」吉本 佳生

2014/03/24公開 更新
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これから誰に売れば儲かるのか 成長戦略の正しい考え方 (単行本)


【私の評価】★★★★☆(84点)


要約と感想レビュー

 この本の伝えたいのは、次の2点です。シャープが大赤字に転落したのは、政府の成長戦略政策により薄型テレビが短期間に売れてしまったことが原因であるということ。


 そして、これから商品を売るなら、高齢者、特に財布を握っている女性がターゲットとなるということです。


 まず、シャープ、ソニー、パナソニックなど主要メーカーの液晶テレビが苦戦している原因です。


 この原因を著者は、経営者の失敗というよりも、2011年の地デジ化と2009年からの家電エコポイントで薄型テレビが売れすぎたことが原因と分析しています。その反動で2011年の売上は2割減。2割も売上が減少したら、赤字になるのは当然なのです。


 これは政府の無理な成長戦略に経営者が巻き込まれてしまったということなのです。日本政府は成長戦略と称して補助金をばらまくのですが、この補助金が曲者なのです。補助金頼りの会社に成長は望めませんし、補助金をもらうために制約が多く、手間がかかりすぎるのも問題です。


 最悪なのは、全国旅行支援もそうですが、補助金を出すことで経済合理性が破壊され、補助金がなくなったときの反動が経営に悪影響を与えることでしょう。シャープの破綻の遠因が家電エコポイントというのも納得できる理由だと思います。


・普及率が10%を超えてから95%を超えるまでの年数・・・薄型テレビでは7年ですが、カラーテレビで8年、携帯電話で12年、電気冷蔵庫で14年、電気洗濯機で15年以上、電気掃除機で18年です(p87)


 そして、これからの日本の消費は高齢者が引っ張ります。世帯主60歳以上世帯の貯蓄残高の平均値は2000万円を超えており、住宅ローンが終わり、退職金を手にし、年金を毎月もらっている人に余裕がないわけがありません。


 特に、財布を握っている女性がポイントとなるのでしょう。特に70~74歳の高齢女性は、国内観光旅行での行動者率が高いというデータがあります。女性は人脈をつくって遊ぶのが本当に上手なのです。未来の市場は、データ分析から見えているのだと思いました。吉本さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・低所得の若者を中心にデータを集めてしまいやすいビッグデータ分析なんか、さっさと捨てて、高齢女性をメインにしたマーケティングを考えてもらいたいのです(p168)


・1960年の貯蓄残高は、年収の0.8倍・・1970年代後半から、貯蓄残高が年収をはっきりと上回るようになりました・・・2012年の貯蓄残高は年収の2.7倍になっています(p115)


・文系学部の大学生や大学院生のほとんどは、驚くほど勉強しません・・・実態としてはユルユルの教育を行うことで、学生をしっかり遊ばせて、消費能力を高めるという"裏の教育プログラム"が組み込まれているといえます(p149)


これから誰に売れば儲かるのか 成長戦略の正しい考え方 (単行本)
吉本 佳生
幻冬舎
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【私の評価】★★★★☆(84点)


目次

第1章 市場が急拡大した薄型テレビの勝ち組企業が、なぜ経営危機に陥ったのか?
第2章 なぜ、技術進歩がデフレ不況を深刻にしてしまうのか?
第3章 これからの日本では、高齢女性の消費市場が自然に急成長する!
第4章 金融と電子決済の視点から、消費の主役を探すと?
第5章 誰に売れば、長く安定して儲かるか?



著者経歴

 吉本佳生よしもと よしお)・・・1963年、三重県生まれ。エコノミスト・著述家・関西大学会計専門職大学院特任教授。専門は金融経済論、生活経済学、国際金融論。NHK教育・総合テレビで放送された、経済学教育番組「出社が楽しい経済学」の出演・監修者


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