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「ぶり返す! 「怒り」「さびしさ」「悲しみ」は捨てられる! ~知られざる「おとなの愛情飢餓」への心理セラピー」古宮 昇

2013/11/26公開 更新
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ぶり返す! 「怒り」「さびしさ」「悲しみ」は捨てられる! ~知られざる「おとなの愛情飢餓」への心理セラピー~


【私の評価】★★★★☆(82点)


要約と感想レビュー

 自分にちょっと自信がない・・・という人に向けた一冊です。人は過去の経験・体験から反応パターンを形成しています。否定されたときに、攻撃して解決した人は、同じ行動をしようとします。否定されたときに、自分を押し殺して解決した人は、また同じことをしてしまうのです。

 このようにわたしたちは気づかないうちに、幼いころに身に付けた人への接し方のパターンを、ずっと繰り返しているというのです。人は、こうしてプログラムされているのです。


・親子ゲンカという形で親の関心を得ていた人は、おとなになってもその方法で乗り切ろうとします(p36)


 例えば上司や親から不条理な叱られ方をしたとしましょう。普通なら頭にきて、怒りの感情が出てくるものです。しかし、上司や親に怒りをぶつけたとしたら、逆に倍返しされるかもしれない。そうした体験から、「私が悪いんだ」と思うことで整合を取ろうとすることがあります。


 同じように、親から拒否されたと感じたときに「わたしが悪い子だからいけないんだ」と解釈して、自己嫌悪感や自己無価値観に陥るパターンを身につけることがあります。


 本来は、怒りがわきそうな場面で、自動的に「私が悪い」と解釈してしまうことがあるのです。本来、悪い人はいません。自分は価値ある素晴らしい人間のはずです。失敗したら、失敗しないように変えればいいだけの話なのです。


・(例1)・・書類を忘れたOLが、「バカだわ」と自己嫌悪に陥る。(現実思考)「大切な書類を忘れたわ。同じ失敗を防ぐためにどうすればいいかを考えよう」(p190)


 同じような理由から「怒り」を表に出そうとしない人もいます。怒りを表に出すのは勇気がいりますが、感情を隠すよりも、うまく表現する工夫をしたほうがいい。あまり自分を偽っていると感情がマヒしてしまう可能性があります。


 こうした人は、より深いところでは、「本音を出すと嫌われるかもしれない。」と信じ込んでいることが多いのです。著者の場合は、自分自身のことを本質的に価値の低い人間だと感じていて、ありのままの自分を受け容れていなかったという。そのため、「価値ある人間になるために有能になろう」としていたというのです。


 両親が自分のことを大切に思ってくれているという確信が乏しい人も、自分が嫌い、人見知りという形で似た傾向があるという。根本的な源は、親から無条件に愛してもらえなかったことなのです。


・感情をマヒさせていませんか?・・・怒りの感情自体が悪いわけではありません・・・不条理な要求を突きつけられ、人に"No"を言ったり、戦ったりするために必要な感情です(p61)


 最後に解決策としては、事実を素直に直視して、自己嫌悪に陥らずに、対応策を考えること。自分はそのままで価値ある人間であるという前提に、考えるということです。足りない部分があれば、だんだんと補っていけばいい。それが成長なのでしょう。


 古宮さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・どうすれば、幼児的で未熟な愛情飢餓を癒せるでしょうか。その方法の一つが、自分をいたわり、優しくすることです・・自分を嫌ったり拒否したりすることなく受け容れてあげてください。(p23)


・棒人形と吹き出しを描いて、吹き出しの中に、イライラ、モヤモヤ、罪悪感などあなたが感じている感情について、連想することをセリフとして書き出していきます(p181)


・起きた出来事についてどんな考え方や解釈をするかによって、抱く感情が決まります・・・「不幸せ思考」を正し、「現実思考」をおこなうと、つらい感情が静まります(p179)



【私の評価】★★★★☆(82点)


目次

第1部「おとなの愛情飢餓(きが)」とは何か?
1章 おとなも「愛情飢餓」を感じている!
2章 どんな「傷つき体験」を引きずっている?

第2部 ぶり返す感情への〈緊急〉対処法
3章 もうイヤ! 「すごくイライラする」
~「引きずる怒り」をまず止める!
4章 やっぱり「自分はダメ人間だ~」
~「むなしさ・悲しみ」をまず止める!
5章 「嫌われるかも! 」がグルグル回る
~「不安・クヨクヨ」をまず止める!
6章 ひたすら「求めすぎて傷ついちゃう」
~「不満・さびしさ」をまず止める!
7章 ずっと「落ち込んで動けない」
~「うつ気分」をまず止める!

第3部 つらい感情を洗い流す!
「5つのセラピー+α」



著者経歴

 古宮昇(こみや のぼる)・・・「共感の心理学」博士。日本と米国で通算17年以上、のべ4000名以上をカウンセリングしてきた臨床心理士。ディマティーニ・メソッドファシリテーター。米国メリーランド州立フロストバーグ大学修士課程修了(主席卒業)。州立ミズーリ大学コロンビア校心理学部より博士号(PhD.in Psychology)を取得。ノースダコタ州立こども家庭センター常勤心理士、パイングローブ精神科病棟インターン心理士、州立ミズーリ大学コロンビア校心理学部非常勤講師などを経る。現在、大阪経済大学人間科学部教授(臨床心理士養成第一種指定大学院)および開業オフィスで心理療法をおこなっている


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