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「科挙 中国の試験地獄」宮崎 市定

2012/07/14公開 更新
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科挙―中国の試験地獄 (中公文庫BIBLIO)

【私の評価】★★★☆☆(72点)


■科挙とは、中国において
 587年から1904年まで実施された
 官僚の選抜試験です。


 日本のイメージでは、科挙とは
 東京大学の入試+国家公務員総合職試験
 でしょうか。


 人間性や有能さではなく、
 あくまでも公平な試験によって
 官僚が選抜されるのです。


・この科挙制度の成立したのが、
 いまから1400年ほど前の587年だということは、
 驚くべき事実である(p13)


■おもしろいところでは、
 公平性を担保するために、
 回答の写しを審査すること。


 コピー機などない時代に、
 膨大な回答書の写しを作成していたのですから、
 その手間たるやすさまじいものがあります。


 それでも、
 不正はなくならなかったようで、
 「上に政策あれば、下に対策あり」
 という中国らしいところですね。


・答案はそのまま審査員には見せない。
 筆蹟などから判断して特定な人だけを通そうと
 有利に採点されると困るからである。
 そこで答案を全部、片はしから写しとって、
 その写しを審査員の方へまわすのである(p98)


■日本でも大きい組織になると
 学歴がまだ幅をきかせている場合が
 あるようです。


 中国のようにならないか
 心配になってしまいます。


 宮崎さん、良い本を
 ありがとうございました。


━━━━━━━━━━━━━━━━━


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・宋代以後、科挙は三段階をとり、
 まず地方で郷試(解試)を行ってその合格者を中央におくり、
 中央政府で会試(貢挙)を行ない、続けて天子みずから行う
 殿試で最終的に決定するのがたてまえである(p69)


・この科挙が本当に役に立つ人材を抜擢するには
 不十分であることは、中国でも古くから指摘されていた・・
 しかしそれならどうすればよいかという段になると、
 他に適当な方法が見つからない。(p226)


・試験場で三日二晩をすごさねばならないから、
 硯や墨、筆、水さしのような文房具のほかに、
 土鍋、食料品、せんべい布団、入口にかける
 カーテンまで持ち込む必要がある(p82)


・すべての試験を通じて、天子の名前についた文字を
 絶対に答案に書きこんではならぬ・・・
 こういうばかげた習慣は日本へは伝わらなかったが・・(p42)


・日本の試験地獄の底には、封建制に非常に近い
 終身雇用制が横たわっており、これが日本の社会に
 真の意味の人格の自由、就職の自由、雇用の自由を
 奪っているのである。それが大官庁、大会社ほど
 ひどいから困ったものである(p238)


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【私の評価】★★★☆☆(72点)


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