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「破軍の星」北方 謙三

2012/05/21公開 更新
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破軍の星 (集英社文庫)


【私の評価】★★★★☆(82点)


要約と感想レビュー

 中学の歴史で学んだ南北朝時代。南朝は後醍醐天皇。北朝の足利尊氏。この南朝を支えた北畠顕家(あきいえ)が、この本の主人公です。東北地方を武力により支配する陸奥守として16歳で派遣されています。


・十六歳である。青公家が、と心の底では思っている諸将もいるであろう。そういう軽視も、打ち砕いておかなければならなかった。(p27)


 顕家は持って生まれた才能で、陸奥を平定すると、足利尊氏の反乱を鎮圧するために、京都まで進軍します。朝廷の命令に従うべき、という使命感。その一方で、命令に従うことで兵が死に農民も死ぬという現実。国家とは、国体とは、朝廷とは何なのか。何のために国はあるのか。顕家は考え悩んでいるように感じます。


・国というものには、根幹が必要なのだ。この国では、それが主上だ。根幹は、長い歴史によってはじめて作られるものだ。武士は、ほんの短い間、その歴史を曲げているだけだ(p137)


 現在でも日本の国体は、天皇を支持する国民の意識で支えられています。それがあるのも、過去の混乱、多くの国民の死を積み重ねて、日本の象徴としての天皇という制度が現代まで続いてきたのだと感じました。北方さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・京には年貢を運ばなければならない。大内裏造営の課徴金も申しつけられる。陸奥の富が京に運ばれ、腐った公家たちの贅沢に費やされるだけだ、と顕家はよく考えた。(p93)


・この旗のために死のうとした者が、何人いたのか。そして自分は、そういう無数の死に支えられて、陸奥を平定してきたのではないのか。あまり深くは考えなかった。ここは戦場である。(p393)


・知は力。これも父に教えられた。いまの世で、知は力ではない。武だけが、真の力だと言ってもいい。(p269)


・朝廷は飾りで、幕府が政事をする・・・それがいま、実現しつつある。朝廷があまりに障害になるようなら、潰すしかないだろう。それは、尊氏にはできないことだ。(p214)


破軍の星 (集英社文庫)
北方 謙三
集英社
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【私の評価】★★★★☆(82点)



著者経歴

 北方 謙三(きたかた けんぞう)・・・1947年(昭和22年)、佐賀県唐津市生まれ。作家。ハードボイルド小説を発表しながら、日本及び中国を舞台にした歴史・時代小説に取り組む。


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