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「伝説の灘校教師が教える 一生役立つ学ぶ力」橋本 武

2012/03/11公開 更新
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伝説の灘校教師が教える一生役立つ学ぶ力


【私の評価】★★★★☆(89点)


要約と感想レビュー

 著者の橋本さんは、あの名門校 灘の元国語教師です。灘の授業は中高6年間、同じ生徒、先生での一貫教育です。なんと6年間、「銀の匙」という小説を読み、その本にでてくる、百人一首をしたり、凧を作ったり、駄菓子を食べてみたり、ちょっとしたひっかかったものを徹底的に調べていったというのです。


 橋本先生の考え方は、簡単・短時間に詰め込んだ知識は、すぐに忘れて使い物にならなくなる。すぐ役立つことは、すぐ役立たなくなるということです。


・「銀の匙授業」で行ったように、引っかかることがあったら、とことんそれを調べるという若いころからのクセ(p3)


 この脇道授業によって東大合格者が増大したとはいえないかもしれませんが、優秀な生徒の能力を伸ばしたのは事実でしょう。自ら深く調べ、学び、それを生徒に示すことで、学ぶということの本質を伝えたのです。


 橋本先生は、単に自分のやりたい授業を、徹底的にやっただけとおっしゃっています。自分の自由な時間を、土日もすべてつぎ込んで授業のためのプリントを作っているのです。橋本先生の考え方は、教師の仕事というのは自分の人間性を生徒にぶつけること。その思いがプリントや授業を通じて子どもたちに必ず伝わるのでしょう。


・何かしら教育上の理念を考えてから、それを実現するために授業を行ったのではなく・・自分のやりたいことをやりたいようにやりたいだけやってきたにすぎません。(p112)


 そういえば、私も高校の頃、歴史の勉強をしながら、こんな答えを暗記するだけではなくて、原書を読んでみたり、関連する歴史小説を読んだり、現地を訪れてみると面白いんじゃないかと考えていたことを思い出しました。受験では、そうした余裕は与えられないのです。悲しいですね。


 橋本先生が、自分がやりたいことがやりたいようにできた、それが私にとっての成功だということです、と言っているように深く学び、深く考えるということは、一生、役立つものだと思います。橋本さん、良い本と授業をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・小学校3年生のとき・・・国語の担当であった加藤先生は、それこそ国定教科書などは使わずに、真田幸村とか猿飛佐助、霧隠才蔵といった英雄豪傑が登場する講談本(物語をまとめた本)を読み聞かせてくれましたが、これがすこぶる面白い・・・母親に「本買うて」としきりにねだるようになりました(p53)


・友人が大の読書家で、「こんな本が面白かった。あんな本がよかった」と、しきりに感想を書いてよこします。こっちもそれを読んで負けん気に火が付き、内外を問わず文学作品を読みだしました(p55)


・いずれの場合においても、親があれこれ口出ししないこと。これが重要です。親は、ただ子どもが自由に読み書きできる時間、環境を整える。そして、できれば子どもが読んでいるのと同じ本を読んでみる。(p87)


・よく生徒には次のようなことを言って聞かせていました。「相手に対してかなり自分が興奮しているときでも、これだけのことをしゃべっていいかどうか、一瞬でもいいから考えてから発言しなさい」(p126)


伝説の灘校教師が教える 一生役立つ 学ぶ力
橋本 武
日本実業出版社
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【私の評価】★★★★☆(89点)


目次

はじめに 人は何歳でも学び続けることができる
第1章 「学ぶ」ことは遊ぶこと、「遊ぶ」ことは学ぶこと―再び生徒と向き合って感じた学びの基本
第2章 生きる力、学ぶ楽しさのもととなる国語力―「読む」と「書く」のバランスが肝心
第3章 教えることで見える学びの本質―個性を引き出す子どもたちとのぶつかり合い
第4章 日常にあふれる「学び」「気づき」への横道―未来の大人たちに知っておいてほしいこと
第5章 つまり人生とは学びの連続―100年間積み重ねてきた生きる力の軌跡
特別付録 対談 遠藤周作×橋本武



著者経歴

 橋本 武(はしもと たけし)・・・1912(明治45)年京都府生まれ。2012年に100歳を迎える。1934(昭和9)年に東京高等師範学校(後の筑波大学)を卒業、旧制灘中学校の国語教師となる。小説『銀の匙』を中学3年間かけて読み込むという前代未聞の授業を行い、公立高のすべり止めに過ぎなかった灘校を名門進学校に導く。1962年、『銀の匙』2期生が灘校初の京大合格者数日本一、さらに1968年には『銀の匙』3期生が、私立高として初の「東大合格者数日本一」になる。71歳まで50年にわたり、灘校一筋で教壇に立つ。1984年に退職。退職後は文筆活動を続けながら、いまだに地元のカルチャーセンターなどで現役講師として活躍する。


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