「日本いまだ近代国家に非ず」小室 直樹

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日本いまだ近代国家に非ずー国民のための法と政治と民主主義ー
小室 直樹
ビジネス社
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【私の評価】★★★★☆(88点)


■日本国は民主主義であり、議員内閣制、
 三権分立などの政治体制をとっているわけですが、
 この本では、日本は本当の民主主義ではない、
 ということを論証していきます。


 あえていえば、

 官主主義

 ということ。


最良の官僚は、最悪の政治家である(p2)


■法律は、官僚が作っている。


 司法権も、官僚が法律を解釈して
 通達を出している。


 検察が有罪とすれば、
 ほとんど有罪となる。


 司法、行政、立法の三権分立は、
 官僚による独裁体制が
 確立しているのです。


・六法全書と言うが、これに載っている法律なんてほんの一部。
 載っていない行政に関する法律が山ほどある。
 それらを役人が勝手に操っている。・・・
 役人は平然と判例を無視して、自分の解釈が正しいと言うのである。
 これは役人による司法権の簒奪である。(p270)


■自由、民主主義というものは、
 イギリスなどで血の代償を払って得たもの。


 そして、
 非常に金のかかるものなのです。


 そして簡単に死んでしまうもの。


 著者は、ロッキード事件で
 デモクラシーは死んだとしています。


 免責保障された外国人の証言だけで、
 田中角栄は有罪になってしまう。


 これでは、だれでも勝手に
 有罪にすることができるではないか、
 ということです。


デモクラシー裁判の要は手続きにある
 結果にあるのではない。(p332)


■この本を読んで、
 日本は原則を簡単に曲げてしまう国だと
 感じました。


 尖閣諸島問題では、中国漁船船長を釈放。


 ハイジャック犯の要求どおり、赤軍を釈放。


 そして長期的には、
 何か大切なものを
 失ってしまう。


 たぶん、民主主義や自由というものを
 獲得するために、
 苦労をしなかったためかもしれません。


 小室さん、
 良い本をありがとうございました。


━━━━━━━━━━━━━━━━━


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・立憲政治の基礎・・・
 選挙公約は飽くまでも守らなくてはならない・・・
 対立政党の政策を勝手に盗んではいけない・・(p103)


・官僚の最大の動機は何か。
 「プロモーション(昇進)である・・」(マクス・ヴェーバー)
 そして次に大切なものは何かと言えば、
 部下と権限である。(p129)


・若手官僚達の話を聞いていると、
 「このところ通産省は地盤沈下だ」
 というような表現に出合うことがある。
 この地盤沈下とは、「有力な天下り先が減った」
 という意味
である(p136)


・贈収賄は悪いに決まっている。
 しかし、それは畢竟、市民道徳に過ぎない。
 政治指導者(君主)の道徳は、これとは違う。
 それは、徳(生命力の発揮。英語のvirtue)によって
 国民の経済生活を確保することに尽きる(p173)


・デモクラシーという言葉は、
 「暴民政治」という意味であった。
 プラトンが理想とした政治形態は、
 哲人王による支配である。(p235)


・ヒトラーは皇帝にはならなかったが、
 皇帝以上の権力を握ってしまった。
 だから大統領と首相の両方を置いて、牽制させる。
 フランスの場合には、大統領と首相で、
 きちんと権限を分けている(p264)


・検事が有罪と睨んだ事件が、
 裁判所で無罪になる例は殆どなかった。・・・
 こんなことなら、日本には裁判所はない
 ないも同然ではないか。(p313)


・アメリカは銃社会であることを失念していると、
 あなたは殺され、加害者は無罪放免になるかもしれない・・・
 もっと恐ろしいのが法律である。
 歯止めを失った法律である(p289)


・戦後、「嫌がる日本国民を、軍部が無理に戦争に引きずり込んだ」
 と言い触らされてきたが、これは、真っ赤な嘘である。・・・
 特に、朝日新聞の戦争熱中振りは、刮目されてよい(p56)


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