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「憚(はばか)りながら」後藤 忠政

2011/08/22公開 更新
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憚りながら (宝島社文庫)


【私の評価】★★★★☆(85点)


要約と感想レビュー

広域暴力団 山口組の「武闘派」と言われ、裏の世界を大企業、政治家、宗教とかかわりながら歩いてきた後藤組長の一冊です。既に引退した身ということで、ヤクザ時代の昔の裏話という感覚で書かれてあります。


昔はヤクザの世界ではシャブは御法度、山口組でもシャブに手を出したら即、破門だった。ところが、今じゃ、ヤクザより堅気にシャブや麻薬が蔓延している。不良外国人からいつでも、誰でも簡単に買える時代になったから、高校生や中学生にまで覚せい剤が広まっていることを嘆いています。


・喧嘩ってのは、気合の問題なんだ。俺はその頃、小さな剃刀とか、ドス(小刀)を必ず持っていた。で、喧嘩になりゃあ、まずダッと顔を切る。(p35)


驚いたのは、創価学会との関係を書いているところです。創価学会の本山大石寺は、後藤の地元富士宮にあり、その施設の建設に関わる反対運動を潰すために動いていたという。また、反学会勢力に対し、ヤクザを使って圧力をかけたり、切り崩しをしていたという。創価学会はヤクザも使って、勢力を拡大していたのです。


著者に言わせれば、ヤクザを散々利用し、仕事が終われば知らんぷりで、情報を漏らすと警察権力を使って潰しにかかるのが創価学会だという。あらゆる組織に学会員を潜入させ影響力を行使している創価学会は、ヤクザより怖い存在なのでしょう。


・外務省には、池田にノーベル平和賞を取らせるためだけに働く、学会員の組織があるらしいじゃないか。・・・どんな宗教信じるかは勝手だ。しかし、その宗教のために国会や官僚組織に入り込むというのは、筋が違うんじゃねえか。特定の宗教の利益を目的とする人間が、国家権力の中枢にいるのはまずいよ(p115)


実際のシノギ等に関係する暴露話は、少ない印象でしたが、あの裏ではこうした話になっていたのか、と楽しめる本だと思います。暴力団への締め付けが強くなってきてる状況では、今後暴力団も地下にもぐり、マフィア化していくことになるのでしょう。


ヤクザ崩れや半ヤクザのような不良集団の増加にも警鐘を鳴らしています。後藤さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・世の中の人たちは、ヤクザの親分というのは、若い衆が稼いできた上がりを取ってメシを食ってると思っているかも分からんけど、そんなことをしていたら若い衆は逃げるだけだ。・・・自分の才覚でメシを食ってたから。(p57)


・「指詰めて始末しろ」なんて上から言われることは滅多にない。ヤクザ個人がそれぞれ自分の判断で、指を詰めるのが大半だ。(p70)


・いくら不景気だからって、必死で探せば、選り好みしなけりゃ必ず仕事はある。なんで周りの大人が、そういう若い奴に「自分のメシの種ぐらい、自分でみつけろ」と言わんのか、俺は不思議でしょうがないんだ。それより、年寄りたちを何とかすべきだろ(p206)


憚りながら (宝島社文庫)
後藤 忠政
宝島社 (2011-05-12)
売り上げランキング: 44950


【私の評価】★★★★☆(85点)


目次

第1章 血筋
第2章 富士宮愚連隊
第3章 イケイケの時代
第4章 創価学会との攻防
第5章 山口組直参
第6章 生涯の友・野村秋介
第7章 東京進出
第8章 バブルの勝者
第9章 政界の品格
第10章 渡米肝移植
第11章 引退の決意
第12章 得度



著者経歴

後藤 忠政 (ごとう ただまさ) ・・・東京市荏原区(東京都品川区の一部)に出生。本名・後藤忠正。元山口組後藤組組長。2歳で父の郷里・静岡県富士宮市に疎開して以降、同地で育つ。祖父・幸正(本名・幸太郎)は富士川発電(後に東京電力に吸収合併)や駿河銀行(現在のスルガ銀行)、駿豆鉄道(伊豆箱根鉄道の前身)などの創設に携わった。1984年四代目山口組直参。山一抗争を経て1989年に五代目山口組直参、2002年同若頭補佐。2005年六代目山口組の舎弟に直る。2008年10月引退。2009年4月8日神奈川県の無常山浄発願寺にて得度。得度名は忠叡。得度後、1966年に静岡県清水市で発生した強盗殺人放火事件・袴田事件を題材とする劇場映画『BOX 袴田事件 命とは』(高橋伴明監督)を企画。同事件では元プロボクサー・袴田巌さんの死刑が確定したが、戦後最悪の冤罪として現在も再審請求が続いている。


暴力団関連書籍

「暴力団」溝口 敦
「憚(はばか)りながら」後藤 忠政
「修羅の自叙伝―「ヤクザ」を生きる」井の上 孝彦
「アンダー・プロトコル: 政財暴一体で600億円稼いだ男の錬金哲学」 猫組長(菅原潮)


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