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「リストラなしの「年輪経営」: いい会社は「遠きをはかり」ゆっくり成長」塚越寛

2011/08/17公開 更新
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リストラなしの「年輪経営」: いい会社は「遠きをはかり」ゆっくり成長 (光文社知恵の森文庫)


【私の評価】★★★★★(92点)


要約と感想レビュー

 創業以来、48年連続増収・増益の伊那食品工業の塚越さんの一冊です。塚越さんの基本的な考え方は、企業の存続が大切であるということ。無理をせず、着実に事業を大きくしていくという姿勢が印象的でした。


 寒天がブームになったとき、初めて三交代制で、工場を24時間稼動させてみましたが、体調を崩す社員が出てきたので、止めたというのです。社員の健康と幸福を考えるならば、深夜労働は避けるのが会社の方針なのです。


 つまり、お金がないときに気づいたのは「最大の生産性向上策は、社員のやる気アップだ」ということであり、社員が幸せになる一番の方法は、大きな会社になってお金をもうけて、給料を増やすことではなく、人から感謝されることだというのです。


・大手スーパーから「商品を全国展開しないか」というお誘いがありました。・・・私は「身の丈に合わない急成長は後々でつまずきの元になる」と判断しました。(p26)


 伊那食品工業の利益を上げるめの考え方は、まず商品やサービスの付加価値を上げることです。中小企業は付加価値の高い商品を作り、売る努力をするべきなのでしょう。苦労して開発した価値の高い商品だからこそ、適正な価格で買ってもらえるのです。


 そして、取引会社にコスト削減を求めるという手っ取り早い方法に走るのではなく、工場の生産機械をか自社でつくってみたり、故障しても自分で直しているという。元はと言えば、資金不足で機械が買えなかったためらしいのですが、自社でコストダウンを行い、流通部門、販売部門にもしっかり儲けてもらうのが商売であり、じぶんだけが儲かればいいという考え方は一切ないのが印象的でした。


 また、海外進出についても安い労働力を目当てにした海外進出ではなく、現地企業を育成することを目指しています。現地でより良い製品ができたら、より高い値段で買うようにする、可能な限りの技術指導を行なって良い商品ができるようになったら、他で売ることを認めてあげるというのです。


・コストを割るような過当競争は、企業の永続を脅かします。ですから、私は「たくさん売るより、きちんと売る」ことが大切だと考えています。・・・営業マンたちには、「理不尽な要求や屈辱的な取引きを強要されるようならば、大きな商いであっても、きっぱりと断っていい」と言ってあります(p88)


 付加価値ある商品、掃除が大切、社員を大切にする。当たり前のことを書いているような本ですが、何か迫力を感じる一冊でした。塚越社長が「掃除はもの言わぬ営業マン」と言うように、きれいな社屋やオフィス、手入れの行き渡った敷地で、社員は笑顔で言葉遣いも丁寧で楽しそうに仕事をしているのです。そうしたきれいな設備ときれいな社員が、見学するお客様に安心感を与えているのです。


 当たり前だけどすごい、とでも言うのでしょうか。もう少し伊那食品は研究してみる深さがあるように感じました。塚越さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・肺結核から立ち直った時、私は「もう何も贅沢は言わない。ただ一生懸命に生きます」と誓いました。伊那食品工業に入社して、土日もなく毎日十数時間働きました。苦労とは思いません。働けるだけで幸せだったからです(p176)


・社員や役員を見ていると、「常に改革を行う」ことが得意な人と、苦手な人がいることが分かります。・・・しかし、どんな小さな会社であっても、トップは常に改革を目指さなければなりません。(p183)


・「健康な会社」であれば、「利益」というウンチは自然と出てくるはずです。(p40)


・フォローの風に乗った時に、これが自分の力だと思い違いし過大投資をして、後々痛い目に合うことがあります(p29)


・新入社員研修・・・100年カレンダーを見せることから始まります。・・・この中に、君たちの命日が必ずある。・・・「ここに君たちの命日を入れてみよ。」「それまでの一度きりの人生を、どう生きるか考えてみろ」(p163)


リストラなしの「年輪経営」: いい会社は「遠きをはかり」ゆっくり成長 (光文社知恵の森文庫)
塚越 寛
光文社 (2014-09-11)
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【私の評価】★★★★★(92点)


目次

第1章 「年輪経営」を志せば、会社は永続する
第2章 「社員が幸せになる」会社づくり
第3章 今できる小さなことから始める
第4章 経営者は教育者でなければならない



著者経歴

 塚越 寛(つかこし ひろし)・・・1937年生まれ。21歳で社長代行として赤字会社の伊那食品工業の建て直しに尽力する。83年社長に就任。05年会長に就任。伊那食品工業は47年間連続の増収増益を達成している。


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コメント(1)

「リストラなしの「年輪経営」」の感想をみて

・「ここに君たちの命日を入れてみよ。」「それまでの
 一度きりの人生を、どう生きるか考えてみろ」

フランクリンコヴィの7つの習慣にも
同じ事が書かれてあるのを思い出しました。

自分も考えなくてはと先伸ばしにしていました。
気づかせてくれて、ありがとうございました。

明日から四日間の夏休みに考えてみます。

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