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「香港領事動乱日誌―危機管理の原点」佐々 淳行

2011/05/09公開 更新
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香港領事動乱日誌―危機管理の原点


【私の評価】★★★★★(90点)


要約と感想レビュー

テレビでおなじみみの危機管理の専門家、佐々 淳行さんの一冊です。佐々さんは、35歳で在香港日本国総領事館領事として警察庁から出向しています。


香港に赴任してしばらくすると、香港動乱が発生し、さらに、ベトナム出張中にはテト攻勢と遭遇して、爆弾、銃弾の中をくぐり抜けてきたことがわかります。こうした騒乱のなかで、イギリス人はどう対処したのか、中国人はどう対処したのか、これが佐々さんの大切な財産となったようです。


・警察庁出向の香港領事の大事な任務の一つは、麻薬密輸に関する情報を収集し、警察庁に通報することである・・・香港といえば麻薬犯罪の代名詞のようなもの(p166)


海外で騒乱があると問題になるのは、在留邦人の脱出方法です。本書の1967年の香港暴動のときから、在留邦人の脱出に問題があることはわかっていたのです。しかし、外務省のキャリアは、在留邦人の保護という仕事はノン・キャリアのやる次元の低い仕事と考えている人が多く改善しないのだというのです。


そうした背景もあって、他国の好意で脱出するしかないというのもさびしい気持ちになりますね。佐々さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・公安部長公用車で出かけることになって警察本部玄関の車廻しに降りたとき、スレビン公安部長が小脇に散弾銃を抱えているのに気がついた・・「護衛は連れていかないの?」「オレは警官だよ、銃も持ってる。警官が警官を守ってどうする」(p227)


・遺骨収集・・・「ここまでで結構です。あと私ども厚生省の所管ですから・・・」何だって?一瞬ムッとなる。自分の所管なら香港に来て自分たちで収集すりゃいいじゃないか。(p62)


・これまで数多くの国会議員たちのお世話をしてきたが、私たちに中国料理を奢ってくれ謝辞をのべてくれた国会議員は、松田竹千代元文部大臣が始めてだった(p187)


・北京人は長身・肥満・頭が大きく・・・香港の警察官の多くは山東人で、軍事も北方人種が多い。上海は昔は「楚」の国で、戦国時代宰相屈原は謀略をめぐらして六カ国の合従連衡の策で北の大国「秦」に対抗(p211)


香港領事動乱日誌―危機管理の原点
佐々 淳行
文藝春秋
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【私の評価】★★★★★(90点)


目次

第1章 着任前の重要任務―ケネディ暗殺事件調査
第2章 鹿島立ち
第3章 戦争犠牲者たちへの鎮魂歌
第4章 日本人学校創設
第5章 危機の見本市はじまる
第6章 香港暴動勃発す
第7章 駅前番頭の"悲哀"
第8章 香港グラフティー
第9章 アンコールワットの旅
第10章 サイゴン籠城記
第11章 帰朝―再び戦国時代の警察へ



著者経歴

佐々淳行(さっさ あつゆき)・・・1930年東京生まれ。東京大学法学部卒業後、国家地方警察本部(現警察庁)に入庁。目黒警察署勤務をふりだしに、警視庁外事・警備・人事課長、警察庁調査・外事・警備課長を歴任、「東大安田講堂事件」「連合赤軍あさま山荘事件」等では警備幕僚長として危機管理に携わる。その後、三重県警察本部長、防衛庁官房長、防衛施設庁長官等を経て、86年より初代内閣安全保障室長をつとめ、昭和天皇大喪の礼警備を最後に退官。以後は文筆、講演、テレビ出演と幅広く活躍


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