「覚悟の人 小栗上野介忠順伝」佐藤 雅美

| このエントリーをはてなブックマークに追加

覚悟の人  小栗上野介忠順伝 (角川文庫)

【私の評価】★★★☆☆(74点)


■私のこれまでの小栗忠順(ただまさ)の印象は、
 幕末、大政奉還の後、茨城県あたりに流れ落ち、その後、
 官軍の一味によって捕まり、斬首されたというもの。


 有能でありながら、力を出し切れなかった人
 という印象があります。


 この本では、遣米使節の目付として渡米。
 通貨の交換比率を交渉。


 外国奉行となった頃には、
 ロシアの対馬占領をイギリスの力で解決。


 勘定奉行の頃には、生麦事件が発生。
 膨大な賠償金の支払いに反対したようです。


・オールコックは・・・
 口をきわめて、罵倒するようにいった。
 「余はイギリス政府の代表である。・・・
 およそ事を決するには二通りある。
 一は平和裡に話し合うこと。
 一は干戈(かんか)を交えること。
 私は戦いを好むものではないが、
 そちらの出方によっては
 干戈を交えざるをえない。(p61)


■さらに、勘定奉行として、
 金のない幕府の資金調達に奔走。


 最後にはフランスから、資金を調達しようと
 していたようです。


・文久三年の将軍家茂上洛費用 およそ百万両
 生麦事件の償金 一万ポンド(四十四万ドル)(33万両)
 元治元年の将軍の再度の上洛費用 大判四百十枚に四十八万両
 第二次長州征伐の費用 手当のみで四百三十七万両 
 下関戦争で長州にかわって幕府が支払わせられることになった
 賠償金・・・馬鹿げたことにこれがなんと
 三百万ドル(225万両)(p254)


■現代日本は、中国の威圧に右往左往していますが、
 当時の幕府も同じように右往左往しているのが、
 興味深く感じられました。


 危機に対し、適切に対応できる人は
 それほどいないものですが、
 それでも日本には時々、
 そうした能力を持った人が現れるのかもしれません。


 佐藤さん、良い本をありがとうございました。


━━━━━━━━━━━


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・オールコックとハリスは、ロシア人士官ら殺傷事件が
 起きるとこれ幸いとばかりに外国事務宰相部に迫って、
 水野を外交の表舞台から追放させた。(p30)


・ペリーが来日してお互いの貨幣をどう評価し合うのかという問題が
 生じたとき、実質総理の阿部正弘も、老中首座の堀田正正睦も、
 勘定奉行の川路聖謨も、当時勘定奉行だった水野忠徳自身も
 一分銀は紙幣のような貨幣であるという本質を知らずにいた。(p92)


・この時代はパックス・ブリタニカの時代で、
 イギリスは世界の最強国というのを
 むろん小栗も百も承知していた。
 だがイギリスは生麦事件が起きたとき、
 追剥(おいはぎ)同然の振る舞いにおよんだ。・・・
 オランダは一時期は隆盛だったが
 いまはただの一小国。ロシアは孤狼の国(p228)


・「日本は組織された行政を持たない。・・・
 「日本は陸軍も海軍も持っていない。・・・
 さらにいう。「日本は財政を持たない」
 八代将軍吉宗の時代まで、幕府は予算制度を
 とりいれていなかった。(ロッシュ)(p280)


覚悟の人  小栗上野介忠順伝 (角川文庫)
佐藤 雅美
角川書店(角川グループパブリッシング)
売り上げランキング: 65258
おすすめ度の平均: 5.0
5 小栗への鋭い歴史考察
5 分りやすい佐藤史観、幕末の傑物を活写

【私の評価】★★★☆☆(74点)



楽天ポイントを集めている方はこちら



読んでいただきありがとうございました!

この記事が参考になった方は、クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓ 
人気ブログランキングに投票する
人気ブログランキングへblogrankings.png


メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」
40,000名が読んでいる定番書評メルマガです。購読して読書好きになった人が続出中。
もちろん登録は無料!!
        配信には『まぐまぐ』を使用しております。



お気に入りに追加
本のソムリエ公式サイト



この続きは無料メールマガジン 「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』:1ヶ月30冊を超える情報をe-Mailで」でお読みいただけます。

無料メルマガ購読

>月別(2002年7月~)