「排出権商人」黒木 亮

排出権商人
排出権商人
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黒木 亮
講談社
売り上げランキング: 3098
【私の評価】★★★☆☆(72点)


■温暖化ガスの排出権取引について
 小説化した一冊です。

 実は私もこの関係の仕事をしていましたので、
 そばがゆいというか、懐かしいというか、
 不思議な感覚でした。


■京都議定書における
 日本の温暖化ガスの削減目標は
 1990年から6%の削減。

 この目標が達成できない場合、
 他国の余った排出権を購入するか、
 他国の温暖化ガス削減プロジェクトに資金提供することで
 排出権を手に入れる必要があるのです。


・ご存知のとおり、日本の電力会社や鉄鋼メーカーは、
 温室効果ガスの自主削減目標を達成するために、
 排出権を購入しなくてはなりません。(p47)


■この本では、そうした排出権獲得プロジェクトを
 海外で作り上げ、日本の電力会社や鉄鋼メーカーに
 転売してサヤを稼ぐビジネスの実情を教えてくれます。

 現実も、この小説のようなものだと
 理解して問題ないのではないでしょうか。

 というより、この本を読めば、業界の常識が
 だいたいわかると思います。


・HFC23分解プロジェクト・・・排出権は中国企業に帰属するが、
 日本側はそれを全量購入し、電力会社などに売却する。排出権一トンにつき、
 十ユーロ程度のサヤが抜ける見込みで、毎年五千八百ユーロ(約八十億円)
 が日本側三社に転がり込む。中国側にはその倍くらいの金が入り、関係者
 一同笑いが止まらないプロジェクトだ。(p36)


■この本の最後に、「地球温暖化問題は、世紀のペテン」
 というメッセージが出てきます。

 この言葉を書くために、黒木さんはこの本を
 書いたのではないかと私は感じました。

 小説としては★2つですが、
 排出権の業界を知るには良い本だと思いましたので、
 本の評価としては★3つとします。

 黒木さん、よい本をありがとうございました。


━━━━━━━━━━━

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・地球温暖化問題は、世紀のペテン・・・
 太平洋では数十年ごとに水温が上下する「太平洋十年規模運動(PDO)」
 という現象があり、太平洋の高温・低温期は、地球の温度の周期と
 ほぼ一致している。PDOは、1970年代半ばから高温期だったが、
 それが1998年で終わったと考えられ、今後、三十年くらいは、
 地球の気温が上昇しない可能性が高い(p410)


・2008年から2012年までの「第一約束期間」で
 日本が購入しなくてはならない排出権は、政府・民間合計で
 四億トンである。かりにトン当り15ユーロで買い付けるとすれば、
 約一兆円を支出しなくてはならない。(p336)


・UNFCCCは、発行される排出権量に応じて「登録料」を
 ピンはねしているので、国連諸機関のなかでは、例外的に
 財政が豊かである。そのため、職員を大幅に増やしたり、
 方法論を複雑化したりして「マフィア化」している。(p273)


排出権商人
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黒木 亮
講談社
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おすすめ度の平均: 4.5
5 ドラマ仕立ての排出権取引の説明書
5 よいけど限界あり
5 アクの強い人物たちと現場が排出権相場を盛り上げる。
5 排出権取引の仕組みがよくわかります
4 CDMの欺瞞を突く

【私の評価】★★★☆☆(72点)


■著者紹介・・・黒木 亮(くろき りょう)

 1957年生まれ。
 銀行、証券会社、総合商社勤務を経て作家。
 英国在住。


■関連書評■

a. 「エコノミック・ヒットマン」ジョン・パーキンス
【私の評価】★★★★★

b. 「隷属国家 日本の岐路」北野 幸伯
【私の評価】★★★★★


c. 「交渉術」佐藤 優
【私の評価】★★★★★


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コメント(1)

コメントありがとうございました。

温暖化問題は、「世紀のペテン」と言う雰囲気が出て来ましたよね。 環境ビジネスもバブル崩壊でしょうか。

安藤忠・加藤陽子など、読まれている本も同じものが多く
とても親近感を抱いた次第です。

また、ちょくちょくアクセスさせて頂きます。

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