■温暖化ガスの排出権取引について
小説化した一冊です。
実は私もこの関係の仕事をしていましたので、
そばがゆいというか、懐かしいというか、
不思議な感覚でした。
■京都議定書における
日本の温暖化ガスの削減目標は
1990年から6%の削減。
この目標が達成できない場合、
他国の余った排出権を購入するか、
他国の温暖化ガス削減プロジェクトに資金提供することで
排出権を手に入れる必要があるのです。
・ご存知のとおり、日本の電力会社や鉄鋼メーカーは、
温室効果ガスの自主削減目標を達成するために、
排出権を購入しなくてはなりません。(p47)
■この本では、そうした排出権獲得プロジェクトを
海外で作り上げ、日本の電力会社や鉄鋼メーカーに
転売してサヤを稼ぐビジネスの実情を教えてくれます。
現実も、この小説のようなものだと
理解して問題ないのではないでしょうか。
というより、この本を読めば、業界の常識が
だいたいわかると思います。
・HFC23分解プロジェクト・・・排出権は中国企業に帰属するが、
日本側はそれを全量購入し、電力会社などに売却する。排出権一トンにつき、
十ユーロ程度のサヤが抜ける見込みで、毎年五千八百ユーロ(約八十億円)
が日本側三社に転がり込む。中国側にはその倍くらいの金が入り、関係者
一同笑いが止まらないプロジェクトだ。(p36)
■この本の最後に、「地球温暖化問題は、世紀のペテン」
というメッセージが出てきます。
この言葉を書くために、黒木さんはこの本を
書いたのではないかと私は感じました。
小説としては★2つですが、
排出権の業界を知るには良い本だと思いましたので、
本の評価としては★3つとします。
黒木さん、よい本をありがとうございました。
━━━━━━━━━━━
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・地球温暖化問題は、世紀のペテン・・・
太平洋では数十年ごとに水温が上下する「太平洋十年規模運動(PDO)」
という現象があり、太平洋の高温・低温期は、地球の温度の周期と
ほぼ一致している。PDOは、1970年代半ばから高温期だったが、
それが1998年で終わったと考えられ、今後、三十年くらいは、
地球の気温が上昇しない可能性が高い(p410)
・2008年から2012年までの「第一約束期間」で
日本が購入しなくてはならない排出権は、政府・民間合計で
四億トンである。かりにトン当り15ユーロで買い付けるとすれば、
約一兆円を支出しなくてはならない。(p336)
・UNFCCCは、発行される排出権量に応じて「登録料」を
ピンはねしているので、国連諸機関のなかでは、例外的に
財政が豊かである。そのため、職員を大幅に増やしたり、
方法論を複雑化したりして「マフィア化」している。(p273)
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よいけど限界あり
アクの強い人物たちと現場が排出権相場を盛り上げる。
排出権取引の仕組みがよくわかります
CDMの欺瞞を突く【私の評価】★★★☆☆(72点)
■著者紹介・・・黒木 亮(くろき りょう)
1957年生まれ。
銀行、証券会社、総合商社勤務を経て作家。
英国在住。
■関連書評■
a. 「エコノミック・ヒットマン」ジョン・パーキンス
【私の評価】★★★★★
b. 「隷属国家 日本の岐路」北野 幸伯
【私の評価】★★★★★
c. 「交渉術」佐藤 優
【私の評価】★★★★★
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コメントありがとうございました。
温暖化問題は、「世紀のペテン」と言う雰囲気が出て来ましたよね。 環境ビジネスもバブル崩壊でしょうか。
安藤忠・加藤陽子など、読まれている本も同じものが多く
とても親近感を抱いた次第です。
また、ちょくちょくアクセスさせて頂きます。