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「望郷の道(上)」北方 謙三

2010/01/25公開 更新
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望郷の道〈上〉 (幻冬舎文庫)

【私の評価】★★★★★(93点)

要約と感想レビュー

 久しぶりに小説で涙した一冊となりました。北方謙三さんの小説は、はずれがないです。


 明治の時代、船頭の男 正太は、賭場の女将と出会い、婿養子として賭場の世界に入ります。持って生まれた商才から賭場を大きくしていく正太に、充実した毎日が続いていきます。しかし、正太の成功を面白く思わない人間が、陰謀を準備していたのです。それに対し正太は九州を離れ、台湾で生きる決意をするのです。


 2時間で読み切り、速攻で下巻を購入しました。本の評価としては★5つとしますが、また寝不足になりそうです。北方さん、よい本をありがとうございます。


この本で私が共感した名言

・改良すべき点を、正太は帳面に書きこんでいき、それはかなりの項目にのぼってきた。いきなり、すべてを改めることはできないだろう。ここをこう改める、と若い衆に言う必要もない。働きやすい環境を、徐々に作っていけばいいのである。(p59)


夢ば、夢としか考えられん人間ば、俺は認めようとは思わんとです(p262)


やりたいことなど、見つけるのではなく、むこうからやってくる。そういうものなのだろうと、いまは思う。(p63)


・帳簿をつけていると、肉がどんなふうに流れているかわかり、それによって人の状態も見えてくるはずだった。まず、台北の人の状態を知りたかった。(p240)


望郷の道〈上〉
北方 謙三
幻冬舎
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【私の評価】★★★★★(93点)



著者経歴

 北方 謙三(きたかた けんぞう)・・・1947年生まれ。
 1981年「弔鐘はるかなり」でデビュー。
 1983年「眠りなき夜」吉川英治文学新人賞。
 1985年「渇きの街」日本推理作家協会賞
 1991年「破軍の星」柴田錬三郎賞
 2004年「楊家将」吉川英治文学賞
 2006年「水滸伝」司馬遼太郎賞


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