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「本気の教育でなければ子どもは変わらない」原田 隆史

2009/04/07公開 更新
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本気の教育でなければ子どもは変わらない (シリーズ教育を考える)


【私の評価】★★★★★(97点)


要約と感想レビュー

 原田先生の最も初期の著作です。それだけに、原田先生の試行錯誤、苦労の軌跡が しっかりと書いてある一冊でした。原田先生の人生は、常に自らの退路を断った「決断」によって大きく前進しています。


 まず、最初に赴任した中学校で、家庭内暴力に悩んだ親が子どもを殺害する、同僚が木刀で殴られる、生徒を抑えようとした手が目に当たり「暴力」とされる、といった事件が続きます。そこで「教師を辞めよう」と悩んだ原田先生が両親に相談すると、原田先生の母親は「・・逃げたいがための転職やったら、やめなさい」とアドバイスしてくれました。そこで、原田先生はS中学校に転勤し、そこで最後の勝負をすることにしたのです。


・よし!しんどい学校で自分が通じるかどうか試そう。いままでの倍の仕事をして、うまくいくかギリギリまでやってみよう。それでダメなら教師を辞めよう(p81)


 S中は、授業中に踊っている子どもがいる、金髪グループが構内をウロウロするといういわゆる荒れた中学校でした。原田先生は、「ここでだめなら辞める」という覚悟で「態度教育」に取り組み、警察と児童相談所と連絡を取りながら、荒れた中学校を再生することに成功するのです。


 そして、次の決断は、次の中学校、大阪市立松虫中学校に転勤してからです。この学校も荒れた中学校でしたが、「態度教育」で落ち着かせることに成功します。しかし、陸上では大阪府の大会でさえ「勝てるわけがない」というレベルでした。そこで、またしても原田先生は、生徒に本気を伝えるために次のような宣言をするのです。


三年間で日本一にできなかったら、教師を辞める!


・自分が本気であることを伝えるために、こう宣言しました。「三年間で日本一にできなかったら、教師を辞める!」集会のあと、ある子どもが、それが本当なら紙にかいてくれといってきました。・・その子はコピーをとって、みんなに配ってしまいました(p107)


 その後、原田先生は、松虫中で13回の日本一を達成します。私には、退路を断った「決断」の力が伝わってきました。当然、生徒にも伝わったはずです。


・なんとしてでも、原田先生を日本一の監督にしたかったんです(p120)


 この本を読んで、「得るは捨つるにあり」「捨我得全」の意味が少しだけわかったような気がしました。覚悟を決めた人は強いのです。私は、原田先生の本をすべて読みましたが、この本が一番、原田先生の人生と思いを伝えてくれる一冊だと思いました。本の評価としては★5つ、97点とします。


この本で私が共感した名言

・私は、練習以外にまず、何かの仕事、役割を与えることにしています。用具を準備する、砂場の砂をならす、用具を片付ける・・きちんとできていたら、すぐに・・・呼んでほめる・・・これは子どもにとって、癒しになると同時に、小さな成功体験になります(p20)


・態度教育・・・クツをそろえる
 ・イスを机のなかにいれる
 ・カバンを立てる
 ・元気のいい弾んだ「ハイ」という返事
 ・人より早くあいさつをする・背筋をピンと伸ばした姿勢・・・子どもたちとの根比べです。できたらほめる。できなかったら、教える。(p48)


・私は後輩の若い先生たちに、赴任先に行くときは・・・「こういう学校にしたい」「こんな学校をつくりたい」という目標を持つことが大切だと説明します(p95)


・文部科学省は、新学習指導要領を最低ラインととらえ、土曜日、日曜日の自由時間で個性に合わせて、生きる力を高めなさいといっている。しかし現場の教師、保護者、子どもは、ゆとりだから手をゆるめよう、休もうと思っている(p32)


▼引用は、この本からです。


【私の評価】★★★★★(97点)



著者経歴

 原田 隆史(はらだ たかし)・・・1960年生まれ。大学卒業後、公立中学校で体育教師。松虫中学校では7年間で13人の日本一を輩出。現在、大学で教師の育成にあたるかたわら、現役教員のための私塾「教師塾」を主宰。著書多数。


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コメント(3)

私は、あまり本を読むほうではなく、読むのも遅く、したがって本屋に行くことも少ないので、良い本、良い著者に関する情報源として、とても助かっています。

本日メールで推薦のあった本を数冊書店で購入しましたが、原田隆史の「本気の教育でなければ・・・・」
を立ち読みした際、バキュームカーの仕事の箇所で感動しました。もちろん買いました。

毎日配信される内容から、実際に月に1冊~2冊実際に購入しています。

最近では「本気の教育でなければ子どもは変わらない」原田 隆史著に心打たれました。

教育者ではないですが、部下を持つ身としては同じような心構えが必要な場合もあることを、改めて考えました。

このメルマガから購入して感動した書籍は、
「本気の教育でなければ子供は変わらない」原田 隆史氏
です。

ここまでの教師がいるのかと感激!
会社でも、家庭でも、社会でも、根本は同じ。
でも実践は難しいです。

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