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「仕事道楽―スタジオジブリの現場」鈴木 敏夫

2008/09/19公開 更新
本のソムリエ
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【私の評価】★★★★★(92点)


要約と感想レビュー

 私はジブリ作品「カリオストロの城」「風の谷のナウシカ」「もののけ姫」「天空の城ラピュタ」が大好きです。つまり、宮崎駿の作品が大好き。宮崎駿は、本当に天才だと思います。


 この本では、ジブリでの映画作りの現場のドタバタ、人間模様、組織のしがらみなどが、プロデューサーである著者の視点から語られます。例えば、「カリオストロの城」はなんと作画期間がたった4ヶ月しかなく、宮崎駿は、朝9時から夜2時まで作画していたという。


 そして映画が完成しなくても一向に完成させようとしない高畑勲や、ナウシカを最後に死なせて終わらせようとする宮崎駿。そうした案に対して、「ナウシカは一度死んで、甦ったほうがお客さんにわかりやすいんじゃないか」と言って、原作と全く違う最後にしてしまった著者の鈴木敏夫。こうした製作に携わる人たちが喧々諤々意見を出し合って、映画が作られていくのがわかります。宮崎駿のエピソードを読んで、宮崎駿は良いも悪いもある人間だったんだ・・・と、不思議な感覚を持ちました。


 宮崎駿は「紅の豚」を制作しながら、スタジオジブリの設計図を書き、建設会社への仕様を並行して検討していたとか、「もののけ姫」というタイトルは、宮崎駿としては「アシタカせっ記」にしたかったなど、ジブリ・ファンなら必読の一冊となっています。


 私は、ファンなので文句なく★5つとしました。


この本で私が共感した名言

・宮(宮崎駿)さんは岩波新書の中尾佐助『栽培植物と農耕の起源』の話ばかりしていたことがあります。宮さんに「鈴木さん、これ読んだ?」と聞かれて、「いや、それは読んでない」といったら、いきなり「無知ですね」(p29)


・高畑さんに聞いたことがあります。「プロデューサーでいちばん大事なことはなんですか?」。高畑さんの答えは明快でした。「それは簡単です。監督の味方になることです」(p43)


・『トトロ』・・・じつは「儲けなくてもいい」という姿勢でのぞんだのに、結果として最大の収益をあげる作品になった(p80)


・正直いいますと、ジブリがここまで続くとは誰も考えていませんでした。一本成功したら次をやる。失敗したらそれで終わり。(p138)


▼引用は、この本からです。


【私の評価】★★★★★(92点)


目次

1「仕事は公私混同/まかせた以上は全部まかせる」 ──『アニメージュ』創刊のころ
2「つきあう以上、教養を共有したい」 ──高畑勲・宮崎駿との出会い
3「一番大事なのは監督の味方になること」 ──『風の谷のナウシカ』そしてスタジオジブリ設立
4「企画は半径3メートル以内にいっぱい転がっている」 ──宮崎駿の映画作法
5「みんなで坂を転げ落ちるのが映画づくりだ」 ──高畑勲の論理と実践
6「人間、重いものを背負って生きていくもんだ」 ──徳間康快の生き方
7「いいものを作るには小さい会社のほうがいい」 ──「町工場」としてのジブリ



著者経歴

 鈴木敏夫(すずき としお)・・・株式会社スタジオジブリ代表取締役プロデューサー。1948年名古屋市生まれ。慶應義塾大学卒業後、徳間書店入社。『週刊アサヒ芸能』を経て、アニメーション雑誌『アニメージュ』の創刊に参加。副編集長、編集長。1984年から『風の谷のナウシカ』を機に高畑勲・宮崎駿作品の製作に関わる。1985年にはスタジオジブリの設立に参加、1989年からスタジオジブリの専従に。以後、ジブリの全アニメ作品及び、三鷹の森ジブリ美術館(2001年開館)のプロデュース等を手がける。現・株式会社スタジオジブリ代表取締役プロデューサー


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