「自壊する帝国」佐藤 優

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自壊する帝国

【私の評価】★★★★★(93点)


■外交官はある種、スパイのような活動をしているわけですが、
 最も困難であろうと思われるのは、
 信頼できる人間関係を作ることではないでしょうか。


 盗聴や、買収で情報は取れますが、
 本当にレベルの高い情報源からは
 よほど好かれないと、情報は引き出せないでしょう。


  ・大使館は政務班十人、経済班十五人の体制でソ連情報をフォロー
   しているのだが、記者たちは二、三人で取材し、分析し、
   それを記事にしている。しかし、マンパワーの圧倒的に少ない記者たちが
   大使館員がとることのできない情報をとってくる。(p119)


■1987年、佐藤氏はモスクワの大使館勤務を始め、
 モスクワ大学で興味のある神学を学ぶなかで、
 ロシア人脈を広げていきます。


 そして、1991年、ゴルバチョフ軟禁にはじまる
 ソ連崩壊の過程で、情報収集だけでなく、
 ソ連共産党とロシア共産党の間に立ち、
 ソ連崩壊のなかで一つの役割を持つまでになっていくのです。


■その後、日本とロシアは、北方領土問題を解決し、
 平和条約が締結されるのではないかという流れのなかで、
 協力関係が進むものと思われました。


  ・日本国家が生き残るためには、今後、国力を増大し、
   自己主張を強める中国を牽制する必要がある。そのためには
   ロシアとの関係を改善することが日本の国益に適うはずだと、
   地政学的発想に立つ外交官たちは考えたのである。(p15)


■しかし、2002年には
 田中真紀子外相と鈴木宗男議員との確執があり、
 鈴木宗男議員バッシングと共に、佐藤氏は
 外務省から切られるのです。


■圧倒的な描写力で描かれる外交の世界に
 引き込まれました。


 外務省の組織の雰囲気だけでなく、
 有能な外交官は何をしているのか、
 何を考えているのかが伝わってくる重厚な一冊です。


 本の評価としては★5つとしました。
 みなさんもお楽しみください。

─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


  ・イラクはカネになるんだよ。・・・イラクで戦争が起きれば、
   アメリカ、イギリス、ロシアで石油利権を再配分する。そのときに
   備えてロシアのカードを増やすことが僕たちの仕事だ。(p325)


  ・何度もタダ飯を食べていると、「協力者」ということに
   されてしまう。それがこの世界における「ゲームのルール」
   なのだ。奢られたら奢り返す。(p150)


  ・スターリンははつての同士を銃殺した晩に必ず宴会を開いて
   「いい奴だったのになあ」と言って、粛清した同士を偲んで
   「キンズマラウリ」か「フバンチカラ」で乾杯したという(p276)


  ・ロシアでは、ウオトカやコニャックなどの強い酒を
   ちびちび飲むのはルール違反だ。必ず一気に
   飲み干さなければいけない。そして乾杯の前には必ず
   口上を述べなくてはならない。(p67)


▼引用は、この本からです。

自壊する帝国
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【私の評価】★★★★★(93点)


■著者紹介・・・佐藤 優(さとう まさる)

 1960年生まれ。
 1985年同志社大学大学院神学研究科修了。
 外務省入省。在英国日本国大使館、ロシア連邦日本国大使館。
 95年より外務本省国際情報局分析第一課。
 2002年、背任と偽計業務妨害容疑で逮捕。
 2005年、執行猶予付き有罪判決を受ける。控訴中。


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