「反転―闇社会の守護神と呼ばれて」田中 森一

反転―闇社会の守護神と呼ばれて
【私の評価】★★★★★(91点)


■現在、詐欺の名目で懲役3年の実刑判決を受け、
 服役中の田中元検事の一冊です。

 著者は、東京特捜部に在籍していた辣腕検事であり、
 その検事を辞めた後、弁護士として裏社会の人々を
 弁護してきました。


■田中さんの生き方にはあまり賛同できませんが、
 社会の裏と、政治家、企業家、高級官僚のつながりが、
 この一冊を読むだけで見えてきます。

 ヤクザ、政治家だけでなく検察を含めた高級官僚の名前が
 ぼろぼろ出てくるのは、
 検察組織から裏切り者として堀の中に入れられ
 失う者のない人間だからできることなのでしょう。


  ・住銀は労せずして、平和相銀の東京の店舗を手に入れ、業務を拡大・・・
   住銀と検察の関係は古く、強い。大阪で検事正が検察庁を退官して
   弁護士になるとき、住銀と読売新聞が責任を持って何十社に及ぶ
   顧問先をつける。(p178)


■この本を読んでから、
 新聞やニュースを見る気がしなくなってしまいました。

 「汚職は国を滅ぼさないが、正義は国を滅ぼす」とは言われますが、
 闇の部分も知っておく必要があるでしょう。

 日本社会の現実を直視するために必読の一冊です。
 本の評価としては、★5つとしました。

─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


  ・検察の捜査に対して「国策捜査」という呼び方をよく耳にする。
   ・・・そもそも検察の捜査の本質が、権力体制と企業社会を守護する
   ためのものだ。つまりすべて国策捜査である。(p16)


  ・無理やりストーリーをつくり、それを調書にした。・・・
   そうやって被疑者を追い込みながら、調書を取る。そのテクニックに
   最も優れているのが、東京地検や大阪地検の特捜部である。(p152)


  ・警察の捜査を受けて起訴、あるいは不起訴などを決定するのが、
   検察庁の役割である。・・・検事は、警察の捜査段階から刑事たちの
   相談を受ける。・・・いわば検事は、事件における捜査の指揮官の
   ような存在である。・・・だから、地方に赴任すると、大きな顔が
   できるのである。(p77)


  ・たとえば、本部長や大阪の中心地の警察署長が転勤するときには、
   当時で2000万円から3000万円の選別が
   地元の有力業者から贈られる。(p129)


  ・ヤクザは、その大半が、同和部落出身者かあるいは在日韓国・朝鮮人
   だといわれる。そういう差別された人たちが数多く住む大阪は、
   自然とヤクザが幅を利かす。彼らは、行政や経済に深く食い込み、
   事件の裏で暗躍してきた。(p133)


  ・会津小鉄会では、京都府の同和対策事業の工事費用をピンハネ
   していた。建設会社の受注金額の三パーセントを抜くことが、
   半ば習慣化されていた。そうしたカネがなければ、あれだけの
   大組織を維持できないのだろう。(p260)


▼引用は、この本からです。

反転―闇社会の守護神と呼ばれて
田中 森一
幻冬舎
売り上げランキング: 92
おすすめ度の平均: 4.5
5 考えさせられる本
3 バブル紳士たちの横顔
5 いわゆる国策捜査を表と裏から読み解く
5 虐げられた者への共感を基底に持つ作者のハードボイルド世界
5 「裏社会」と「表社会」は密接だった!

【私の評価】★★★★★(91点)


■著者紹介・・・田中 森一(たなか もりかず

 1943年生まれ。岡山大学在学中に司法試験に合格。
 1971年検事任官。大阪地検を経て、東京地検特捜部。
 撚糸工業組合連合会汚職、平和相互銀行不正融資事件などを担当。
 辣腕検事として名を上げ、1988年退官、弁護士事務所開設。
 2000年石橋産業事件をめぐる詐欺容疑で東京地検に起訴され、
 2008年2月上告棄却、懲役3年が確定する。

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■関連書評■
a. 「国家の罠」佐藤 優、新潮社
【私の評価】★★★★★

b. 「警察裏物語」北芝 健、バジリコ
【私の評価】★★★★☆


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