「小泉官邸秘録」飯島 勲

小泉官邸秘録
【私の評価】★★★★★(94点)


■小泉劇場、刺客、丸投げ・・・
 多くの名言を残した小泉元首相。
 その秘書官から小泉政治の裏側を解説した一冊です。


■こうして読んでみると、
 小泉改革の内容は、当たり前のことを
 当たり前にするということであったと思います。

 例えば、予算編成は財務省が行なうのではなく
 首相の方針の下に編成されるのが当然でしょう。

 ・諮問会議の「骨太の方針」は、この「概算要求基準」に先立って
  決定される。・・・重要なことは総理自身が主導し議長を務める諮問会議で
  決定し、それに従った予算編成を財務省が行なっていく、という、
  考えてみれば当たり前の仕組み、ルールを作ったのである。
  これは言ってしまえば簡単だが、霞が関(とそれにつながっている
  族議員や業界)にとっては驚天動地の大事だったのである。(p23)


■小泉改革がうまくいったのは、
 問題点を正しく把握していただけでなく、
 その対応策があり、そして、その対応策を実現するための
 諮問会議、人事などの方法論があったことだと感じました。


 ・昼は主に新聞を念頭に置いたカメラなしのぶら下がり取材とし、
  夕方はテレビで映像が流れることを念頭に置いたカメラ入りの
  ぶら下がり取材とした(p34)


■そして、最後は首相の命をかけた信念です。

 ・医療制度改革・・・先送りにしたいというのが党の強硬派の固い主張
  のようであったが、総理は「三割は断固やるぞ。下でどんな議論に
  なろうと最後は自分のところできちんとやるから」と言って全く
  揺らぐことはなかった。(p91)


■一瞬、政治家になりたくなってしまった一冊でした。

 しかし、当たり前のことを当たり前にすることが
 これほどの困難を伴う国家に未来はあるのだろうか?
 と疑問を持ちました。

 テレビではこうした内容が伝わらないことを不思議に思いながら、
 ★5つとします。

─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・ときどき大臣が役所の人事に口出しをして大騒ぎになる、という話が
  新聞を賑わすことがある・・・大臣であっても長年の霞が関の人事慣行
  に口を出すことそれ自体が官僚機構の反発を招くのである。・・・
  総理は・・・昔から官僚機構が自らの組織利害のために人事や組織を
  壟断することを非常に嫌い、常に厳しい態度で臨んでいた。(p26)


 ・モンゴルやウズベキスタン、カザフスタンなど、総理就任直後から
  行きたいと思っていた国でも、結局訪問したのは退任直前の
  2006年夏である。(p38)


 ・「切られるところは反発するぞ。でもその方がいいんだ、反発がある
  方が分かりやすい。中曽根さんがそう言っていたよ」とも語っていた。
  (p59)


 ・特殊法人なんてひどいもんだ。隠れ借金の塊だ。
  こういうことをみんなに分かるようにしないといけないんだ。
  そうしたら深刻さが分かるぞ(p62)


 ・「無駄な部門を五兆円削って必要な部門に二兆円回す。
  これで三兆円を削減する。後の細かい手順・内容は君たちで
  考えてくれ」。翌日官邸に来た財務省の幹部に、総理はそう言い渡した。
  大げさではなく、予算編成の主導権が財務省から官邸に移った歴史的
  瞬間だ、と私は思った。(p67)


 ・防衛庁には、いわゆる背広組の内局と征服組の陸・海・空の自衛隊
  という異なる組織原理を有する複数のグループが存在し、なかなか
  考え方が一致しない。そのため、お互いに自分に有利な情報をリーク
  しようとする傾向がある。(p129)


 ・郵政民営化準備室の室長は、大事な人事だった。誰にするかによって
  作業が滞る可能性もある。総理の意図をよく理解している人物で、
  行政経験にも長け、中立的にてきぱきと整理していく人物でなれば
  ならない。また、各省の事務方に対し重みを感じさせる人物でなければ
  ならない。(p239)


▼引用は、この本からです。

小泉官邸秘録
小泉官邸秘録
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飯島 勲
日本経済新聞社 (2006/12)
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おすすめ度の平均: 4.0
2 本当の秘録かと思ったが
2 まずいことは墓場までもっていくんだよね、多分
1 小泉政治を意味づける巧妙な仕掛けとしての一冊

【私の評価】★★★★★(94点)


■著者紹介・・・飯島 勲(いいじま いさお)

 1945年生まれ。小泉純一郎の初当選から議員秘書。
 小泉の内閣総理大臣在任中は、内閣総理大臣秘書官。

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■関連書評■
a. 「構造改革の真実」竹中 平蔵、日本経済新聞社
【私の評価】★★★☆☆

b. 「国家の罠」佐藤 優、新潮社
【私の評価】★★★★★


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