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「自殺という病―毎年3万人の自殺者を減らすために、あなたができること」佐々木 信幸

2008/01/18公開 更新
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自殺という病―毎年3万人の自殺者を減らすために、あなたができること


【私の評価】★★★☆☆(74点)


要約と感想レビュー

 先日、東京に出張しましたが、乗った電車が「人身事故のため停車」しました。また自殺か・・・首都圏では人口が多いだけに、電車への飛び込みも多いようです。日本では毎年三万人が自殺していますが、先進国の中では非常に高い自殺率になっています。(自殺率の上位はリトアニア、ロシア、ベラルーシ、ウクライナ・・・ 旧ソ連の国々が高いですね)


 どうして自殺するのかと普通の人は考えますが、精神科医から言わせると、自殺は( 病気 )だというのです。正常な判断をくだせない精神状態があり、「認知障害」といえる状態となることがあるのです。自殺は病気であるとすれば、だれでもちょっとしたきっかけで自殺を考えてしまう可能性があるということです。


・自殺を考えている人の脳では、特にセロトニンという伝達物質が少なくなっていることがわかっています。脳内のエネルギー不足のような状態で・・・「認知障害」の状態で出した「自分は死ぬべきである」という結論は、果たしてその人が自分の意志で死を決断したことになるのでしょうか?(p33)


 では、どうしたときに、自殺の可能性が高まるかといえば、人生の目的を喪失したときが危ないようです。つまり生きる意味を失ったときに、人は思い切り落ち込むのです。例えば、子育てが終わると、楽になる一方でやりがいがなくなってしまう。定年退職すると、労役はなくなりますが、自分が社会に存在している意味がわからなくなってしまうことがあるのです。


・女性は40代、男性は50代、60代で、心理的な危機をむかえやすいといわれます。・・「人生の目的の喪失」です。女性の場合は、人生の目標を子育てにおき・・・男性の場合は・・・「仕事」(p72)


 こうした人に対して、どう対応すれば良いのかとといえば、ただ、聞くだけ。ただ、( 傾聴 )することが大切だそうです。自殺を考える人と会話をするとすれば、医者であっても、ただ聞くだけなのです。傾聴すればいいのです。


 自殺については、日本人が真剣に考えるべきテーマだと思います。自殺についての基礎知識を学ぶには最適な一冊だと思いましたので、★3つとしました。


この本で私が共感した名言

・アメリカの自殺者は日本の自殺者とほぼ同じです。ただしアメリカの人口は約二億八千万人です。日本は約一億二千万人ですから・・・アメリカの2.4倍も自殺率が高いのです。イギリスに比べると3.2倍です。(p30)


・キリスト教もイスラム教もユダヤ教も仏教も、その他ほとんどの宗教は、すべて自殺を禁止していて、世界中のほとんどの人達は「自殺はしてはいけないものだ」という共通認識を持っています。(p47)


・病苦は自殺動機のトップクラス・・・自殺者の約90パーセントは、何らかの精神疾患にかかっている(p60)


・自殺念慮を持っている人にとっては、お酒はさらに危険な凶器となります。それは、酩酊状態、つまり酔っ払った状態で自殺行動を起こす人が非常に多いからです(p89)


▼引用は、この本からです。


【私の評価】★★★☆☆(74点)


目次

第1章 身近に潜む「自殺」という病の怖さ
第2章 自殺の原因について学ぶ
第3章 自殺者の心理を理解しよう
第4章 自殺予兆の発見と対処
第5章 精神科ではどんな治療を受けるのか?



著者経歴

 佐々木 信幸(ささき のぶゆき)・・・1965年生まれ。精神科医。2004年より、うつ病・自殺研究で有名なイリノイ大学シカゴ校精神科に勤務する。メルマガ「シカゴ発 映画の精神医学」「ビジネス心理学」発行。


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