■白洲次郎といえば、戦後処理において吉田茂の片腕として、
日本国憲法成立などに関係し、
さらには通商産業省を誕生させ、
東北電力会長を務めた大物です。
その生い立ちは変わっていて、大金持ちの子息であり、
イギリスのケンブリッジ大学へ留学。
■この本は、白洲次郎が雑誌などに発表した文書をまとめたものですが、
その内容は( 日本人への警告 )となっています。
■まず、本人も率直に話す人だったようですが、
イエスマンがとにかく嫌いだったようです。
イエスマンは事実を話さずに、
相手に都合の良い話ばかりするために、
現実を歪めてしまうという怖さがあります。
・終戦直後、私が終戦連絡[中央]事務所に居た時分の印象の一つで、
いまも頭に残っていることがある。それは一番平気で米軍側に
立ち向かったのは、昔の内務省出身の役人が多かったこと。(p65)
■また、良いことであれば外国に学ぶ、
問題があれば議論するといった、
論理的で素直な考え方を推奨しています。
・当時日本で外国のことを誉めると評判が悪かったので
みんな異口同音に、日本が一番、外国に学ぶ処は皆無と言った
ではないか。こういう種類の狭い国粋論と一人よがりの馬鹿さ加減が
戦争開始に貢献(?)したことは多大であったとも言える。(p98)
■最後に、国際感覚を学ぶ教育の必要性を強調しています。
当時、北欧の国際感覚を激賞しているところは、
これこそ白洲次郎の国際感覚の良いことを
証明していると思いました。
・将来の日本が生きて行くに大切なことは、・・・日本の国の
行き方ということを、国際的に非常に鋭敏になって考えて行くことだ。
・・・この国際感覚という問題だが、日本は北欧の人みたいに、
地理的の条件に恵まれてないから、これを養成するには
やはり勉強するよりほかにしょうがない。(p30)
■白洲次郎の言葉は、戦前・戦後を反省する形となっていますが、
現在の日本でもそのまま当てはまる警告が含まれているように
感じました。
率直に話したほうが、関係は長続きするという警句は
身にしみました。★4に限りなく近い★3つとします。
─────────────────
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・当時満州にいた日本の高官連は、日本語を上手に話し日本人に
接近することに努力していた満州人連に話を聞いて、その連中の
言うことを以って満州大衆の意見とした。結果は全然違っていた。
・・・個人関係に於いても、国際関係に於いても永続きする友情は
双方が腹を打ち開けて話すことである。(p56)
・政府が悪い、与党がなってない、反対党が無茶だと批判しはじめれば
きりがないが、私はまずマスコミの反省を望みたい新聞などの
一番大切な使命は真相の報道である。・・・たとえば政府与党が
過半数を制している議会においては、政府与党の提出する法案が
成立することは当たり前であるということを認めないのか。(p245)
・日本人は盛んに、現実を凝視せよ、なんて言うけどね、事実を
事実と認めて黙って見ているんじゃいけないんだ。議論したければ
議論すればいいんだ。ところが、痛烈なことを言うと恨むんだね。
人の前で恥をかかしたって、面子々々・・・(p274)
▼引用は、この本からです。
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一本筋な生き方
ダンディズムとはこの人のためにある言葉【私の評価】★★★☆☆(79点)
■著者紹介・・・白洲 次郎(しらす じろう)
1902年生まれ。兵庫県芦屋の実業家の次男として生まれる。
イギリス・ケンブリッジ大学に留学。帰国後は、英字新聞記者、
商社などに勤務するが、敗戦を見越して町田市で百姓となる。
吉田茂に請われて終戦連絡中央事務局参与となり、日本国憲法
成立に関与。通商産業省を誕生させる。東北電力会長などを
勤め、1985年逝去。
■関連書評■
a. 「ボロボロになった覇権国家」北野 幸伯、風雲舎
【私の評価】★★★★★
b. 「中国の「核」が世界を制す」伊藤 貫、PHP研究所
【私の評価】★★★★★
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