「あなたのTシャツはどこから来たのか?」

あなたのTシャツはどこから来たのか?―誰も書かなかったグローバリゼーションの真実
ピエトラ リボリ Pietra Rivoli 雨宮 寛 今井 章子
東洋経済新報社 (2006/12)
売り上げランキング: 3409
おすすめ度の平均: 5.0
5 先進国発展の歴史を知る一冊
5 切り口がすばらしい!
4 自由貿易と雇用維持
【私の評価】★★★☆☆77点


■著者紹介・・・ペトラ・リボリ

 米国ジョージタウン大学マクドナウ・ビジネススクール教授。
 国際ビジネスにおけるビジネス倫理や社会公正問題が専門。


─────────────────

●6年ほど前、スイスのジュネーブに滞在しているとき、
 WTOに反対する学生がデモをしていました。

 グローバル化、自由貿易に反対していたようですが
 なぜ反対するのか?当時はわかりませんでした。

 この本では、その疑問に答える形で、
 アメリカで25セントで販売されるTシャツの
 製造の過程をたどっていきます。


 ・ウォルマートは、まず仕入れ値を圧縮して国内の供給元を倒産に
  追い込み、中国へ向かう。その中国でも原価を押さえ込むため、
  中国のサプライヤーは自らの仕入先原価や搾取工場の賃金をさらに
  引き下げることになる。この圧縮の連鎖によって、われわれは
  Tシャツを25セント足らずで買うことができる。(p219)


●まず、綿の原料となる綿花は、なんとアメリカで作られています。
 米国は、綿の生産高、輸出高など世界一を続けてきました。

 そのアメリカの綿産業の強さは、徹底した機械化による省力化、
 優れた生産方法と生産技術によるものもありますが、
 国の膨大な補助金も影響しています。


 ・米国政府が支出している綿関連の補助金総額(2000年は約40億ドル)は、
  世界最貧の綿産国数ヶ国の国民総生産(GNP)を上回るばかりか、
  米国国際開発庁(USAID)のアフリカ関連予算よりも多い。(p73)


●そして、綿は中国に移動し、糸に紡がれ、布となり、裁断され
 Tシャツとなります。

 たしかに中国では農村から出稼ぎにでてきた女性たちが、
 低賃金で働いています。

 しかし、歴史的に見れば、日本もそうだったように、
 発展途上国においては、低賃金で仕事を請け負い、
 国として発展の基礎を作っているのは事実なのでしょう。


 ・先進国の生産者も途上国の生産者もともに、自由市場からの保護、
  特に中国の脅威からの保護を求めている。しかも中国の脅威とは、
  産業保護政策(国営企業、戸籍制度、補助金、通貨管理制度)
  によるものであることから、市場の脅威ではなく政治の脅威なので
  ある。(p318)


●中国で製造されたTシャツは、アメリカに戻ろうとしますが、
 そこでは輸入規制という壁があります。

 輸入品の数量制限、関税など政治により決められた規制で
 輸入量は決まっています。

 これらは、輸入制限を求める製造団体と、
 輸入の自由を求める小売業界との戦いのように見えました。


●こうしてTシャツの流れを見てくると、
 そこには自由貿易というようよりは、
 政治による規制の世界が見えてきます。

 つまり、いかに他国と貿易するかというのは、
 政治で決まるものであり、
 国民間の利害調整の結果ということです。


●この本を読んで、国際貿易の実体が少しだけ見えてきました。
 貿易についての実体を学ぶための良書として★3つとします。


─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・彼ら(学生)にとっては、企業も、グローバル化も、国際通貨基金(IMF)
  も世界貿易機関(WTO)も、すべて労働者の尊厳と生活を
  容赦なく踏みにじる悪者なのであった。(p6)


 ・いつの時代にも市場と貿易によって若い女性たちが搾取工場に
  縛り付けられたが、彼女たちはむしろ自由になったということ、
  そして、農民は農村にいることこそ一番と決めつける前に、
  もう一度よく考えた方がいいと。(p322)


 ・インドのアンドラ・プラデシュ州では、作物を害虫に食い尽くされた
  綿生産者500人以上が自殺をした。害虫が綿を食い荒らす音は
  農民の耳にも届き、その不気味な音で村民は一睡もできなかったという。
  (p81)


▼引用は、この本からです。
あなたのTシャツはどこから来たのか?」ペトラ・リボリ、東洋経済新報社
(2006/12)¥2,100
【私の評価】★★★☆☆77点


■関連書評■
a. 「冒険投資家 ジム・ロジャーズ世界大発見
【私の評価】★★★★★

b. 「万国「家計簿」博覧会」根岸康雄
【私の評価】★★★★☆

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