●北朝鮮が、拉致をしていたこと、百ドル紙幣を偽造していること、
核兵器を持っていること、ミサイル技術・巡航ミサイルを開発して
いることは、外交上の常識のようです。
本書はフィクション・サスペンス小説仕立てですが、
こうした外交の常識を織り込んで、どんどん読ませてくれます。
・「北の独裁国家は、これほど精巧な紙幣を作り上げ、その資金を
いったい何に使おうとしているのでしょうか」・・・
「核弾頭を運ぶ長距離ミサイル。そう、人類を破滅に導きかねない
大量破壊兵器を手にする資金に充てようとしている-私は
そう確信しています。(p100)
●精密な偽百ドル札が発見されたことを発端に、
その製造者を特定するため、各国の諜報機関が動き出します。
そして、巡航ミサイルを東欧から入手しようとする
北朝鮮と、それを阻止しようとする西側各国の諜報機関。
●本書が発行されたのが18年3月、北朝鮮ミサイル発射が18年7月、
北朝鮮が核実験を実施したのが18年10月ということを考えれば、
本書がいかに正確に状況を把握して書かれているか
ということが分かります。
・北朝鮮に精巧を極めた偽札を刷らせて、核弾頭を搭載できる
巡航ミサイルを持たせる。それによって日本への抑止力とする-
こうしたシナリオの背後には中国の意志があったというのですか
(p314)
●サスペンス小説としては力不足ですが、
ノンフィクションとして外交・諜報の世界を見ることができました。
国民には知らされない事実が、
外交にはあることを実感しながら、★3つとしました。
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・「これじゃ新札だ。どこにも瑕なんかありやしない」・・・
北回りルートで初めて姿を見せた「百ドル紙幣」は、
その巧緻を極めた出来栄えから「ウルトラ・ダラー」と
呼び慣わされるようになる。(p39)
・北の独裁国家は、もう三十年も前に、印刷熟練工を何人も
日本から拉致していた。・・・敵国の紙幣を偽造させるために
拉致したんだ。(p115)
・アメリカは、もう三十年も前に金との交換を停止してしまっている。
こうしてドルと銘打った紙切れが増産されている現場にいると、
アメリカこそ壮大な紙幣乱造国家だという気がしてくるな(p110)
▼引用は、この本からです。
新潮社
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興味深いけど面白味は...
ジャーナリストが外交問題にふみこんだ小説
何が書きたいのか
盛り上がりや危機感がない
知的な駆け引きが楽しめる【私の評価】★★★☆☆79点
■著者紹介・・・手嶋 龍一(てしま りゅういち)
1949年生まれ。NHK政治部記者として外交・安全保障を担当。
その後、ワシントン特派員、ハーバード大学国際問題研究所フェロー、
ボン支局長、ワシントン市局長。
2005年独立して外交ジャーナリスト・作家となる。
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