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北朝鮮の「ウルトラ・ダラー」手嶋 龍一

2007/03/09公開 更新
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ウルトラ・ダラー (新潮文庫)


【私の評価】★★★☆☆(79点)


要約と感想レビュー

北朝鮮が百ドル紙幣を偽造

北朝鮮が日本人を拉致をしていたこと、百ドル紙幣を偽造していること、核兵器を持っていること、ミサイル技術・巡航ミサイルを開発していることは、外交上の常識のようです。タイトルの「ウルトラ・ダラー」とは、北朝鮮ルートで発見された「百ドル紙幣」であり、その現物と変わらない出来栄えからウルトラと呼ばれているのです。


本書はフィクション・サスペンス小説仕立てですが、こうした外交の常識を織り込んで、どんどん読ませてくれます。精密な偽百ドル札が発見されたことを発端に、その製造者を特定するため、各国の諜報機関が動き出します。そして、巡航ミサイルを東欧から入手しようとする北朝鮮と、それを阻止しようとする西側各国の諜報機関が交錯するのです。


・「北の独裁国家は、これほど精巧な紙幣を作り上げ、その資金をいったい何に使おうとしているのでしょうか」・・・「核弾頭を運ぶ長距離ミサイル。そう、人類を破滅に導きかねない大量破壊兵器を手にする資金に充てようとしている-私はそう確信しています。(p100)


北朝鮮の弾道ミサイルの開発の裏には中国の意志がある

本書が発行されたのが2006年3月、北朝鮮ミサイル発射が2006年7月、北朝鮮が核実験を実施したのが2006年10月ということを考えれば、本書がいかに正確に状況を把握して書かれているかということが分かります。こうした北朝鮮の偽札作りや、核弾頭と弾道ミサイルの開発の裏には、日本やアメリカへの抑止として活用しようという中国の意志があったと著者は推測しています。


サスペンス小説としては力不足ですが、ノンフィクションとして外交・諜報の世界を見ることができました。国民には知らされない事実が、外交にはあることを実感しながら、★3つとしました。


この本で私が共感した名言

・北の独裁国家は、もう三十年も前に、印刷熟練工を何人も日本から拉致していた。・・・敵国の紙幣を偽造させるために拉致したんだ。(p115)


・アメリカは、もう三十年も前に金との交換を停止してしまっている。こうしてドルと銘打った紙切れが増産されている現場にいると、アメリカこそ壮大な紙幣乱造国家だという気がしてくるな(p110)


▼引用は、この本からです。
ウルトラ・ダラー (新潮文庫)
手嶋 龍一
新潮社
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【私の評価】★★★☆☆(79点)


目次

第一章 事件の点景
第二章 テロルの通過
第三章 偽札洗浄機
第四章 仄暗き運河
第五章 暗中に明有り
14年目の著者ノート



著者経歴

手嶋 龍一(てしま りゅういち)・・・1949(昭和24)年、北海道生れ。外交ジャーナリスト・作家。冷戦の終焉にNHKワシントン特派員として立会い、FSX・次期支援戦闘機の開発をめぐる日米の暗闘を描いた『たそがれゆく日米同盟』を発表。続いて湾岸戦争に遭遇して迷走するニッポンの素顔を活写した『外交敗戦』を著し、注目を集める。2001(平成13)年の同時多発テロ事件ではワシントン支局長として11日間にわたる昼夜連続の中継放送を担った


北朝鮮関係書籍

「メディアは死んでいた-検証 北朝鮮拉致報道」阿部雅美
「ウルトラ・ダラー」手嶋 龍一
「見えない戦争 インビジブルウォー」田中 均
「外交敗北―日朝首脳会談の真実」重村 智計


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