●私は中国で暮らしたことがないので、
この本を評価する立場にないのかもしれませんが、
この本に書かれた中国は、私の関係したカザフスタンに
よく似ているという印象を持ちました。
●まず、人脈を大切にするというところ。
カザフスタンでは親族が権力のある地位にあると、
仕事が非常に進みやすいようです。
中国も同じようですが、逆に言うと、人脈がないと
なかなか仕事が進まないということになります。
・人間関係の深さに応じて、相手はこちらの要求をきいてくれる
ようになっていく。深い人間関係には大きな要求。浅い人間関係には
小さな要求。人間関係がなければ、要求は少しも通らない。(p74)
●そして、会計の知識が乏しいというところ。
カザフスタンも中国も元は共産国家ですから、複式簿記の考え方は
希薄なはずです。
たとえば、減価償却という概念はありませんから、
古い設備は、古いまま。
カザフスタンでは、新しい設備に更新する資金を内部留保するような考え方を
している人はかなり少ないという印象でした。(中国ではどうなのでしょう?)
・いまの中国には、経済援助よりも経済学援助が必要なのである。・・・
中国にとって大切な経済学の道具の一つが複式簿記と言える。(p345)
●最後に、契約は守られない傾向があります。
カザフスタンでは、契約書を読まずに、
自信満々に交渉する人が多かったように記憶しています。
中国でも、契約は簡単に変更可能だと考えているようですね。
・中国では、契約は交渉の始まりである。「これから一緒に仕事をしましょう。
そのための交渉を本気になってやりましょう」。そのための意思表示なのである。
・・・中国人は「契約が結ばれた直後ですら変更が可能だと思っている」
という資本主義の住人にとっては驚倒すべき命題も、まかりとおる。(p352)
●日本の常識は世界の非常識ということもありますので、
海外で仕事をする場合には、
その土地の文化を学んでおきたいものです。
中国に関係する仕事をされている方にお勧めします。
★3つとしました。
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・こんなとき、アメリカならどうする
科学者を集めて学問的に研究する。
第二次世界大戦のとき、アメリカは戦争に勝つために、
あらゆる分野の学者を集めて研究させた。
このとき日本はどうしていた。(p4)
・これらの本から、「中国人とのつきあい方」や「中国的交際術」に
ついての情報を得るのはよい。・・・とくに大切なことは、中国人と
つきあう場合のタブーを知ることである。しかし、・・・「こうすれば
必ず中国人の信頼が得られる」という確実な方法がない(p135)
・アメリカでは政府と企業の争いは裁判所が決定する。日本では、
そういった争いは殆ど裁判所には持ち込まれない。行政指導なんて
法術の発想なのだ。しかし、その本家は中国だ。だから、
中国に進出した日本企業はどんどんやられてしまう。(p209)
・法は王(政治権力)のためにある。したがって役人(権力者)は、
これをどう解釈してもよろしい。この考え方が根底にある。だから、
表面上は欧米資本主義の法律のように見えたとしても、中国の法律は、
役人の勝手な解釈を許す。(p248)
▼引用は、この本からです。
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世界は日本ほど甘くはない!
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該博な知識、読みやすい内容【私の評価】★★★☆☆78点
■著者紹介・・・小室 直樹
1932年生まれ。大学卒業後、フルブライト留学生となり渡米。
マサチューセッツ工科大学、ミシガン大学、ハーバード大学で、
経済学、心理学、社会学、統計学を学ぶ。その後、東京大学
大学院法学政治学研究科修了、法学博士。
社会、政治、経済について評論家として活躍。著書多数。
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