「小室直樹の中国原論」小室 直樹

小室直樹の中国原論
【私の評価】★★★☆☆78点


●私は中国で暮らしたことがないので、
 この本を評価する立場にないのかもしれませんが、

 この本に書かれた中国は、私の関係したカザフスタンに
 よく似ているという印象を持ちました。


●まず、人脈を大切にするというところ。

 カザフスタンでは親族が権力のある地位にあると、
 仕事が非常に進みやすいようです。

 中国も同じようですが、逆に言うと、人脈がないと
 なかなか仕事が進まないということになります。

 
 ・人間関係の深さに応じて、相手はこちらの要求をきいてくれる
  ようになっていく。深い人間関係には大きな要求。浅い人間関係には
  小さな要求。人間関係がなければ、要求は少しも通らない。(p74)


●そして、会計の知識が乏しいというところ。

 カザフスタンも中国も元は共産国家ですから、複式簿記の考え方は
 希薄なはずです。

 たとえば、減価償却という概念はありませんから、
 古い設備は、古いまま。

 カザフスタンでは、新しい設備に更新する資金を内部留保するような考え方を
 している人はかなり少ないという印象でした。(中国ではどうなのでしょう?)


 ・いまの中国には、経済援助よりも経済学援助が必要なのである。・・・
  中国にとって大切な経済学の道具の一つが複式簿記と言える。(p345)


●最後に、契約は守られない傾向があります。

 カザフスタンでは、契約書を読まずに、
 自信満々に交渉する人が多かったように記憶しています。

 中国でも、契約は簡単に変更可能だと考えているようですね。


 ・中国では、契約は交渉の始まりである。「これから一緒に仕事をしましょう。
  そのための交渉を本気になってやりましょう」。そのための意思表示なのである。
  ・・・中国人は「契約が結ばれた直後ですら変更が可能だと思っている」
  という資本主義の住人にとっては驚倒すべき命題も、まかりとおる。(p352)


●日本の常識は世界の非常識ということもありますので、
 海外で仕事をする場合には、
 その土地の文化を学んでおきたいものです。

 中国に関係する仕事をされている方にお勧めします。
 ★3つとしました。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・こんなとき、アメリカならどうする
  科学者を集めて学問的に研究する。
  第二次世界大戦のとき、アメリカは戦争に勝つために、
  あらゆる分野の学者を集めて研究させた。
  このとき日本はどうしていた。(p4)


 ・これらの本から、「中国人とのつきあい方」や「中国的交際術」に
  ついての情報を得るのはよい。・・・とくに大切なことは、中国人と
  つきあう場合のタブーを知ることである。しかし、・・・「こうすれば
  必ず中国人の信頼が得られる」という確実な方法がない(p135)


 ・アメリカでは政府と企業の争いは裁判所が決定する。日本では、
  そういった争いは殆ど裁判所には持ち込まれない。行政指導なんて
  法術の発想なのだ。しかし、その本家は中国だ。だから、
  中国に進出した日本企業はどんどんやられてしまう。(p209)


 ・法は王(政治権力)のためにある。したがって役人(権力者)は、
  これをどう解釈してもよろしい。この考え方が根底にある。だから、
  表面上は欧米資本主義の法律のように見えたとしても、中国の法律は、
  役人の勝手な解釈を許す。(p248)


▼引用は、この本からです。

小室直樹の中国原論
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【私の評価】★★★☆☆78点


■著者紹介・・・小室 直樹

 1932年生まれ。大学卒業後、フルブライト留学生となり渡米。
 マサチューセッツ工科大学、ミシガン大学、ハーバード大学で、
 経済学、心理学、社会学、統計学を学ぶ。その後、東京大学
 大学院法学政治学研究科修了、法学博士。
 社会、政治、経済について評論家として活躍。著書多数。


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