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「トヨタ式ならこう解決する!―思考から仕事を変えるケースブック」若松義人

2006/11/27公開 更新
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トヨタ式ならこう解決する!―思考から仕事を変えるケースブック

【私の評価】★★★★★(92点)


●多くの会社でトヨタ生産方式を
 取り入れようとしていますが、
 実際にやってみると、
 うまくいかない会社が多いようです。


 この本は、実際のケースを紹介しながら、
 実際の現場で起こる問題について
 答えてくれます。


・1 部下に考えることをすべて任せる「丸投げ」
 2 こまかく指示を出す「教育ママ」これが管理職の二大タブーといえる。(p15)


●よくあるケースは、リーダーや推進グループが
 生産改革を推進していくものの、
 現場に根付かないというものでしょう。


 リーダーが細かく指示を出してやらせるのではなく、
 現場の人が自分で考え、改善できるまで、
 根気よく続けていく必要があります。


・改革の推進にあたり、ある程度の権限が必要なことは否定しない。だが、権限が強ければいいかというと、それは違う。自分でやってみせ、人を説得し、理解させる。そして、実際にやってもらい、知恵を出してもらい、その結果を評価する。このプロセスこそがトヨタ式なのだ。(p34)


●「根気よく」ということは、つまり、
 改善が社内の文化になるまで、
 続けるということです。


 自らも率先して現場に入り、
 現場の人の理解を得つつ、
 自ら改善していく雰囲気造りが
 必要となるのです。


・「たとえばあなたの子供に『今日から毎日五時間勉強しなさい』と言えば、お子さんは勉強しますか」・・・『・・・大のおとなが、いくら会社の上司に『改善しろ』と言われても、そうそうできるものじゃありません。・・・率先して現場に入り、改善活動に取り組まないとダメですよ(p150)


●改善には、順番があるといいます。


 まず、成果の出やすい、
 お客様に近いところから、
 小さなモデルでやってみるということです。


・一気に変えたい、早く変えたいという気持ちはわかりますが、こういう時は、お客様に近いところから改善を始めるのが一番です。(N社トップ)(p131)


●トヨタ式とは、継続的改善が
 業務の一部に組み込まれた、
 組織文化のように感じました。


 トヨタの数十年の取り組みにより根ざした文化は、
 すぐには、真似できないでしょうが、
 すこしでも取り込んで生きたいものです。


・トヨタに在籍していた当時、現場に出ず事務所にこもって事務をしていると、よく上司から、こう言われたものだ。「現場は家に持って変えれないぞ」(p222)


●トヨタ生産方式に取り組もうとしたときに
 起こる問題が、分かりやすく
 解説されていましたので、★5つとします。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・たとえば作業改善によって作業のやり方、動き方を変えたとする。動きに慣れるまでに一週間や10日はかかる。その間、場合によっては前のやり方よりも能率が落ちることもある。これは、微調整をしながら我慢して見守るしかない。そして、変えた結果がどうだったかを検証する。(p154)


・X社・・・座学と現場実習を組み合わせて教育する。「日々損益計算」「日々収支」を出して、徹底した原価意識を植えつける。目的は、従来の「管理監督者」でなく、「ライン経営者」としての自覚を持たせることだった。(p37)


・「多忙だ」「人手が足りない」と、みずからライン入りする。・・・これではライン長ではなく、ほかの作業者と変わらない・・・求められるのは、「どうすれば自分がラインに入らなくていいか」「どうすれば入る時間を短くすることができるか」を考え、改善することだ。(p39)


・北海道旭川の旭川動物園の改革も、スタートのきっかけは、飼育係が知恵を出し合って描いた11枚のイラストだったという。そこに描かれた「こんな動物園を作ってみたい」という思いが形になるにつれ、旭川動物園はたくさんの人を呼ぶことができるようになったという。(p97)


・トヨタ式では、「前工程は神様、後工程はお客様」という。・・・工場で働くすべての人が「後工程に対して何ができるか、どんなサービスが提供できるか」を考えながら仕事をすることである。(p107)


・あるラインの改善を終え、大野氏に報告に行くと、大野氏は現場に見に来て、いきなりMさんに「そこに円を描け」と命じた。・・・「その中に立って、ラインを見ていろ」と言う。・・・「改善をやったというが、よく見てみろ。お前がやった改善のせいで、みんながあんなにやりにくそうにしている。わかったなら、すぐに直せ」(p110)


・「規則が間違っている。間違った規則は変えなくてはならない」これは豊田英二氏の言葉だ。何ごとも「規則だから」「決まったことだから」と鵜呑みにするようでは、進歩もなければ問題解決もない。(p168)


・「景気のいい時に合理化を」がトヨタ式の原則だ。景気が悪くなり、モノが売れなくなってからやる合理化には限界があり、どこかに無理がくる。とはいえ、景気のいい時の合理化には、変化を好まない人たちの抵抗があり、実行には苦労が伴う。(p196)


▼引用は、この本からです。

【私の評価】★★★★★(92点)



■著者経歴・・・若松 義人

 1937年生まれ。 トヨタ自動車工業に入社後、生産、原価、購買の各部門で大野耐一氏のもと「トヨタ生産方式」の実践、改善、普及に努める。現在、カルマン株式会社代表取締役社長。


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