「日本を想い、イラクを翔けた」松瀬 学、新潮社(2005/11)¥1,575

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【私の評価】★★★☆☆


■著者紹介・・・松瀬 学

 1960年生まれ。共同通信社入社。
 2002年退社後、ノンフィクションライター。


●2003年、英国参事官である奥克彦は、イラクにいました。

 3月にアメリカは国連を無視してイラク進攻を開始。
 日本は、このイラク進攻を支持することになります。

 そして、イラク復興支援の現場で先頭に立ったのが、
 奥克彦です。
 そして、イラク大使館の井ノ上正盛書記官が奥克彦を
 サポートします。


●5月にはアメリカの戦闘終結宣言が出され、
 奥克彦と井ノ上正盛は、アメリカの占領政策を行う
 復興人道支援局(ORHA)と行動を共にします。
 
 日本は、どのような復興支援をすればよいのか?
 奥克彦は、イラク国内を情報収集のために奔走します。


 ・おそらく奥は戦後の半年間、一番イラクを走った
  外国人じゃないかと思います。(p183)


●在イラク大使館がまとめたイラク支援は次のようなものがあります。

 ・ダウン症障害児センター支援
 ・緊急医療物資支援計画
 ・イラク初等教育再生計画(学校に帰ろうキャンペーン)
 ・学校整備計画
 ・下水処理施設建設計画
 ・上水施設整備計画
 ・『おしん』の放映


●しかし、夏になると自爆テロ、国連爆破テロなどが起り、
 治安は悪化。在イラク大使館は職員を退避させました

 それでも、在イラク臨時代理大使の上村司、奥克彦、井ノ上正盛は、
 イラク国内での活動を続けていたのです。


●代理大使の上村司は、疲れていました。
 そして、奥克彦、井ノ上正盛も疲れていたのです。

 しかし、外務省には、要員を増員して、
 交代で業務を執行しようという組織的なサポートをするという
 動きはありませんでした。

 ・欧米の国でCPA(イラクの連合暫定施政当局)に派遣されている
  スタッフはみな長くても半年で交代している。でも奥克彦は・・・。
  だれの責任でもないけど、奥も井ノ上も僕も疲れていたんです(p222)


●2003年11月29日、奥克彦、井ノ上正盛は
 イラク国内を移動中に銃撃され、帰らぬ人となりました。


・・・・・・・


●奥克彦さんは、非常に有能な人であったようです。
 しかし、その有能さがゆえに、
 外務省はその人の有能さにすべてを任せていたのではないでしょうか。

 日本には有能な人材がいる。
 しかし、それをサポートする組織はない。

 日本の組織的な無能さを理解するのに大切な一冊であると
 感じました。★3つとします。



■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・アフガン戦争の緊急医療援助にいったとき、日本の在外公館は
  冷たかった欧米だと、政府機関だろうが、民間団体だろうが、
  個人のボランティアだろうが、その国の人々をサポートする。
  激励するでも日本はゼロだった(p147)


 ・奥克彦は、現地(コソボ)にいた外務省の同僚に言った。
  「おれたちは、こういう仕事をしたくて外務省に入ったんだ」
  (p154)


 ・戦争の話はほとんどしなかった。ただ、「近代戦争がいかに
  悲惨なものか」をこぼした。・・・「つまり敵を見て戦争している
  わけじゃないと。いきなり、知らないところからミサイルが飛んで
  くるわけです。誤射もある。庶民や子供たちが死ぬ。(p195)

▼引用は、この本からです。
日本を想い、イラクを翔けた」松瀬 学、新潮社(2005/11)¥1,575
【私の評価】★★★☆☆
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