「食品の裏側」安倍 司、東洋経済新報社

食品の裏側―みんな大好きな食品添加物
安部 司
東洋経済新報社 (2005/10)
おすすめ度の平均: 5
5 食品の裏側
5 大切な人に教えてあげたい
5 怖い話の先に
【私の評価】★★★★★(93点)


■著者紹介・・・安倍 司

 1951年生まれ。添加物商社に勤務し、食品添加物の神様と呼ばれる。
 しかし、添加物の大量使用に疑問を持ち、退職。
 現在は、自然海塩「最進の塩」研究技術部長。


●安倍 司さんは大学を卒業し、食品添加物の商社に入社します。
 そこで販売する食品添加物は、魔法の粉でした。

 土色のタラコが添加物の液に一晩漬けるだけで、肌色のタラコになる。
 シワシワ干し大根が、一晩で黄色のポリポリたくあんになるのです。

 ・私はよく「添加物は職人要らず」と言いますが、添加物を使えば、
  技術がなくても簡単に一定のレベルのものがつくれてしまうのです。
  (p28)


●安倍 司さんは、日本一の添加物屋になろうと決意します。

 そして、現場を知るために朝4時に起きてかまぼこ工場でお手伝い、
 麺の製造工場、ハム製造工場に日参しました。

 そのようにして工場社長の信頼を得ながら、添加物をどんどん売り、
 「だしの素」を開発して大ヒットさせるなど、
 食品添加物の神様と呼ばれるまでになります。


●そして、安倍さんの長女の誕生日がやってきました。
 長女のためにご馳走がテーブルに準備されています。

 その中から一つのミートボールを口にした瞬間、
 安倍さんは凍りつきました。これは食べてはいけない!

 「とにかくこれは食べちゃダメ、食べたらいかん!」(p41)


●それは、自分が開発したミートボールだったのです。

 現在はペットフードに使用されている端肉に、廃鶏のミンチ肉を加え、
 ビーフエキス、化学調味料、着色料、保存料、PH調整剤などを
 大量投入して作ったものでした。

 廃棄されるようなクズ肉と添加物の合成物でしかなかったのです。

 ・ある工場の工場長Aさんは、いつも「俺のところの特売用ハムはだめ。
  とても食べられたものじゃない」と言っていました。
  漬物工場の経営者Bさんもよく「『価格破壊』の商品とはいえ、
  うちの漬物は買うなよ」と言っていました。・・・レンコン会社の
  社長Cさんも、「あのレンコンは自分では食べない」と言っていました。
  (p41)


●その日の夜、安倍さんは眠れませんでした。

 日本一の添加剤屋となろうと頑張ってきたのに、
 自分の開発した商品を、自分の子どもに食べさせたくないとは・・・。
 どこかに矛盾がある。

 次の日、安倍さんは会社を辞めました。


●食品添加物のプロから見ると、
 食品添加物をすべてなくすることは現実的ではないようです。

 添加物には、それなりのメリットがあり、
 今求められているのは、添加物の節度のある使い方のようです。

 ・私たちは「食品添加物のメリット」という「光」の部分も
  忘れてはいけないと思うのです。・・・いつでもどこでも食べたい
  ものが手に入るという「便利さ」が享受できるようになったのは、
  加工食品の発達があったからこそ。(p185)


●巷では、「健康」ブームに乗じて
 合成着色料無添加、手づくりなどとPRしている商品も多いようです。

 そうした商品を見分けるには、商品のウラに記載されている
 原材料名を見ることが必要です。

 ・20種類のうち、「合成着色料」を2~3種類だけはずして、
  ほかの添加物はそのまま。それで「合成着色料を使っていません」と
  高らかに謳っている。こんな消費者を誤解させるような話があって
  いいのでしょうか。(p62)


●添加物ゼロは現実的ではないものの、
 手づくりをPRするならば、可能な限り添加剤は使わない
 工夫をするべきなのでしょう。

 ・私は怒りを禁じえませんでした。目の前のおばちゃんにではなく、
  この添加物を大量に使用した「おばあちゃんの手づくり漬物」を
  平然と販売している農協の姿勢に対してです。(p76)


●一時は食品添加物の神様と呼ばれながら、
 自分の仕事が人間として誇れるものでないと気づいたとき、
 会社をスパッとやめた著者に一流の人間を感じました。

 食品が工業化されている現在、食品の現実を直視させてくれる一冊です。
 ★5つとしました。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・1000円のしょうゆが存在する一方で、198円のしょうゆが
  特売で売り出されるのはなぜか。5倍もの価格差が存在する理由は
  何か。その理由は・・・ちゃんと「裏」に書いてあります。(p102)


 ・「スナック菓子は食べてはいけませんよ」とよく言います。
  しかしそう言いながらも、味噌汁や鍋に使うだしの素や○○の素で、
  味のベースを教えてしまっているのです。・・・お母さん自身は
  気づいていないかもしれませんが、言っていることとやっていること
  が全然違うのです。(p168)


 ・「教えてもいいですよ」私は訪ねてくる業者に、こう答えるようにしています。
  「でもそれと引き換えに、魂を売ることになるのですよ。職人としての魂、
  食をつくる人間としての魂(p225)


▼引用は、この本からです。
「食品の裏側」安倍 司、東洋経済新報社(2005/10)¥1,470
【私の評価】★★★★★(93点)


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