「幕末の三舟」松本 健一、講談社(1996/10)

幕末の三舟―海舟・鉄舟・泥舟の生きかた
松本 健一
講談社 (1996/10)
売り上げランキング: 194,540

(私の評価:★★☆☆☆:時間とお金に余裕があればぜひ)


●著者紹介・・・松本 健一

 1946年生まれ。大学卒業後、評論家。日本思想史専攻。
 京都精華大学教授をへて、霊澤大学教授。著書多数。

●「幕末の三舟」といえば、
 海舟・勝麟太郎
 山岡鉄舟
 高橋泥舟(謙三郎、精一)です。


●勝海舟は、幕府陸軍総裁として、西郷隆盛が率いる東征軍と交渉し、
 江戸無血開城を実現した人。
 山岡鉄舟は、勝海舟が西郷隆盛と交渉のために送った手紙を届けた人。
 そのとき、高橋泥舟は、最後の将軍慶喜の護衛役でした。

 ・明治末年から昭和初年にかけて定まった三舟観は、・・・
  この三人が協力して、江戸を戦火から救い、内戦を回避して、
  外国(英仏)の介入をふせぎ、日本の独立を守った、
  というものであった。(p17)


●同じ舟という名を持ち、幕末で大きな役割を持った三人ですが、
 それぞれ個性を持っているのが興味深いところです。


●まず、勝海舟は、合理の人。
 現実を直視し、現実的な対応を考える人です。
 政策については天才と言えるでしょう。

 ・外交とか政治とかは、「万国公報」というような表面の「正理」
  がなければならないが、「正理」だけではダメだ。それを裏から
  支える「強さ」つまり力がなければ、「正理」など行われない。
  実行できない説というのは「空論」とならざるをえない(勝海舟)
  (p44)


●そして山岡鉄舟は、誠実の人。
 明治以後は明治天皇の侍従として忠義を尽くしたように、
 政治というより、自らの役割に徹する人です。


●最後に、高橋泥舟は、明治以後、表に出ず、
 人知れず隠匿の生活を送りました。

 ・(泥舟は)人間は最後はみんな髑髏(どくろ)になってしまうと
  考えれば、生きているときの栄華とか美貌などにとらわれるのは嫌だ。
  そんなものにとらわれる人間というものは愚かなものだといって、
  最後は髑髏の絵ばかり描いていたのだ(p148)


●三舟の人となりを読みながら、
 日本人というものを考えることができる良書ということで★2つとしました。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・海舟は、忠義、忠義といっている人が国を滅ぼすのだ、
  と評しているが、じつは鉄舟も同じようなことを
  言っているのだ。(p139)


 ・江戸時代の処罰の仕方は、延々と牢に入れておくことによって
  病死させてしまうというやり方であった。(p106)

「幕末の三舟」松本 健一、講談社(1996/10)¥1,575
(私の評価:★★☆☆☆:時間とお金に余裕があればぜひ)


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このページは、本のソムリエが2006年3月14日 07:51に書いたブログ記事です。

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