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「相場師一代」是川 銀蔵

2005/12/21公開 更新
本のソムリエ
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相場師一代 (小学館文庫)

【私の評価】★★★★☆(85点)


●波乱万丈という言葉がありますが、
 この人のためにあるのではないかと思いました。


●十六歳で中国へ渡り、日本軍の御用商人となるが、
 贈賄容疑で逮捕される。


 十八歳で銅インゴットの輸出で大儲けするが、破産する。
 二十一歳で亜鉛メッキ工場を経営するも、結核となる。


 関東大震災でトタン板を買占め大儲けするが、
 大恐慌で会社が倒産。
 第二次世界大戦を予期し、朝鮮で製鉄所を設立。


●戦後は、
 トタン板の再生で儲けた資金で、米の二毛作を研究する。
 所得倍増計画で、土地の暴騰を予測し、大儲け。
 同和鉱業株で買い占めるが売り時を誤り、儲けそこなう。
 その他数々の株の仕手戦。


●著者の金儲けのパターンは、経済情勢を徹底的に分析し、
 納得したうえで、株や資材を買い占めるというものです。


 すばやく行動できる決断力が、
 大きな利益を可能としていたようです。


 ・関東大震災でトタン板を買い集め大儲けしたときもそうだった。
  人が気づかぬところにいかに目をくばり、人が気づく前にどれだけ
  早く行動しているか。買って、売って、休む。これが商売で
  成功する三筋道なのだ。(p188)


●こうした分析能力は、才能というよりも、
 『努力』により得られたものです。


 ひたすら経済データを収集し、文献を読み漁り、
 自分の考え方を構築しています。


 ・もちろん、現在も国際経済の分析を自分でやっている。
  毎朝八時には各証券会社から外電が入ってくる。・・・
  九十歳を過ぎたいまも、電話で外電の内容を受け
  それを自分でノートにとっている。(p131)


●一方で、多くの商売を立ち上げて、大儲けをしていますが、
 最後には倒産する場合が多かった。


 これは、商売を立ち上げる才覚と、
 商売を安定的に続けていくという能力が異なるからでしょう。


●これだけ刺激的な人生を読んだことはありませんでした。
 面白い一冊です。★4つとしました。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・「うちのお父さんはどんな境涯に陥っても、
  必ず何年か後に頭を上げてきます」だから、
  私は明日、食うもんがないようになっても
  ちっとも心配しません、信じていますから、と、
  そういう女だったのである。(p106)


 ・家族は芋粥と残りものの魚しか食えない貧乏生活をしながらも、
  貧しい人を見たら、お金がなくても商売の魚を持って帰らせる
  ような優しく、あったかい父。・・・
  父は偉いなあ、と尊敬させらえたことを
  幼心にも身にしみて憶えている。(p308)


 ・当時、朝鮮に進出していた日本の会社は、
  どんなに学歴や才能があっても
  日本人と朝鮮人の社員との間で、
  給与や職歴で差をつけていた。(p170)


相場師一代
是川 銀蔵
小学館 (1999/09)
売り上げランキング: 10,250
おすすめ度の平均: 4.36
5 最後の相場師と呼ばれた男の生涯
5 人としての生き方を教えてくれる本
5 株を多少でもかじっているものにとっては必読

【私の評価】★★★★☆(85点)


●著者経歴・・・是川 銀蔵

 1897年生まれ。高等小学校卒業後、神戸の貿易商に奉公。
 その後、様々な商売で大儲け、倒産などを経験し、株式取引の
 世界に入る。幾多の仕手戦で有名となる。1992年に95歳で死去。


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