新潮社 (2005/06)
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かつて生徒だった全ての大人たちへ
地道な実践の記録
新任教師に差し上げたいものです。
●著者紹介・・・山本 美芽(やまもと みめ)
1971年生まれ。大学卒業後、中学校の臨時教諭、養護学校教諭を
経て、執筆活動を始める。現在は主に音楽雑誌に寄稿している。
●かつて神奈川県の中学校に、美術のコンクールで入賞者を大量
排出した太田さんという教師がいました。
●しかも、生徒が荒れているような中学校でしたが、美術の授業だけは、
生徒が姿勢を正して集中して授業を受けていたそうです。
・太田は「ふざけ半分」の態度を、絶対に許さない。そのような態度が
見られるあいだは、授業をしないし、大事なことも話さない。(p24)
●授業では、草をスケッチするならば、外に出てよく観察させる。
「草の気持ちになってみて」とアドバイスする。
そうした授業の中から、子どもは草と対話をして、考えていったそうです。
・草が一本一本すべて違うように、人間もひとりひとり違っている。
みんなだってそうだよね。違うことって、なんて
すばらしいんだろうね。(p41)
●また、美術なのに「調査研究」を取り入れていました。
・・・すばらしい。
・何を調べなさい、どこまで調べなさい、先生はそういうことをいっさい
言いません。それはあなたたちが自己決断することなの。自分が必要
だと思ったところで決断するのよ。・・・「調査研究」(p57)
●しかし、太田さんは2001年に退職し、教育システムの外に道を求めました。
・コンクールといった、目に見える形で優れた指導力を残しても、
教師社会の中で評価してもらえることはなかったのだ。太田は、
次第に教師社会に絶望感を感じるようになっていた。(p192)
●そういえば社会人校長で、すぐに自殺なさった人もいましたね。
良いものが淘汰され、外にはじきだされるのであれば、
教育は学校の外に求めるしかないのかもしれません。
●教育議論は別にして、私も教わりたかったなとおもう美術の授業の
秘密が書かれた本として★5つとしました。
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・「あなたたちには心がありますね。それと同じように、先生にも、美術室
にも、心がある。それなのに、その態度は・・・!あなたたちは、美術
室で待っている先生の心を踏みにじったんですよ」(p19)
・生徒がいい加減な態度を見せたときに教師が「だめ、やり直し」と
命じるのは、よくあることだ。しかし太田はそんなとき「だめ」では
なく「イヤだ」という。(p22)
・二学期、三学期になっても、太田はいつも授業の前には
顔写真入りの名簿を確認して、子どもの顔と名前がスラスラ
出てくるように努力する。(p181)
・太田は、美術でプロセスに没頭する体験をさせて、結果だけを
追い求めていては決して到達できない領域まで、
生徒を踏み込ませるのだ。(p144)
「りんごは赤じゃない」山本 美芽、新潮社(2005/06) ¥500
(私の評価:★★★★★:絶対お薦めです!家宝となるでしょう)91点
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トラックバックありがとう。これは有用な本でしたね。