草思社 (2003/11/21)

あと誰が謝らないって?
日本人もかなり多様なんだけど・・・・
確かに論と突っ込みは浅い本ではありますが。(私の評価:★★☆☆☆:時間とお金に余裕があればぜひ)
●著者紹介・・・長野 晃子
1938年生まれ。現在、東洋大学社会学部教授。1976~77年フランス国立
リヨン第三大学客員助教授、1987~88年フランス国立ストラスブール
人文科学大学客員教授
●ベネディクトの「菊と刀」(初版1967年)で示された「日本は恥の文化」
について、その間違いを指摘しながら、日本の治安の良さを、日本人の
考え方・文化から考察する一冊です。
・ベネディクトの言に反して、日本の個々人の心を律しているのは罪の意識
であって、日本は日本の、しっかりした罪の文化をもっているのだ。
(p130)
●その中で、ベネディクトの「菊と刀」はアメリカのプロパガンダであると
断言しているのが、新鮮でした。
・ベネディクトは『菊と刀』を米国の戦争プロパガンダのための政治論文と
して書いたのであり、ダグラス・ラミスの言葉を借りれば、「(日本は)
アメリカにとって当然敵となるべき国、理論的にも道徳的にもアメリカが
第二次大戦で打ち負かして当然至極であるような国」として描いた。(p171)
●また、「忠臣蔵」の解釈についてベネディクトの分析不足を指摘している
ところでは、自分の「忠臣蔵」についての知識不足、理解不足がわかり、
もう一度「忠臣蔵」を見てみたいと思わせてくれました。
・「家康公以来の御定法」である喧嘩両成敗を公儀は守らなかった。
したがって幕府に代って吉良に制裁を加えることで、幕府がし残した
ことをやり遂げ、定法を守らなかった幕府に抗議しようとしたわけ
である。(p224)
・日本人にとって努力を認められなかったときほど悔しいことはない。
私自信もまさにそうだ。浅野は誠心誠意努力したが認められなかった
ことが悔しかったのだ。それが浅野をして吉良に斬りかからせた動機
ではないだろうか。(p211)
●私は宮崎駿が好きなのですが、「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」などが、
欧米の人に理解されないところがあるという話を不思議に思っていたことが
ありましたが、その理由の一部がこの本で理解できました。
●たとえば、「もののけ姫」でのタタリ神は打ち倒す敵ではなく、鎮められる
べき神です。しかし、英語吹替版では、evil(邪悪)なものと訳されている
のです。これは、欧米では善と悪の構図でしか世界を理解できないため
でしょう。
・欧米人はとりわけこのタイプの英雄の一人勝ちのサクセス・ストーリーが
好きなので、善と悪との戦いの構図を持たず、最後に英雄がハッピーに
ならないストーリーは理解できないのだ。(p192)
●日本の文化を欧米と比べながら知ることで、ある種の誇りをもてる一冊
ということで★2つとしました。論文調の文体が苦にならない人には、
★3つでしょう。
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・欧米キリスト教文化圏では、・・・「神の命令だからしてはいけません」、
日本文化圏では、「他人を害するから、他人に迷惑をかけるからしては
いけません」と教育されている。(p51)
・欧米では、命令に違反したとして厳しく罰せられる。・・・体罰といえば、
英語には「鞭を惜しめば子がだめになる」、フランス語には「愛する者は
厳しく罰する」などということわざがある。(p54)
・日本の場合には、・・・若者たちにとっての怖い話が、・・・悪いことを
すれば自分に返ってくる話である。・・・このような自罰型民話は、日本
人の良心を研ぎ澄まし、・・・日本を治安の良い国に作り上げている重要
な日本の文化的要素の一つだと私は思っている。(p116)
・日本の伝説、大衆娯楽映画や芝居には、このメッセージ、すなわち
「法はみんなを守るもの、ゆえに、みんなで法を守ろう。法を守らない
ものには、それがお上であっても命をかけて抗議する」というメッセージ
が込められているものが非常に多い。(p236)
・欧米の伝説のなかには、欧米人が好んで語る「義賊もの」がある。
日本の義民と欧米の義賊とのあいだには決定的なちがいがある。
日本の義民は遵法者であるが、欧米の義賊は無法者なのだ。(p244)
「日本人はなぜいつも「申し訳ない」と思うのか」長野 晃子、草思社
(2003/11)¥1,680
(私の評価:★★☆☆☆:時間とお金に余裕があればぜひ
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