「クラッシュ―絶望を希望に変える瞬間」太田哲也

クラッシュ―絶望を希望に変える瞬間 (幻冬舎文庫)

(評価:★★★★☆)85点


●日本一のフェラーリ使いと言われた太田哲也氏は、雨のレースで
 ポルシェとクラッシュし、体の60%の大ヤケドを負ってしまいます。


●瀕死の大ヤケドから奇跡的にF1復帰したニキ・ラウダの10倍ひどい
 ヤケドであるにもかかわらず、最新の熱傷治療技術により命だけは
 とりとめました。


●しかし、リハビリをしながら焼け焦げた木炭のような腕、鼻のない顔に
 太田哲也氏は呆然としてしまいます。これではレースに復帰は無理。
 追い討ちをかけるように、看病疲れで妻が体調を崩してしまいます。

 ・あのまま死ねば良かったのに、なぜ俺は助かったのだ?どうして生き
  返ってしまったのだ?時間がたつほどに悲しみがこみ上げてくる。
  (p202)


●家族にとって迷惑な自分、単に息をしている物のような自分に、生きていく
 意味を見出せない太田哲也氏は自殺を試みるも失敗します。


●そうした失意のなか、患者や家族とのふれあいの中からだんだん生きる
 意味を探し始めます。笑いが心のリハビリになりました。

 ・とりあえず生きる意味を探すことはいったん中止して、今の段階では
  笑って過ごそう。自分を無理やり笑わせてしまおう。(p226)


●そして患者Oとの出会い。O氏は、暴漢にガソリンで火をつけられ
 瀕死の大ヤケドを負ったのですが、「この事件は、私の性格が引き
 起こしたもんだと思うようになった」と太田哲也氏に語ります。


●そして、この事件のおかげで、自分の心の周りにある硬い殻(古い考え方)
 を変えていけるチャンスではないかと言うのです。そこで、太田哲也氏
 は、自分も心の周りに硬い殻があるのではないかと気づくのです。

 ・僕は生きていくことにした。(p293)


●よく、大病をした、死にそうになった人は、人生観が大きく変わると
 言われますが、この本を読んで、実際に体験しなければ、その本当の
 意味はわからないだろうなと感じました。


●おおいに泣かせていただきましたので、「きっと泣ける本」に追加させ
 ていただきます。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・なぜだかはっきりとはわからないが、賞賛されることは僕の人生にとって
  重要な意味を持っていた。他人の目に自分がどう映るか、ということに
  関心があった。・・・しかし、これからは違う。もう賞賛されることは
  ない。(p200)


 ・寅さんが映画のなかで言っていた台詞が印象的に感じた。
  「人間、一度くらい生きていて良かったと思う時があるだろう。その
  ために生きているんだ」(p227)


 ・何をしてどう生きるのか。決めるのは誰か。
  それは僕がすべてを決める。以前と変わりはない。ただ違っているのは、
  目指す先だけだ。(p295)


クラッシュ―絶望を希望に変える瞬間
太田 哲也
幻冬舎 (2003/05)
おすすめ度の平均: 4.93
5 生きて。
5 受け入れることの難しさ
5 人生とは・・・・。

(評価:★★★★☆)85点


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このページは、本のソムリエが2005年6月 9日 12:18に書いたブログ記事です。

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