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「クリティカルチェーン―なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?」エリヤフ・ゴールドラット

2004/07/29公開 更新
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【私の評価】★★★★★(92点)


要約と感想レビュー

 もし、毎日1000万円もらえるとしたら、あなたはどうするでしょうか。逆に、あなたの1000万円の別荘が毎日1軒づつ燃えていくとしたら?これは極端な例かもしれませんが、仕事ではよくある話です。もし、あなたの進めるプロジェクトが1日遅れるたびに1000万円の損失が発生するということは十分にありえるはずです。逆に、1日短縮できれば儲かっているはずの利益を逃しているかもしれないのです。


・意外かもしれないが、プロジェクトに関わっている人はたいてい、プロジェクトの完成が遅れることによって毎月どれだけの損失が出るのか、はっきりとは認識していない。(p269)


 この1680円の本は、数億円の利益を生み出すかもしれないものでした。私は運命を感じました。この本を読むために、一日一冊読んできたのではないかと。大きなプロジェクトは、たくさんの小さなプロジェクトの集合体です。そして、それぞれの小さなプロジェクトは、絶対遅れないような納期を設定しているはずです。みんな余裕を持っている。これは、いままでみんな分っていたはずなのに、なにも対策をとってきていないことでした。ところが、それを大きく変える方法があったのです。


・セーフティーはすべて、クリティカルパスの最後に置きます。(p237)


 つまり、クリティカルとなっている小さなプロジェクトの持っている余裕を集めて、最後に置くということです。各プロジェクトは余裕を持った工程ではなく、ベストの工程を目指して作業しますが、遅れても怒られないのがポイントです。結果して、スケジュールは常に変化して、最後に置いた余裕が増えたり、減ったりすることになります。責任者は最後の余裕の増減を把握していればいいということになります。


 しかし、他の会社にアウトソースしている部分の「余裕」を集めることが難しいと考える人もいるでしょう。これは原子力発電所の定修でデータの偽造をしていたのが発覚したとき、定修を短縮した業者にインセンティブを与えていたことが、不正の原因になったのではないかと批判されていたものと同じ考え方です。このインセンティブには、不正を助長する心理的影響があったのでしょうが、最終的には判断する人間の問題だと思います。これは強盗がいるのは、お金という仕組みが悪いのではなく、強盗をする人が悪いということと同じです。


・ひとつの方法として、早く完成すればボーナスを支払って、逆に遅れた場合はペナルティを課すというのがあると思う(p310)


 最後に、実際の現場では、リソース(人や物)が競合(重複)して作業が進まない場合がありますので、その部分はリソースが無駄なく使われるように計画する必要があります。具体的には、大型クレーンが1台しかない工場では、このクレーンが競合しますので、このクレーンを常に動かすように計画することが大切になります。


 早く会社で活用してみたくなりました。これまでのやり方を変えるのは抵抗があると思いますが、それ以上に成果が上がるような気がします。


この本で私が共感した名言

・実務面では主に三つあったと思う。ひとつ目、各ステップのリードタイムの見積もり時間を半分に削った。二つ目、各ステップの期限設定を廃止した。そして三つ目、予想完了日を頻繁に報告させた(p263)


・たいていの人は、どう自分が評価されるかに従って行動する(p165)


・みんな、万が一に備えて余裕を持った見積もりを立てているようだ(p74)


・リソースの競合をすべて取り払うことができたら・・・そうしたらクリティカルチェーンが見えてきます(p342)


・すべてを優先しなければいけないということは、言い換えれば、どれも優先しないということと同じだ(p107)


▼引用は下記の書籍からです。


【私の評価】★★★★★(92点)



著者経歴

 エリヤフ・ゴールドラット・・・イスラエルの物理学者。1948年生まれ。TOC(Theory of Constraints:制約条件の理論)の提唱者として知られる。本書『ザ・ゴール』で説明した生産管理の手法をTOCと名づけ、その研究や教育を推進する研究所を設立した。その後、TOCを単なる生産管理の理論から、新しい会計方法(スループット会計)や一般的な問題解決の手法(思考プロセス)へと発展させ、アメリカの生産管理やサプライチェーン・マネジメントに大きな影響を与えた


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